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勝利にも笑顔なき柴崎岳「まだまだ自分たちは厳しい立ち位置にいる」

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[9.7 W杯アジア最終予選 日本1-0中国 ドーハ]

 この1試合であの敗戦を帳消しにできたとは思っていない。まさかの黒星スタートとなった2日のオマーン戦に続いて2試合連続フル出場した日本代表MF柴崎岳(レガネス)は、勝ち点3奪取に貢献したものの、表情を崩すことはなかった。

「1戦目の自分たちの失態を取り戻す最低限の結果。個人的には1戦目のこともあって、喜ばしいというか、そこまでうれしい気持ちにならなかった」と率直に言った。それほど、ホームでの黒星スタートを重く受け止めての中国戦だった。

 試合は1-0という“綱渡りの勝利”だった。前半は5バックでリトリートを決め込んだ相手に対し、日本は多くのシュートを浴びせたが、あと少しのところで精度が足りなかった。それでも前半40分にFW大迫勇也のゴールで先制に成功。後半は、一転してシステムを変え、帰化選手の投入で攻撃を厚くしてきた中国に対し、相手の流れにするまいと、ゲームコントロールの面で工夫した。

「テンポが速すぎて起こりうるカウンターの応酬を避けたかったので、自分にボールが入ったところは落ち着いて展開を戻そうとした」(柴崎)

 簡単にはたくのではなく、あえてドリブルを織り交ぜるなどのプレーは柴崎ならでは。何らかの“事故”があれば、一気に勝ち点2を失う危険性のある1-0というスコアでしっかりと勝ち点3を手にすることに貢献した。

「1戦目に自分たちのパフォーマンスの低さから負けを招いてしまい、僕個人としてもチームとしても重く受け止め、なんとか挽回していこうという雰囲気の中、ここまでの準備期間で練習から緊張感を持って、チームとして良い方向に向かった。敗戦を受け入れて中国戦に向かって勝っていくというメンタリティーは出せたと思う」

 10月に対戦するサウジアラビアとオーストラリアはいずれも2連勝で勝ち点6を取り、スタートダッシュに成功している。「10月は本当に大事な試合になる。この勝利に浮かれず、まだまだ自分たちは厳しい立ち位置にいるのだと自覚して10月シリーズに向かいたい」と言葉に力を込めた。

(取材・文 矢内由美子)
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