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[MOM3560]大津DF日高華杜(3年)_陸上一家出身の高速SB、得点力向上で貢献度増す

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後半12分、先制ゴールを喜ぶ大津高DF日高華杜。(写真協力=『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.18 インターハイ3回戦 大津高 2-0 高岡一高 テクノポート福井総合公園芝生広場]

 右サイドに回ったボールは、ほぼ確実に敵陣を前へ突き進む。大津高(熊本)の右サイドを任されるDF日高華杜(3年=ブレイズ熊本出身)は、強烈な推進力を武器とするアタッカーだ。

 2回戦の流通経済大柏高(千葉)戦でも見せていたドリブルの持ち上がりは、この日も健在。5バックでサイドを防ぎに来た高岡一高(富山)の守備網を大外から切り崩した。前半、一方的に押し込みながら無得点に終わったが、後半には得点という形で勝利に貢献した。

 日高は、セットプレーでは、ニアに果敢に飛び込んでいく姿が印象的だが、「(通り越して)奥に飛んだら、小林の折り返しが絶対来ると待ち続けて、ボールが来たので良かった」と、この日はショートコーナーの折り返しを頭でゴールへ押し込み、先制点を奪った。

 また、山城朋大監督が「高岡第一さんの戦い方は、試合を見させてもらっていて(攻撃は)10番の子に早くボールをつけて、後ろは5枚で粘って来るというのは分かっていました」と話したとおり、高岡一は左FWに位置する10番、高畑優輝(3年)をカウンターの起点にしようとしたが、大津は日高が攻撃参加から素早く戻り、ほとんど起点を作らせなかった。

 攻守にわたって存在感を発揮した日高は、得点場面にも顔を出す攻撃的SB。スピードと運動量、さらに、飛距離十分のパワフルなロングスローでも相手に脅威を与える。運動能力の高さは、一目瞭然だ。

 日高は、陸上一家の出身で、兄の修杜さん(法政大4年)は、陸上部で走り幅跳びの選手。熊本中央高(熊本)3年生だった2017年の高校総体県予選で、熊本県の高校記録7m39をマークしている。日高も小学生の頃は、陸上競技とサッカーを掛け持ち。男子100mで熊本県大会4位になったこともあるという身体能力の持ち主だが、中学からはサッカーに専念。「試合全体を通してのスプリントは、誰にも負けない。サイドバックだからこそ、攻撃に関わって人数を増やして厚みを作って、得点に結び付けていきたい」と、その走力をサッカーで生かし、惜しみないアップダウンで、チームの攻撃を加速させている。

 今夏は、熊本県大会の決勝戦や今大会1回戦でもゴールを決めており、得点力も向上。「ボールを持てるチームだけど(攻撃が)停滞する時間が必ず来る。自分が追い越して、飛び出すことで、勝負をつけられたらと思っています」とチャンスメークに満足せず、どん欲にゴールを狙っている。

 翌19日の準々決勝では、有力校の静岡学園高(静岡)と対戦。日高は「とにかく勝つことを意識して臨みたい。(大津高は)今まででは、準優勝が最高の結果。自分たちで、それを超えられるように。良い相手なので、自分たちのやるべきことをしっかりとやって勝利につなげたい」と意気込みを語った。サイドのキーマンは、目標達成に向けてまだまだ走り続けるつもりだ。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校総体2021

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