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日本代表W杯アジア最終予選メンバー発表 森保一監督・反町康治技術委員長オンライン会見要旨

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 日本サッカー協会(JFA)は26日、オンラインで記者会見を行い、カタールW杯アジア最終予選2試合の日本代表メンバーを発表した。2日にパナソニックスタジアム吹田でオマーン戦、7日にカタール・ドーハで中国戦を行う。

 メンバー発表会見では森保一監督、反町康治技術委員長が約40分間にわたって質疑に答えた。要旨は以下のとおり。

●反町康治技術委員長
「いよいよW杯本大会に向けた最終予選がスタートする。現在、コロナの状況があまりよろしくなく、非常に厳しい状況の中での最終予選のスタートになる。ただ、我々は日本で初戦をスタートできることを嬉しく思っている。こうした背景には政府をはじめ、たくさんのいろいろな方の尽力によって、開催できると思い、この場をもって感謝申し上げます。本当にありがとうございます。最終予選は今まで行ってきた2次予選とは全く違う形になると思う。一戦一戦の重み、初戦の重要性、アウェーの過酷な環境の中でのゲーム、そしてコロナ禍の状況の中でのストレスのある生活からのゲームになる。いろいろな意味で非常に大変な形の中で行うことになるが、その中でもブレることなく、日本のサッカーを全面的に押し出していい成果を持ち出していきたいと思う。初戦の相手オマーン、2戦目の相手中国、特にオマーンは情報によると、1か月前からヨーロッパで合宿をして日本に乗り込んでくるという話を聞いている。そして、中国は1戦目もオーストラリアとカタールで行うので、もうすでにカタールに入って試合に向けて準備を整えている。我々は今日発表するが、その後のJリーグの後に集合し、海外の選手はなるべく早く合流して準備を進めていく。五輪を終えて、代表への理解度、サッカーへの関心度が高まってきているので、是非とも、その力をサムライブルーの力に代えて頑張っていきたい。私は団長になるが、全面的にサポートしていきたいと思っている」

●森保一監督
「今日のメンバー発表、カタールのW杯に向けて、我々はいよいよ最終予選を戦うことになる。厳しい戦いの連続になると思うが、一戦一戦最善の準備をして、全力で勝利を目指して戦うこと、そしてカタールのW杯に向けて、厳しいアジア予選を必ず突破して、W杯本大会に駒を進めるように、チーム一丸となって頑張っていきたい。最終予選第1戦はホームで我々はスタートできる。ホームでの戦いの中で、コロナ禍でたくさんの地域が緊急事態宣言の制限のある中、国民の皆さんは大変な思いをして過ごしていると思う。我々の戦いをもって勝利を喜んで頂き、そして選手の頑張りを見て頂き、大変な思いをして生活している方々に励ましのエールとなるような戦いをしたいと思うので、応援よろしくお願いします」

——東京五輪世代が新たにメンバーに食い込むかが今回の焦点だったと思う。谷が初招集だが、思ったよりも多く入ってこなかった印象もある。移籍などで呼びたかったけど呼べない事情があったのか、A代表の選手と実力を見た時に、こういう判断になったのか。
「メンバー招集に関しては、今仰られたような印象を持っている方が多いと思うが、東京五輪からカタールW杯予選に向けての流れもあるが、今回、おそらく、谷だけがA代表の経験を持っていなくて、最終予選メンバーに加わることになった。多くの選手たちはすでにワンチームツーカテゴリの中で、A代表ラージグループとして、これまで活動してきた中、A代表としてプレーをしていたので、あまり強い印象にならないのかなと思う。そして、東京五輪を振り返ったときに、最終予選のA代表のメンバーに選ばれてもおかしくない選手はいるし、選ぼうと思った選手もいる。選考の基準をすべてお伝えすることはできないが、本人のコンディションや日常のクラブでのことも考えて、それが本人のためにもなり、日本サッカーのためにも後々なってくる。クラブのためになると判断して、今回の選考につなげたところもある」

——オマーン、中国はどのようなチームだと捉えているか。
森保「なかなか情報を入手するのが難しい状況だが、これまでのオマーン、そして中国のアジア2次予選などを見た時に個々の特長をしっかりと持っており、個々の良さを活かしながら組織的に戦える2チームかなと思っている。オマーンも中国もわれわれがこれまで持っている情報よりも、オマーンはこの1か月間、中国は2週間程度、最終予選に向けてある中で戦術の上積みをしてくると思う。しっかりインプットしながら、われわれに対して対応策を持って臨んでくるということを柔軟に試合の中で対応していけるように準備しないといけない。アタッカー陣は非常にゴールに向かって推進力を持って得点を奪える、得点に絡める選手が多い。ディフェンスラインは個の力を持って戦えて、かつ組織的にも洗練したチームかなと思う」

