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[関東]後期好発進!最下位からの巻き返しだ!!“プロ注目”拓殖大Wエースが得点ランクトップ争う

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MF山中麗央(左)とFW田中幸大

[8.1 関東大学L1部第12節 法政大2-5拓殖大]

 前期リーグを最下位で折り返した拓殖大だったが、後期開幕戦で好発進を決めた。2位と上位の法政大を相手に5-2の大勝劇。「チーム全体が誰一人サボることなくやれた。この初戦にかけていた部分もあった。スタメンの11人だけじゃなくみんなの気持ちが出た試合だったなと思います」。背番号10を背負うFW田中幸大(4年=東海大甲府高)は、そう言って充実の汗をぬぐった。

 4年生の2人が得点を量産してチームをけん引している。まず魅せたのはMF山中麗央(4年=市立長野高)。1点を先制した直後の前半18分、高い位置でボールを奪い返した拓大は、MF日野翔太(1年=堀越高)のパスを受けた山中がDF1人をかわして右足で流し込む。さらに1点を加えて迎えた同40分、相手のクリアミスを突いた山中がこの日2点目を蹴り込んだ。

「1点目は翔太がボールを奪って、自分が近い位置にいて、貰ったらシュートのイメージは出来ていた。決めるだけという感じだった。2点目も相手にロングボールが入って、プレッシャーをかけたらこぼれてきて、1対1を流し込めたと思います」

 昨年は2部リーグでリーグ2位の47得点を記録し、11年ぶりの1部復帰を決めた拓大。田中がチーム最多の11得点、FC町田ゼルビアに進んだDF青木義孝が8得点を決めるなど存在感をみせていたが、山中は16試合に出場しながら3得点。アシスト数も2と、納得のいくものではなかった。そこで今季はより得点にこだわったプレーを心掛けるようにしたという。

 玉井朗監督も厚い信頼を寄せる。「どの選手も大切な選手ですが」と前置きしたうえで、「実は山中がうちで一番大切なプレーヤー」と絶賛。「追いかけのチェイシングがあるから、相手は相当嫌がっている思う。スタミナもものすごくある。パンチ力のあるシュートを打てるし、今日もいい面を出してくれた」と手放しに称えた。

 意識するのは最終学年、卒業後のプロ入りだ。MF新井光(現鳥取)とは長野U-15、市立長野高と6年間プレー。ライバル校の上田西高にはFW根本凌(鹿屋体育大→湘南内定)が在学するなど、常にプロレベルを意識する環境で育ってきた。この日対戦した法大には田部井涼(横浜FC内定)や松井蓮之(川崎F内定)らがおり、そこから2得点を奪ったことでも自信を深めている。

 今年6月には水戸ホーリーホックの練習にも参加。試合前日からの参加だったために主力組と練習することは少なかったが、それでも「やれる」手ごたえを感じることができたという。「大学リーグでアピールしていけば、チャンスは巡ってくると思う。チャンスを掴みたいなと思います」。

 山中とともに得点でチームを引っ張るのが田中だ。2年生の時からレギュラーとして活躍する田中は、昨年まで2年連続チーム得点王。今季もここまで7得点を決めてリーグ得点ランキングトップタイと、大黒柱として期待通りの活躍をみせている。

 この日のチームは前半だけで4得点を決めたが、田中はなかなか得点できずにいた。しかし終盤に2点差に詰め寄られて迎えた後半アディショナルタイム4分、山中からのパスをエリア内で受けると、右足で豪快に決めきってみせる。「正直ストレスが溜まっていた」と苦笑いの背番号10だが、「得点王よりチームを勝たせられるようなゴールを決めることが自分の目標。次の試合も自分の点でチームを勝たせられるように頑張りたい」と納得の表情もみせる。

 田中ももちろん、卒業後のプロ入りを目標にしている。「自分は上手い選手ではないので、目につき辛いかもしれないけど、一生懸命チームのために走って、その先にそういう道があると思っています。それと得点王よりチームを勝たせられるようなゴールを決めることが自分の目標です」。

 稀に見る大混戦となっている関東大学リーグ。1つの勝利で順位が簡単に入れ替わる展開は、前期を最下位で折り返した拓大といえど、インカレ出場圏争いなど上位争いも十分に可能にしている。得点力のある選手を複数持つことは、その争いを勝ち抜くうえで何よりの武器になるはず。拓大は台風の目になる可能性を十分に秘めている。

(取材・文 児玉幸洋)
●第95回関東大学L特集

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