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高校生に新たな夏の舞台…eスポーツ大会『全国高校eサッカー選手権』に懸けた思い「これなら僕も主役になれる」

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初の大会出場となった脇役ヒーロー(松が谷高2年)

 夏の高校スポーツに新たな舞台が加わった。PlayStation®4用ソフト『eFootball ウイニングイレブン 2021 SEASON UPDATE』(ウイイレ)の高校生eスポーツ大会「第1回全国高校eサッカー選手権大会 supported by PUMA」の決勝大会が24日に行われた。高校生たちは、自分が戦える場でその頂点を目指した。

 オンライン予選を勝ち抜いた高校生8名が、オフラインの場で直接対決をした。大人も含めた実力者が参加する大会は多くあるが、今大会の参加者は高校年代のみ。ゲーム好きの高校生にとってはより参加しやすく、同年代たちがしのぎを削った。

 選手たちは本名とは別に、プレーヤーネームを付ける。決勝大会に進んだ8名のうちの一人、脇役ヒーロー(松が谷高2年)は大会前から「脇役が主役のヒーローになれるよう頑張ります!」と意気込んでいた。これまで大会に参加したことはなく初挑戦。「自分の中では下手くそだと思っていた」。しかし、オンライン予選で思わぬ好成績を収め、決勝大会に進んでいった。

 本大会では初戦で敗れたものの、脇役ヒーローは「自分の中で手応えはあった。もう少し大会慣れすれば」と前を向く。大会参加は母がきっかけだったという。「それだけウイイレが好きなら、そういう大会にも出てみなよって言われた。ちょうど調べたときにエントリーが出ていた」。偶然が重なり、晴れ舞台に上がることになった。

 母・紀子さんは会場で息子を応援していた。「ゲームは反対派だったんです。勉強しなさいって側だったんですけど、高校に入ってオンラインでやるようになってから、すごく楽しいって言い始めて。自分の趣味を生かせる場所を見つけられたって喜んでいたので、いいじゃん挑戦してみなよって言いました。どんどんできるならこの先も、勉強と両方でやってみたらって、応援しています」。

 母が背中を押したことは、息子に思わぬ勇気を与えていた。決勝大会への出場が決まった後、自らプロeスポーツプレーヤー・Mayageka氏にSNSで直接連絡した。「母から、プロに接してもらえる機会があるなら、無理だとしても聞いてみるくらいのことはしたらって言われたのもあって、自分はMayagekaさんが好きだったので、ツイッターのDMで連絡してみました。すぐ返してくれて、優しかったです」。自分が成長するチャンスと思い始めた。

 脇役ヒーローという名前の由来も教えてくれた。「自分自身、そんなに自信を持てるタイプじゃない。その中でも、脇役だけど活躍できる、自分に自信がなくても少しずつやっていけば、最終的には主役、ヒーローになれるんだよっていうのを、自信を持っていない人にも伝えたかった。ウイイレなら主役になれる。やっていて、一番手応えを感じているものなので」。

 静かに戦いを見守った母・紀子さんは「すごくいい大会だった。思い出に残ります」と語る。「ウイイレは、あの子の人生の中でかなり大きいですね」。新たな舞台が、子どもの可能性を広げていく。

(取材・文 石川祐介)
●第1回全国高校eサッカー選手権大会

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