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[MOM3564]神村学園MF若水風飛(3年)_序盤2ゴールで優位確立、“PK譲るの止めた”アタッカーが勝利貢献

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前半11分、神村学園高MF若水風飛が先制PKを決める

[8.18 インターハイ3回戦 阪南大高 3-4 神村学園高 テクノポート福井総合公園芝生広場]

 大きな2点だった。神村学園高(鹿児島)は、立ち上がりに右MF若水風飛(3年=神村学園中出身)が2得点。後半開始早々に追加点を奪って3-0としたが、終わってみれば4-3の1点差。立ち上がりに出鼻をくじいていなければ、危うかったかもしれない。

 先制点は、前半11分。若水が右から中央にパスを入れた場面で、PAにいた相手がハンドのファウル。PKを獲得した。若水は当初、大会得点王を狙うFW福田師王(2年)にキッカーを譲る考えだったが「2回戦は、自分を抜かしてFW3人が点を決めていて、絶対に決めてやろうと思っていました。その中で、PKをもらった瞬間は福田に譲ろうと思ったんですが、自分が蹴って、ここで(勢いに)乗ろうと思いました」と考えをあらため、自らキッカーを務め、ゴール右に決めて先制点をマークした。さらに前半19分、ゴール前で左サイドへ横ばいに動いてマークを外して、大迫のスルーパスを呼び込むと、左足でニアサイドを抜くシュートを決めて追加点も奪った。

 有村圭一郎監督は、2点を決めた若水を「相手の間をすり抜けていくプレーは、得意。逆に、それしかやらないときもあってゲーム中に迷子になっちゃうこともあったんですけど、最近は相手を見ながらちゃんと判断しながらやれているので、良さが出てきている」と評価している。

 縦の推進力もあるが、この点では逆サイドの篠原駿太(3年)がより目立つ。ボールを持ってからの仕掛けは、篠原には及ばない。しかし、若水はFWで起用されていた時期もあり、パスをもらう動きが上手い。持ち前のスピードを生かした抜け出しが2点目に生きた。

 神村学園は、攻撃力の高いチームだ。最前線の福田は、2年生ながらU-18日本代表候補。左サイドには、強烈なスピードを誇るドリブラーの篠原。右には速さと機動力に長ける若水。そして、トップ下にも、3試合連続ゴールと得点力が上がってきたチャンスメーカーの大迫塁(2年)がいる。4人は、どこからでもゴールが狙える。

 1回戦では篠原、若水、大迫が得点。2回戦では、福田がハットトリック。篠原、大迫も連続ゴールを挙げた。攻撃陣が点を取って刺激し合う状況が、若水の得点意欲を駆り立てた。チャンスメーカーに留まらず、得点を狙っていく意欲は、より高みでそれぞれの力が封じられたときに、必ず必要になる。若水は「(世代別代表のキャリアを持つ)福田や大迫がマークをされるのは、分かっている。そこに、相手が2、3枚いくので、自分たちは1対1。そこは、自分ではがさないといけない」と責任感を示した。

 神村学園は、ベスト4に進んだ2007年以来の8強進出。先輩たちに追いつき、最高成績を塗り替える挑戦権を手にしたいところ。若水は大会直前の8月に入ってから両足首を痛めたが、今は「徐々に上がってきている」と復調中。さらに攻撃のギアを上げていくつもりだ。

(取材・文 平野貴也)
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