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“0%からの逆襲”の立役者MF原口元気「突き動かされていた」思いをもう一度

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日本代表MF原口元気(ウニオン・ベルリン)

 ロシアW杯アジア最終予選で「確率0パーセントからの大逆襲」の立役者となった日本代表MF原口元気(ウニオン・ベルリン)が、ドーハ入りから一夜明けた4日、オンライン取材に応じ、“5年前の再現”を誓った。

「尻に火がついている状態。僕自身の立場もチームも」。原口はそう言った。

 2日に行われたカタールW杯アジア最終予選初戦。4-2-3-1の左サイドハーフとして先発した原口は立ち上がりからまったく良いところがなくハーフタイムで交代した。日本はホームでオマーンに0-1と敗れ、まさかの黒星スタートとなった。

 W杯アジア最終予選で初戦を落としてW杯に出た国は、ロシア大会前までは一つもなかった。日本がそのデータを覆したため、現在は出場確率0パーセントではなくなかったが、この先、もう負けられないという状況は前回と同じだ。

 ここで思い出すのが、16年9月1日から始まったロシアW杯アジア最終予選だ。ホームで行われた初戦でUAEに1-2で敗れたハリルジャパンは、その5日後にアウェイで行われたタイ戦で2-0の勝利を収めたのを契機に、10月のイラク戦にも勝って2連勝。このときの2試合連続ゴールを挙げて日本の救世主になったのが原口だった。

 守備時の気迫はすさまじく、情熱のすべてをピッチで発露しつくすようなプレーを連発した原口は、続くオーストラリア戦(1-1)で3試合連続得点。勢い余って相手にPKを与えたことまで含めて絶大な存在感を示し、チーム全体にエネルギーを供給した。

 その原口が、今回のオマーン戦を念頭に起きながらこう言った。

「初心に返ることが大事だと思っている。W杯でプレーしたい、W杯ってどういうものだろう。そこに行きたい、そこでプレーしたいという思いに突き動かされていた4、5年前。今はW杯もいろいろなことも経験して、“飢え”は前の方が強かったと思う」。

 自戒を込めた言葉が次々と飛び出した。

「もちろんW杯には出たくてたまらないが、この気持ちは自分でコントロールしないといけない。正直、オマーン戦ではそれをうまくコントロールできなかった。でも、僕だけじゃなく全選手がもう一度W杯への思いや危機感を呼び起こして、もう一度熱く戦うための良い教訓になるのではないかと思う」

 精神面の部分を強調する原口だが、戦術を改善することや、フィジカルコンディションを臨戦レベルへ整えることの重要性はいうまでもない。

「本当にW杯に行きたいという気持ちをどれだけピッチで表現できるかだと思う。僕らはそれを表現する使命があると思っているし、僕自身できると思っている」。原口は5年前の再現をはっきりと頭に描いている。

(取材・文 矢内由美子)
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