——選手たちがドーハに入る時には検査をして入って、隔離期間は置かないのか。
反町「ドーハに関してはいまのところ、隔離をするという制約は聞いていない。なるべく早くカタールに移動したいので、大阪での試合が終わった深夜に移動する予定でいる。当然時差の対策もあるし、カタールは今日40度あるという話を聞いたし、暑熱のところもあるのでなるべく早く行きたい。検査は国の方針に従ってやるつもりだが、われわれの活動においては毎日しっかり検査をして、陰性が確認されたのちに活動する予定でいる」

——この2試合、最終予選のスタートダッシュをどう切りたいか。
森保「これまでどおり目の前の試合に持っている力を100%発揮できるよう最善の準備をしていきたい。選手の招集から全体が集まって試合をするという部分では、トレーニングの回数等々多くは望めないが、与えられた時間の中で相手のことをしっかりとインプットしながらも、われわれの持っているものを100%発揮できるように準備していきたい」

——欧州組はヨーロッパから日本に戻って試合をして、そこから中東に行って2試合目をすることになる。中国のように2試合ともカタールで試合をしたほうがコンディション的に良いように思うが。
反町「いわゆるヨーロッパのチームに在籍している選手が多いので、そういう考え方はなくもないが、われわれとしては日本のホームはいろんな面でアドバンテージがあると考えている。日本のサッカーファンの皆さんに真剣勝負を見てもらいたい思いがあるし、いまのところそういう考えは持っていない。移動は大変だが、国内の選手もいるので、そういう選手で日本でいい活動をして、本来であれば中国に行くところをカタールに帰るという考え方で活動をしてくしかないと思う。

——オマーンは日本が負けたことのない相手だが、前回対戦時はPKの1点にとどまった。どのような戦い方をしたいか。
森保「過去のデータを見る部分ではポジティブに受け取りたいと思うが、このW杯最終予選に出てくるチームは全て強豪の難敵ばかりだと思っている。オマーン代表とは私が監督になってアジア杯で一度対戦したことがあるが、監督も変わっているし、選手も変わっているということを今のところ把握していて、チーム力が非常に上がっていると分析している。どの試合も難しく、本当に厳しい試合になるので、われわれがその一戦に勝利できるようにしっかり分析し、対応した中でわれわれの選手の持っている力を100%発揮できるように試合に向けて準備していきたい。難しい試合ばかりだと思うが、一戦一戦われわれが勝つんだという強い気持ちを持って試合に臨みたい」

——中国代表はどれほど帰化選手が入ると考えているのか。
森保「いま把握しているところでは4人の帰化選手が入るという情報を持っている。とくにアタッカー陣が多いので、帰化選手を中心に攻撃してくるということは準備しておかないといけないと思う」

——柴崎が久々の招集になるが、選出理由と現状のコンディションは。
「このタイミングで招集ということだが、今年の3月、6月にも彼のことは招集しようと考えていたし、彼の所属チームの状況を見ながら招集につなげていこうと考えていた。それが彼のためにもなる。所属チームで結果を出してもらって、1部昇格をすることが本人のため、われわれのため、所属クラブのためになると考えていた。実際に招集のところでは、招集直前に怪我をしてしまって招集できなかったのが現実としてあった。いまのコンディションだが、すでに彼が所属しているレガネスは新しいシーズンを戦っており、岳もレギュラーとして、チームの中心として戦っていることを確認できている。コンディション的にも非常に良いということで招集した」

——柴崎にアジア最終予選でどのような役割を期待するか。
「まずはボランチとしてチームを勝利に導いてくれるよう、攻守に貢献してもらいたい。彼はロシアW杯でもチームの中心として戦っていた。世界で戦うために必要なこと、われわれが世界で勝っていくためにやらなければいけない基準も把握してくれていると思っている。そういった意味でも目の前の試合に勝つ貢献をしてもらいながら、高い基準でチームを引っ張るようなプレーをしてもらいたい」

——Jリーグの選手は戻ってきてから隔離措置があるのか。それによって選びづらい部分があったのか。
「選びづらいということは特にない。現段階でベストなメンバーで臨むというのがわれわれのスタンス。もちろん、帰ってからの措置はいまの政府からの話でいくつかあるが、帰ってからJリーグの試合に参加できないということはない。ただ帰国後すぐの試合は認められていないところもあるので、すでにJリーグ側に相談するという話はしている。その後の対応措置はしていただけるものと考えている。ただカタールから帰ってきた場合、スタッフも含めて2週間の隔離措置はあるので、それに従ってやっていく。選手はいわゆる一人バブルという言葉になるが、練習や試合など主だった活動以外は、バブルの状況を作ってやっていくことをお願いしている」

