[MOM3544]名古屋U-18MF甲田英將(3年)_この男、獰猛につき。ファイナルで日本一を手繰り寄せる先制弾!
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.4 日本クラブユース選手権U-18大会決勝 札幌U-18 0-2 名古屋U-18 正田醬油スタジアム群馬]
その愛くるしい笑顔に騙されてはいけない。一瞬でトップスピードに乗りながら、切れ味鋭いギアチェンジで相手を翻弄し、最後はゴールまで陥れてしまう。ファイナルの舞台でも、この男の仕事ぶりが試合を大きく動かした。「『決勝は絶対自分がチームを勝たせよう』という想いでやっていたので、『絶対決める』という気持ちで思い切って振り切ったのが、ゴールに繋がったのかなと思います」。この男、獰猛につき。名古屋グランパスU-18のナンバー11。MF甲田英將(3年=名古屋グランパスU-15出身)の先制点が、チームに栄冠をもたらした。
北海道コンサドーレ札幌U-18との決勝は、立ち上がりから相手にペースを握られる。前半6分に甲田は右サイドからドリブルで運び、左足でシュートを放つも軌道は枠の上へ。以降はボール自体がなかなか前に入らず、攻撃の手数が出てこない。
「個人としては、この大会でもあまり納得の行く結果は出せてなかったんですけど、こういうプレッシャーの掛かる試合で、自分をどれだけ出せるかというのが大事になってくると思っていました」。ボールを持てば、何かは起こせる。その自信を携えながら、その時を待ち続ける。
39分。MF齊藤洋大(3年)が相手の縦パスをカットすると、ボールは甲田の足元へこぼれてくる。少しドリブルで運びながら、中央の真鍋へ付け、自身はそのままディフェンスラインの裏へ。届いた絶妙の浮き球パスに、右足で合わせたボレーがゴールネットへ吸い込まれる。
そのシーンの詳細を尋ねられると、「あんまり覚えてないんですよね(笑)。得点の瞬間しか覚えていなくて。すみません。記憶が飛んでます(笑)」とお得意のかわいい笑顔。このギャップも微笑ましい。
結果的にこの1点は、苦しんでいたチームに大きな勇気を与えてくれた。「自分たちのリズムが本当に作れない中で、彼が自分の強みで、ドリブルという武器で、相手を剥がし続けて、取られても何度でもやりますから、ああやって1本決めてくれたと。彼は自分で勝利を決めるということにこだわってやっているので、本当に良い仕事をしてくれたと思います」と古賀聡監督も評価を口に。さらにハーフタイムに主体的なムチを自分たちで入れたチームは、後半にもFW真鍋隼虎(3年)が追加点を決め切り、2-0で勝利。甲田は日本一獲得に、結果という確かな形で貢献してみせた。
今年の3月に甲田が話していたことを思い出す。「僕が1年生の時の3年生には上手い選手が多くて、その中に榊原杏太選手(現・立正大)がいたんですけど、あの選手は自分で局面を打開してシュートまで持って行ったり、チームを勝たせることが多くて、本当に凄いなと思っていました。なので、自分もああいう選手になりたいなと考えていて、そこを意識していますね。大事な所で決めてくれる人で、凄かったんです」。
2年前のクラブユース選手権決勝。日本一に輝いた試合でも、榊原は華麗なループシュートで得点を決めている。「2年前も優勝して、今回も優勝したことで、後輩を『自分たちの代になっても絶対に優勝しよう』という気持ちにさせられたのであれば、それが本当に嬉しいですね」と語った甲田もまた、後輩たちに憧れられ、目標にされる選手へと成長していることに疑いの余地はない。
視線はもう次の“ステージ”へ向いている。「最近は相手の囲んでくるスピードも速いなと思うんですけど、それでも突破できるのがプロに行ける選手だと思いますし、そこでも絶対に突破できて、チームの結果に繋げられる選手が、トップに上がれると思うので、そこはプレミアリーグでしっかり自分の実力をアピールしていきたいです」。
この男、獰猛につき。甲田の躍動感あふれるドリブルを止めるために、並大抵の覚悟では太刀打ちできないことは、知っておいた方がいい。
(取材・文 土屋雅史)
