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シルバーコレクター返上、法政大が悲願のV!「涼の分まで」田部井涼の負傷離脱で団結

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法政大が4年ぶり5回目の総理大臣杯優勝

[9.5 総理大臣杯決勝 東洋大1-2法政大 味フィ西]

 なぜ勝てないのか、法政大は答えの出ない日々と戦った。川崎フロンターレに内定するMF松井蓮之(4年=矢板中央高)や横浜FC入りが決まっているMF田部井涼(4年=前橋育英高)ら入学前から話題を集めた世代が最終学年を迎えた今季、法大は「全タイトル制覇」を目標に掲げた。

 しかし“1冠目”である天皇杯東京都予選の東京都サッカートーナメント決勝で駒澤大にPK戦の末に敗戦。さらに“2冠目”の総理大臣杯の関東地区予選であるアミノバイタルカップでも産業能率大にPK戦で敗れてしまった。

 特にアミノバイタルカップの敗戦はショックが大きかった。決勝の翌週に戦った後期リーグ開幕戦の拓殖大戦では、前半で4失点する大敗。総理大臣杯に向け、1週間、2週間でどこまでチームを立て直せるのか。イレブンは不安とも戦っていた。

 しかし大会に入ると初戦で気を引き締めざるを得ない事態が起きた。主将MF田部井涼が初戦のIPU・環太平洋大戦前のウォームアップ中に負傷。最初はスタメンで発表になっていたが、急きょ入れ替えが行われた。診断は肉離れ。全治6~8週間の大怪我で、今大会の欠場が決定的となった。

 だが「涼の分をみんなでカバーしないといけない」という思いが邪念を振り払い、逆に団結を生んだ。システム変更など対応に追われたこともチームの集中力を高めた。また田部井も荷物運びなど裏方の仕事を率先して行うなど、積極的にチームをサポートしていたという。長山一也監督も「怪我したあともキャプテンとして引っ張ってくれた」と感心する。

 そして何より頑張ったのが、同期の4年生だ。松井蓮之が「涼が怪我したことで自分に対する期待は感じた。涼の分まではいかないけど、涼がいつもやっているキャプテンシーを出せば、勝てるという思いがあった」と話せば、FW佐藤大樹(4年=札幌U-18)も「涼がいなくても自分たちは勝てるんだということを示せてよかった」と胸を張った。

 指揮官も4年生の頑張りを評価する。前回優勝の2017年大会はFW上田綺世(当時1年生、現鹿島)の決勝弾など下級生が中心となって優勝した大会だったことを取り上げ、「選手全員のクオリティも上がっているのもありますが、今回は4年生が頑張って活躍してくれた」と労いの言葉を送った。

(取材・文 児玉幸洋)
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