beacon

まさかの苦言?釜本氏「中国戦見ない方が良かった」に岡田武史氏がジョークで切り返し

このエントリーをはてなブックマークに追加

JFA100周年記念式典に出席した岡田武史氏

 日本サッカー協会(JFA)は10日、1921年の創立から100周年の節目を迎え、千葉県内で記念式典「JFA100周年セレブレーション」を開催した。

 それぞれの時代を彩ったレジェンドが次々と登壇する中、元日本代表の釜本邦茂氏は7日に行われたW杯アジア最終予選・中国戦(○1-0)について「この前の中国戦、(深夜)12時からの試合を見たけど、2時間見たあとで疲れた。あれだったら見ない方が良かった。見る人にそういう思いをさせないような迫力あるサッカーをしてほしい」と苦言。この辛口評価に反応したのが、DAZNで中国戦の解説を務めていた元日本代表監督の岡田武史氏だった。

 釜本氏のあとに登壇した岡田氏は「釜本さんが『眠くなった』と言っていたから、俺より松木(安太郎)の方が良かったのかな」とジョークで会場の笑いを誘うと、「森保(一監督)とはよく話すし、彼の気持ちは分かる。力さえ出せればいけると思うが、いろんなプレッシャーの中でその力を出せるかどうか。何とか乗り越えてほしいなという思いで見ていた」と、森保ジャパンへエールを送った。

 自身も日本代表監督として98年フランス大会、10年南アフリカ大会と2度のW杯出場に導き、南アフリカW杯では自国開催以外で初の16強入りを果たした。決勝トーナメント1回戦でパラグアイにPK戦で敗れ、ベスト8進出を逃したが、「今まで監督をやってきて、何度か『絶対に勝つ』と確信を持つときがある。あのパラグアイ戦の前は絶対に勝つと思っていた」という。

「ところが、勝てなかった。なんでなんだ、なんでなんだとずっと自分に問いかけていて、ふと一つのことを思い出して、自分に隙があったことを思い出した。ベスト16に行ったことでどこか満足していた。これが優勝したことのある監督だったら絶対に隙を見せることはなかったと思う。そういう意味では本当に選手に悪いことをしたと思った」

 11年前のことをそう回想した岡田氏は現在の日本サッカーについて「確実に成長してきていると思う」と評価したうえで、「川淵(三郎)さんもおっしゃったように底辺が広がっていかないといけない。ボランティアでやっている町のおじさん、学校で教えている先生方。いろんな人がレンガを積んでピラミッドをつくっていく。縦に積むと倒れるので、ピラミッドのように積んでいって、代表チームの監督というのは最後の1個を乗せる役割」と持論を展開した。

「ここからは協会やJリーグ主導で“こういうサッカーをやっていくんだ”というより、多様性が必要だと思う。多様な選手を選んで、一つのチームにしていく。一つの状況が変わってガタガタいくことがないように、そういう多様性が必要だと思っている」と、今後、日本が進むべき方向性にも言及した。

(取材・文 西山紘平)

TOP