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ブラジルに圧倒的完敗も下向かず…5人制サッカー日本代表は4強入りを懸け、“アジア最強”中国との大一番へ

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5人制サッカー日本代表は31日の中国戦で4強入りを狙う

[8.30 東京パラリンピックGL第2節 日本0-4ブラジル 青海]

 5人制サッカー(ブラインドサッカー)日本代表は、30日のグループリーグ第2節でブラジルに0-4と完敗。第2節を終えたグループAで勝ち点3の2位に位置しており、31日には得失点差で3位にいる同勝ち点の中国との、ベスト4進出を懸けた大一番を迎える。

 初戦でフランスに4-0と勝利した日本。しかし、高田敏志監督はフランス戦後、第2節の対戦相手であるブラジルを「ちょっと想像の斜め上に行く」ほどの強さと表現していた。勝利を狙うとは口にせず、「ぼろ負けしちゃうと後が大変。リズムを崩してしまうと(第3戦の)中国戦に引きずってしまう可能性もある。勝てたら勝つが、負けるとしても負け方、引き分け方がある」と慎重な姿勢を見せていた。

 予想はその通りとなった。前半5分にブラジルに先制を許し、0-1で後半に折り返すと、そこから3失点。0-4で大敗を喫した。終始ブラジルにボールを保持され、日本はほぼシュートを打てず。4連覇王者の貫禄を見せつけられた。

 高田監督は「力の差が出たっていうところはある。その力の差を埋める準備をしてきたんですが、それでちょっとリスペクトしすぎた」と語る。「たぶんあれが違う国のビブスを着ていたら、前半あんなに重い守備にならなかったと思うんですけど、オーラを出すのもブラジルだなと思った」と実力差というより、戦う姿勢に敗因を求めた。その上で「あんまりいい負け方ではない」としつつ、「ミスが続いちゃったっていうことです。(選手たちは)全部わかっているので、全部言わないです」と選手たちの挽回に期待を寄せていた。

 指揮官のその思いは選手たちに届いているようだ。

 初戦で2得点を挙げたFW黒田智成だが、ブラジル戦は不発に終わった。「世界のトップオブトップのプレーを肌で感じて、強さ、速さ、上手さすべてを兼ね備えているその実力を見せつけられたなと思いました」と敗北を認める。「気持ちの面で相手をリスペクトしすぎた面があって、守りに入りすぎたところでブロックが下がりすぎた。相手にプレッシャーをかけてボールを奪えた場面もあったと思うんですけど、ちょっとそこが悔しいところでした」。悔しさをにじませながらも、落胆しすぎず前を向く。

「中国に勝って、もう一度決勝トーナメントでブラジルと戦えるように。明日予選リーグを突破して、もう一度ブラジルと戦えたら嬉しいなと思います」

 ほかの選手も気持ちは同じだ。

「決勝までいって、ミスなくして、もう一回戦いたい。しっかり戦って、上に上がりたいと思います」(DF田中章仁)

「これが現実ですし、そんなに甘くないよっていうのを教えてもらった。でも、まだ一試合ある。いい教訓で明日につなげたいと思います」(GK佐藤大介)

「今日負けたけど、明日は絶対に負けない。気持ちでいく。絶対明日はまた頭を上げて、100%の力で戦うようにしたい」(MF佐々木ロベルト泉)

「明日は相手を止めて、もっとシュートにいって、もっとチャンスを作れたら。今日は昨日より(シュートを)ゴールに近づけることはできた。昨日は枠外に流れただけ。今日はGKまで行けた。明日は枠内に点を決めるだけだと思うので、目標は明確になっているので、今日より長くチャンスを作って、点につなげられるようなプレーができたらなと」(FW園部優月)

 世界ランク12位の日本がグループリーグ最終節で戦うのは、世界ランク5位でアジアトップに位置する中国。だが、その実力差は埋まっており、2年前のアジア選手権では2-2のドロー。PK戦の末に2-3で敗れたが、試合の流れの中では拮抗した強さを見せつけた。

 両者ともに勝ち点3の同点で、日本の得失点差は0、中国は-2と、日本に有利な状況。明日の最終節では引き分け以上で、日本がグループリーグを突破し、準決勝に駒を進めることができる。

 高田監督は「日本のブラインドサッカーの歴史上、常に中国が壁になって上のステージに行けなかった」と語る。「明日、目の前で歴史を変える瞬間があるので、僕は勝って(準決勝に)行きたいと思っています」。パラリンピック初出場で初勝利を成し遂げた日本が、さらなる躍進を狙い、大一番に臨む。

(取材・文 石川祐介)
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