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[MOM740]産業能率大FW菅原龍之助(3年)_フラストレーションが溜まる展開でみせた確かな成長

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決勝点を決めたFW菅原龍之助

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.26 第45回 総理大臣杯2回戦 産業能率大1-0関西福祉大]

 我慢が実を結んだゴールだった。産業能率大は延長が頭によぎった後半45分、MF小野寺亮太(3年=湘南工科大附高)の強烈なシュートを相手GKが弾いたこぼれ球、詰めていたFW菅原龍之助(3年=仙台ユース)が押し込み、決勝点を奪った。

「嗅覚というか、10本に1本くらいしかこぼれてこないと思うんですけど、それを狙い続けることで、貴重なゴールが生まれる」と菅原本人が話すとおり、FWとしての役割を全うした得点だった。

「強気で負けん気なところが魅力の選手。自分が絶対に点をとるっていう強い気持ちを高校3年のときから持っていたので、大学4年間でどれだけ成長できるか楽しみ」と小湊隆延監督も評価する。だが、その強気な部分がこれまではマイナスに働いてしまうこともあった。この日のように、辛抱する展開の試合だとフラストレーションを溜めて、イライラしてしまい、仲間への声掛けもネガティブになっていた。しかし、関西福祉大戦は押し込まれても「自分がじれるとチームにも悪い影響を与えるので、我慢我慢で。中でもそう話してて、冷静にやれた」と自らをうまくコントロールできた。

 アミノバイタル杯でも耐える時間帯の試合が多く、そこでチーム全員が「自分たちはまず守備から」と同じイメージを共有できていたことも大きい。さらに、部内で新型コロナウイルス感染症の陽性者が認められて、活動停止が余儀なくされた期間があった中、オンラインミーティングを重ねて、様々な気づきを得たことも菅原を含むチーム全員の糧となっている。

 関東でのプレーを希望し、「みんなで頑張るスタイル」に惹かれて産能大に進学。大学で一番成長できたのは、「人間性の部分」と菅原は言う。小湊監督が「自分の課題に向き合って、大会ごとに成長はしている」とその進歩を見守るように、「自分は点取れなかったらイライラしちゃうところがあった。でも、チームのためにと思うことで、熱いけど冷静にプレーできるようになったかなと思います」と菅原自身も己の変化に手応えを感じている。

 次戦はアミノバイタル杯準決勝でも対戦した山梨学院大との対戦。「アミノバイタルでは無得点でチームを助けられなかったので、全国大会では自分がチームを助けたい」という意気込みで、ベスト4へチームを導く。

(取材・文 蟹江恭代)
●第45回総理大臣杯特集

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