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日章学園が尚志撃破!CBアンリに苦戦も、狙いの守備とPKでの強シュート徹底して3回戦へ

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日章学園高がPK戦を制し、3回戦進出

[8.16 インターハイ2回戦 日章学園高 0-0(PK5-4)尚志高 日東シンコースタジアム丸岡人工芝グラウンド南コート]

 令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の汗と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)は16日に2回戦を開催。日章学園高(宮崎)と尚志高(福島)の一戦は、0-0のまま70分で決着付かず、PK戦の末に日章学園が3回戦進出を決めた。

 ポゼッションスタイルの両校の対戦だけに、互いに後方から丁寧に組み立てていく意図の見えるゲーム展開だった。ただ、相手のペナルティエリアへと迫る中での細かいミスも目立ち、なかなかチャンスらしいチャンスが生まれない。尚志・仲村浩二監督が「初めての全国という選手が多く、どうにかリラックスして試合に臨んでほしいと思ってはいたが…」と首をひねったように、やや硬さの目立つ展開だった。

 その中でビッグチャンスになったのは、グラウンダーでの丁寧な展開ではなく、ダイナミックに長いボールで背後を狙う形だった。クーリングタイム直前の17分には裏へと抜け出したFW村上力己(3年)のシュートがポストを叩くビッグチャンス。さらに村上は前半のアディショナルタイムにも、DF高橋翔大(3年)のロングフィードとロングクロスから2度の決定的なシュートを放ったが、いずれも枠外。得点は奪えなかった。

 対する日章学園は、「相手が2トップならこう、1トップならこうという具合にやり方を決めてある」(原啓太監督)というロジカルなポジション取りからボールを繋いでゴールへ運んだが、「行ったと思ったところでも追い付かれてビックリした」(原監督)という、尚志のU-20日本代表候補DFチェイス・アンリ(3年)の守りにも阻まれてゴールならず。後半10分に、MF藤本優希(3年)がシュートブロックに来たアンリの股下を抜いたシュートも枠外に逸れてゴールは生まれなかった。

 試合は双方の決定打が出ないままに終盤へ。日章学園は「カットインされてもそこはボランチが対応すればいいから、サイドバックはまず縦に行かせないこと」(原監督)を徹底。結果的に尚志のCKを前後半合わせて2本と少数に抑えて、分の悪かった高さ勝負を回避することに成功したことも大きかった。結局、最後までスコアは動かず、決着はPK戦へ委ねられた。

 日章学園は「しばらく県内ではPKでしか負けていないけれど、逆に言うとPKでは負けている」と原監督が苦笑交じりに語ったように、「むしろ苦手意識もあった」というPK戦。だが、事前の練習から指揮官が強調した「置きにいくようなシュートを蹴るな。強いボールを蹴り込め」という指示をしっかり実践した5人全員がしっかり成功。対する尚志は1人が外し、PKスコア5-4で競り勝った日章学園が2回戦進出を決めた。

 勝った原監督は「立ち位置と体の向きのところはこだわって指導してきたので、もっとローリングしながらボールを動かしたかった」と振り返ったように、相手ゴールを脅かすような攻撃ができず、シュート3本に終わった内容面には不満顔。ただ、「本当に良いチームだなと思ったし、良い選手がいるなと思った」という尚志を相手にした選手たちの頑張りには満足した様子で、「こういう真剣勝負を1試合で多くさせてあげたい」と次戦に向けて改めて意気込んだ。

 一方、敗れた尚志の仲村監督は「勝負に対して一つ足りていないものがあった。(得点を)もぎ取るかもぎ取れないかというところでもぎ取れなかった」と肩を落とした。また「90分ではない、70分ゲームなりの試合をしなければいけなかった」とエンジンの掛かりが遅かったことを悔やみ、「もう一度出直してきます」と冬の選手権でのリベンジを誓い、帰途についた。

(取材・文 川端暁彦)
●【特設】高校総体2021

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