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U-24日本vsU-24メキシコ 試合後の森保一監督会見要旨

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U-24日本代表の森保一監督

 U-24日本代表は6日、埼玉スタジアムで開催された東京五輪3位決定戦でU-24メキシコ代表と対戦し、1-3で敗れた。試合後、森保一監督が公式会見に出席した。

 以下、森保一監督会見要旨

「メダルをかけての戦いだったので、結果を出せなくて、我々を応援して下さって、我々が勝つのを期待して下さったサポーターの皆さんや国民の皆さんに、喜んでもらえる結果を出せなくて残念に思います。試合は両チーム、連戦の疲労から、やはり体のキレという部分での、なかなか出せないところもありましたが、試合の入りのところでメキシコが良い形で、PKとセットプレーからチャンスをつかみ、我々にとっては難しい試合になってしまったと思う。試合を通しても、最終的に勝てなかったので、今日の試合は結果が一番だと思うが、0-2になった後、流れを持っていかれるのではなく、選手たちは疲労がある中、難しい戦いの中でも何とか踏ん張って試合を進めてくれたことは、監督としては選手を評価してあげたい。そして、後半、またセットプレーから3点目の得点を奪われてしまった部分でも、そこで集中力が切れて、糸の切れたタコのように、チームがバラバラになってしまうこともあり得る中、選手たちはまたファイティングポーズをとってくれて、最後まで粘り強く戦い抜くこと、これまで今大会で選手たちが見せてくれたことを、今日の試合でも見せてくれ、0-3で終わるのではなく、1点奪うところ、残念ながら相手の守備も硬かったので、もう1点とはいかなかったが、苦しい戦いの中で、選手たちは何とか相手のゴールに向かおうとしてくれたことを、監督としてはありがたいと思っています。選手たちが、本当に五輪を目指して、育成年代から頑張ってくれて、成長してくれたことを見させてもらい、非常に幸せで充実した時間を過ごさせてもらった。今日の試合に置いても、五輪においても、事前のキャンプから、皆、最大限の今できる努力をずっとやり続けてくれて、毎試合、毎試合に臨んでくれた。五輪エイジのチームに最後オーバーエイジが加わってくれて、チーム力を上げてくれて、良いチームに選手たちはしてくれたし、そういう中でメダルには手が届かなかったが、この大会でメダルを賭けて戦うところまで選手たちに連れてきてもらったことを、監督として感謝したい。選手たち、スタッフがこれまでしてきた努力は、メダルに値する価値があると私自身は思っている」

――今日は原爆の日。世界に発信したいものがあったと思うが。もう一点、ベストなメンバーを招集して、地の利を生かしてベストは尽くしたと思うが、ベストを尽くしたことで突き付けられたこと。
「昨日の会見でも話したが、今日8月6日は世界に初めて原子爆弾が広島に落とされた日で、8月9日は同じく長崎に原子爆弾が落とされた歴史がある。まずは、五輪の大会期間中に8月6日がきたことで、アスリート、スタッフ、関係者の皆さん、そして、この五輪は平和の祭典ということで、世界中にいろんなメディアを通して発信される。その中で、平和について考えるいい機会ではないかと思った。原爆の投下によって、一瞬で苦しみながら、尊い多くの命が失われてしまった。そして、綺麗な街が一瞬で破壊され、焼け野原になり、人々の普通の暮らしが一気に吹き飛んでしまった。今もなお、心の傷を負って、多くの人が生活しているところ、生きているということを、世界中の多くの人々と考え、共有できればと思っていた。平和を考えることで、五輪が行われるということ、コロナ禍という災いもあり、平和と言えるかどうか分からないが、平和だからこそスポーツができる、そして自分の好きなことができるということ。多くの皆さんと共有できればと思っているし、五輪というスポーツの祭典で、お互い競い合う大会だけど、ルールがあって、ルールの中で、相手のことを尊重して、競い合うこと。そういうところを、スポーツの世界から競い合うことが憎しみ合うことでなく、そういう部分をいろんな人に伝えられたら嬉しいと思っている。そして、世の中から戦争や紛争がなくなり、命を奪われたり、命を脅かされたりすることなく、人々が安心して、安全な暮らし、そして心穏やかに生活できる環境が、世界中にあることを、多くの人と願い、共有できればと思う。私自身、今日は8時15分の広島に原爆が投下された時間に黙とうした。尊い多くの命が失われたこと、犠牲になられた方々に哀悼の意を捧げた。そして、今もなお、心に傷を負って生活している方々の暮らしが少しでも穏やかに、そして心の傷が和らぐといいと願った。もう一つ、今回の五輪もそうだし、原爆が投下され、戦争等々いろいろなことが起きて、街が破壊された中から、復興を遂げて今の世の中がある。本当に多くの人たちが大きな犠牲を払い、大きな尽力を持って、今の豊かな街を作ってくれていると、この環境を作ってくれていると思うので、復興に向けて尽力してくれた先人の皆さんに、感謝申し上げることを今日の朝、黙とうのとき思いと願いをお伝えした。長々となったが、五輪もコロナ禍で大会開催が危ぶまれる中、招致から多くの方々が犠牲を払って努力を持って、この五輪を開催してくれたと思う。五輪の開催に向けて尽力して下さったすべての皆さんにも感謝申し上げたいと思う。

 また、この五輪のゲーム、すべての経験は選手の血となり肉となり、今後の成長につながると思っている」

――前日の会見で気持ちが強い方が勝てると話していた。今日の試合、湧き上がる闘争心をあまり感じなかった。戦術的にもセットプレーから3失点。球際も負けていたと思うが、敗因は。
「選手たちは歯を食いしばって、力を振り絞って、銅メダルをつかみとる気持ちを持って試合に臨んでくれたし、プレーしてくれた。結果的に1-3という敗戦となり、見ている方からしたらすべて負けていたと見えるかもしれない。そこは反省しないといけない課題として取り組まないといけないことはあると思うが、選手たちの頑張りは私は誇りを持てるし、足を止めずに最後まで戦ってくれたことを称えたい。仰られるとおり、セットプレーから3失点は、疲労があって、なかなか体が動かない中、メキシコがしたたかに勝っていくところ。試合巧者であるところを試合の中で発揮したと思っている。そこは我々が今後、身に付けていかないといけないところだと思う。点差がある親善試合とか、フレッシュな状態で戦える親善試合ではなく、6試合を通して、世界のトップトップの厳しい戦いの中でこそ得られることだと思うので、選手たちには、日本のサッカーの成長としても、この悔しい経験を次につなげていかないといけない。準備として、監督の立場としては、そこの準備はしっかりできたのか、選手たちにどれだけ伝えられたのかというところ。表現してもらうために何ができたのかというところは、私の仕事の責任としては、しっかり振り返っていかないといけない。選手たちは今できる、ベストな力を発揮する部分では、責任を果たしてくれたと思う。1失点目のPKにつながったところも、ボールをつなごうとして、ボールロストから始まったと思うが、それも我々の成長のためにトライしてくれた結果だと思っている。直近のスペイン戦のときに、相手のプレッシャーがある中、守から攻への、奪ったボールを攻撃につなげていくところを、もっと上げていく。そして、ボールを保持しながら、相手のプレッシャーをかいくぐっていく部分を、ただクリアで逃げるのでなく、もっと成長したい、もっと自分たちが強くなりたいとトライしてくれた結果が、あのPKにつながったと思う。結果論としては、反省しないといけないところはあるが、私は選手たちが世界で勝っていくために、自分たちがチャレンジしようと表現しようとしてくれたことは、今後の選手たちの成長につながると考えている」

(取材・文 折戸岳彦)
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