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[クラブユース選手権(U-15)]“見違えるような成長”“高校生のような強度”示した鳥栖U-15が連覇に王手!

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サガン鳥栖U-15が前回(第34回)大会に続く優勝へ王手

[8.23 日本クラブユース選手権(U-15)大会準決勝 鳥栖U-15 2-1 東京VJrユース 帯広の森球技場B]

 第36回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会は23日、北海道・帯広の森球技場にて準決勝を開催。サガン鳥栖U-15(九州4、佐賀)が東京ヴェルディジュニアユース(関東9、東京)を2-1で破り、2大会連続(※)となる決勝進出を決めた(※2020年度の第35回大会はコロナ禍により中止のため、第34回大会からの連続)。

 気温20.6℃という冷涼な気候の中で行われた試合で、まず主導権を握ったのはDF山本丈偉(3年)を軸にしたポゼッションプレーを得意とする東京V Jrユース。序盤からボールの支配権を握り、相手陣内へと押し込んでいく。鳥栖の森惠佑監督が「序盤はヴェルディさんの素晴らしいパスワークに対して良いプレッシングを掛けることができなかった」と舌を巻いたとおりの内容だった。

 ただ、東京Vの小笠原資暁監督が「ゲームの運び方は悪くなかったが、前半からもっとバイタルエリアを使って攻めていくべきだった」と振り返ったように、ボールは持っているものの、前半の飲水タイムまでにセットプレー以外でシュートに行ったのはわずか2回。鳥栖U-15のDF大場章太郎(3年)が「外へ出させて、サイドでボールを持たれる分には問題ない。持たれているのではなく、持たせているつもりで守っていた」と振り返ったとおり、脅威にはなり切れていなかった。

 前半半ばから鳥栖U-15が「インサイドハーフを前に出して対応させるようにして改善した」(森監督)と守備のやり方を修正すると、徐々に試合の流れも変化を始める。そして迎えた37分、鳥栖U-15が東京V Jrユースの一瞬の隙を食い破る。自陣深い位置からMF江頭瀬南(3年)が縦パスを見事に通すと、これを受けたMF山崎遥稀(3年)がドリブルで縦方向に突破。左サイドからのクロスボールに対し、DFとDFの間へ見事に走り込んでいたFW渡邊翔音(3年)が頭で合わせ、先制点を奪い取った。

 後半に入っても、ボールを持つ東京V Jrユースに対し、狙いどころを定めたプレスからカウンターを狙う鳥栖U-15という構図は基本的に変わらない。そして後半立ち上がりに試合はもう一度動く。6分に東京V JrユースのMF半場朔人(3年)の左足シュートを鳥栖U-15のGK森惺舞(3年)が見事に防いだ流れから、サイドを起点にビルドアップ。これは最終的に相手のスローインになってしまったが、鳥栖にとって「そこから前でハメて取り切るのはいつもやっていること」(山崎)だった。

 東京V Jrユースの自陣深い位置でのスローインからのリスタートに対し、サイドに人数をかけてボールをもぎ取ると、DF田中佑磨(3年)からの縦パスが頼れる10番の足元へ。受けた山崎は反転からの突破で東京V Jrユースの守備を切り裂くと、「思い切り振り抜いた」という豪快なシュートを突き刺し、リードを2-0へと広げてみせた。

 その後は「ダブルボランチをワンボランチにしてトップ下を3枚にして、相手がプレッシャーをかけられない形に変えた」(小笠原監督)東京V Jrユースが、交代出場の選手も躍動して猛攻を続ける流れとなり、ついに後半38分にはFW川村楽人(3年)のヘディングシュートがネットを揺らし、1点差に詰め寄る。だが、反撃もこの1点にとどまり、2-1で逃げ切った鳥栖が24日に帯広の森陸上競技場で行われる決勝戦へと駒を進めた。

 第34回大会に続く優勝へ王手を懸けた鳥栖U-15の森監督は「しっかり慌てず、ゴールを隠しながら守ってくれた。グループリーグの最初の頃を考えると、見違えるよう」と選手たちの成長ぶりに満足げな表情を浮かべた。

 一方、敗れた東京V Jrユースの小笠原監督は「鳥栖さんはワンチャンスを決めてくるし、まるで高校生のような強度だった」とそのタフさを称えたつつ、同時に「ここまで日を追うごとに改善・修正できていたし、本当に素晴らしかった」と選手たちの奮闘ぶりを称えた。一方、主将の山本は「優勝しないと意味がない。冬は絶対に勝つ」とリベンジを誓い、会場を後にした。

(取材・文 川端暁彦)

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