——五輪期間中にやってきたことがどの程度今回の活動に影響するか。
森保「五輪は五輪で目標を持ちながらわれわれは戦ってきた中で、これまでの五輪代表の活動、そしてA代表の活動もすべて今後の日本サッカーの強化になるだろうとやってきた。五輪の先の目標であったり、チーム作りを考えながらワンチームツーカテゴリで活動してきた。五輪からA代表にという部分では、特にディフェンスラインの選手たちはオーバーエイジ、A代表常連の選手たちが五輪チームに加わってくれて、五輪の戦いに挑んだ。そういった意味では五輪チームのメンバーをそのままA代表に移行しながら、今回五輪には残念ながら選ばれなかった選手たちとともに融合させて、またチームのレベルアップを図りながら最終予選につなげていきたいと思っている。選手たちもA代表と五輪代表を融合しながら、ミックスしながら分かれて強化をしてきたので、別のチームとか別のグループがそこで混じり合って最終予選に向かうというような違和感はないと思っている。五輪をどう活かすかというより、すでにA代表をさらに強化するということで2チームを強化してきたので、違和感なく融合して選手たちが持っている力をスムーズに発揮できると思っている」

——五輪を通じて日本代表として前進したと思うが、どのくらい、どのように前進したと考えているか。
森保「どれくらい前進したと言われると前進の度合いはメディアの皆さんをはじめ、われわれの代表を見てくださっている皆さんにさまざまな評価をしていただければと思っている。どれくらいというのは分からないが、五輪に出た選手たちは実際の経験を持って、間違いなく全員がレベルアップにつながる経験をできたと思っている。そして日本代表を目指してくれている選手たちは、五輪での日本代表の戦いをみんなが見てくれたと思っている。グループリーグ3試合、決勝トーナメント3試合の計6試合で世界の強豪と戦った中、われわれ日本代表の強みと、最後足りなかった部分は出てきたと思う。そういったところを一人一人が感じて、また日本代表のこれからの強化と選手個々の成長につなげてくれると思う。五輪では決勝トーナメントに入って、準決勝と3位決定戦に勝利できなかったが、たとえばスペイン代表は五輪前の欧州選手権で6人の選手がA代表を経験していた。そこにもともとA代表経験のあるオーバーエイジ選手が加わり、A代表に近いチーム編成で五輪に臨んでくれた。そこでわれわれが世界で勝っていくための基準をこれからの戦いに活かしていきたいし、選手・チームのレベルアップに活かしていきたい」

——スコットランドで活躍を続ける古橋、無所属での選出となった長友についてどう考えているか。
森保「まず古橋亨梧だが、セルティックに移籍して、得点という形でも、チームの勝利という形でもこの短期間で欧州のサッカー、セルティックというスコットランドリーグの強豪の中で力を発揮している。彼の特長である素早い動きから相手を外してゴールに向かう、動きで得点を奪う、チームメートとうまく連係連動して得点チャンスを作り、得点を奪うというところで彼の良さが出せていると思っている。長友は現在所属チームがなく、彼の活動が一般的には不透明なところがあると思うし、コンディションのところは皆さんにわからないこともあると思うが、われわれはこれまでも常に代表スタッフが連絡をとりながら、彼の所属先がどう決まっていくかというところもある程度道筋を聞いているし、彼のいまのコンディションも把握して招集につなげている。もちろんメンバーで選んでいるので、試合に臨んでもらうということは考えているが、今回選んだ選手の中でも試合に出るためにはコンディションを見て、そこでスタメンを選ぶ、途中出場をどうするかを考えていきたい。またチームに合流して、チームトレーニングをしてから、さらにコンディションを確認して、起用につなげていきたいと考えている」

——海外クラブに所属している選手で、今夏の移籍ウインドーでクラブが変わってしまった場合の招集はどうなるか。
反町「欧州だと8月末まで移籍期間があるので、いま長友の話になったように、彼もそこに向けて調整していると思う。報道でもあるようにチームが変わる選手もこれからたくさん出てくると思う。そうした場合、移っていく先のチームと話をすることになるが、インターナショナルマッチデーは基本的に招集に応じる期間でもあるので、JFAの欧州拠点のリーダーとしっかり話をした中で、話を詰めていくという形になる。現段階でもしかしたらというのが何人かいるので、もしそうなったら、迅速に日本に来るための移動手段や検査を準備している。

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