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J帰還組に“無所属”DF長友「それも良い選択」…それでも変わらぬ思い「過酷な環境で挑戦したい」

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 日本代表でも多くの選手が転機を迎えている中、DF長友佑都は「無所属」での選出となった。それでも34歳のベテランは30日のオンライン取材で「焦っても仕方ないんでね。移籍は焦っても決まらないし、去年もこんな感じだったので自分自身は落ち着いている」と笑顔で語り、代表活動に集中していく構えを見せた。

 選手の移籍がこれまで以上に活性化した今夏の日本代表。国内移籍を決断したDF酒井宏樹(マルセイユ→浦和)とFW大迫勇也(ブレーメン→神戸)のほか、新たに欧州挑戦をスタートさせたFW古橋亨梧(神戸→セルティック)、期限付き移籍で所属先を変えたMF久保建英(R・マドリー→マジョルカ)、MF板倉滉(マンチェスター・C→シャルケ)ら、選手たちにはさまざまな転機が訪れている。

 そうした中、昨季限りでマルセイユを退団した長友だけが、欧州の移籍市場が佳境に差し掛かっている現在も今季の所属クラブが決まっていない。もっとも、当の本人は至って冷静なままだ。

「僕自身は焦りもなく冷静に見ている。自分の意思だけでは決まらないので、自分を欲してくれるチームで輝けるように努力するだけ」。

 そう語った長友は、あらためて欧州でのプレーを継続したい意向を語った。

 大迫と酒井のJリーグ移籍に関しては「彼らはヨーロッパのトップレベルもわかっている。逆に彼らにとっては最終予選が月1回で続いていくので、移動負担や時差を考えればそれもいい選択だと思う」と理解を示した。それでも「(長友自身が国内移籍を)選ばないかどうかは2日間の市場が残っているのでわからないけど、僕の哲学は過酷な環境で挑戦したい哲学があるので、そこは変わらずに持っている」とポリシーを明かした。

 そうして迎えるカタールW杯アジア最終予選。長友にとっては4度目の最終予選となる。

「緊張感も2次予選とは全く違うし、相手のレベルも一段上がってくる。それにのまれずに前からプレッシャーをかけて、日本代表の強さを相手に見せつけたい。いまの日本代表にはそれができるだけの強さがあると思っている」。

 そう自身を示した長友は「自分たちが目標としているベスト16の壁を破ってベスト8、ベスト4に行くという目標を掲げている以上、アジア最終予選でも圧倒できないといけない」と力を込めつつ、「若手とベテランの融合が非常に大事になる」と強調。4位に終わった東京五輪を振り返りつつ、次のように語った。

「五輪も全試合見たけど、スペイン代表とかW杯でも上位に行くようなチームにはまだまだ差があることを正直感じた。ああいう壁を越えていけるよう、もっとチャンスを作らないと、僕らがW杯で目指すような場所にはいけない。自分自身も分析しながら五輪を見ていた」。

 そんな長友は昨季終了後、パーソナルコーチとのトレーニングを続けながら、今回の活動に向けてコンディションを高めてきたという。

「日々のトレーニングをしっかりやってきたし、ケアのところも高い質を保ちながらやれていた。サッカーの感覚はまた別問題だけど、コンディションもいいとしっかり吸収できるし、そこも伸びていく」。

 そうした姿は前回までの代表活動と同様、長友を慕う若手たちの模範となるはず。「自分が出場したら自分のパフォーマンスをしっかり出せるようにしたい。出なかったとしても経験を伝えたり、モチベートしたり、メンタル的な役割もできると思うので、そこも含めてチームに貢献したい」。自身の立場はどうであれ、ピッチ内外で求められる大きな役割をまっとうしていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
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