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第45回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会特集
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その愛くるしい笑顔に騙されてはいけない。一瞬でトップスピードに乗りながら、切れ味鋭いギアチェンジで相手を翻弄し、最後はゴールまで陥れてしまう。ファイナルの舞台でも、この男の仕事ぶりが試合を大きく動かした。「『決勝は絶対自分がチームを勝たせよう』という想いでやっていたので、『絶対決める』という気持ちで思い切って振り切ったのが、ゴールに繋がったのかなと思います」。この男、獰猛につき。名古屋グランパスU-18のナンバー11。MF甲田英將(3年=名古屋グランパスU-15出身)の先制点が、チームに栄冠をもたらした。
北海道コンサドーレ札幌U-18との決勝は、立ち上がりから相手にペースを握られる。前半6分に甲田は右サイドからドリブルで運び、左足でシュートを放つも軌道は枠の上へ。以降はボール自体がなかなか前に入らず、攻撃の手数が出てこない。
「個人としては、この大会でもあまり納得の行く結果は出せてなかったんですけど、こういうプレッシャーの掛かる試合で、自分をどれだけ出せるかというのが大事になってくると思っていました」。ボールを持てば、何かは起こせる。その自信を携えながら、その時を待ち続ける。
39分。MF齊藤洋大(3年)が相手の縦パスをカットすると、ボールは甲田の足元へこぼれてくる。少しドリブルで運びながら、中央の真鍋へ付け、自身はそのままディフェンスラインの裏へ。届いた絶妙の浮き球パスに、右足で合わせたボレーがゴールネットへ吸い込まれる。
そのシーンの詳細を尋ねられると、「あんまり覚えてないんですよね(笑)。得点の瞬間しか覚えていなくて。すみません。記憶が飛んでます(笑)」とお得意のかわいい笑顔。このギャップも微笑ましい。
結果的にこの1点は、苦しんでいたチームに大きな勇気を与えてくれた。「自分たちのリズムが本当に作れない中で、彼が自分の強みで、ドリブルという武器で、相手を剥がし続けて、取られても何度でもやりますから、ああやって1本決めてくれたと。彼は自分で勝利を決めるということにこだわってやっているので、本当に良い仕事をしてくれたと思います」と古賀聡監督も評価を口に。さらにハーフタイムに主体的なムチを自分たちで入れたチームは、後半にもFW真鍋隼虎(3年)が追加点を決め切り、2-0で勝利。甲田は日本一獲得に、結果という確かな形で貢献してみせた。
今年の3月に甲田が話していたことを思い出す。「僕が1年生の時の3年生には上手い選手が多くて、その中に榊原杏太選手(現・立正大)がいたんですけど、あの選手は自分で局面を打開してシュートまで持って行ったり、チームを勝たせることが多くて、本当に凄いなと思っていました。なので、自分もああいう選手になりたいなと考えていて、そこを意識していますね。大事な所で決めてくれる人で、凄かったんです」。
2年前のクラブユース選手権決勝。日本一に輝いた試合でも、榊原は華麗なループシュートで得点を決めている。「2年前も優勝して、今回も優勝したことで、後輩を『自分たちの代になっても絶対に優勝しよう』という気持ちにさせられたのであれば、それが本当に嬉しいですね」と語った甲田もまた、後輩たちに憧れられ、目標にされる選手へと成長していることに疑いの余地はない。
視線はもう次の“ステージ”へ向いている。「最近は相手の囲んでくるスピードも速いなと思うんですけど、それでも突破できるのがプロに行ける選手だと思いますし、そこでも絶対に突破できて、チームの結果に繋げられる選手が、トップに上がれると思うので、そこはプレミアリーグでしっかり自分の実力をアピールしていきたいです」。
この男、獰猛につき。甲田の躍動感あふれるドリブルを止めるために、並大抵の覚悟では太刀打ちできないことは、知っておいた方がいい。
(取材・文 土屋雅史)
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