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取り組み変わった京都橘、京都奪還・その先へ繋がる1-0勝利

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勝利を喜ぶ京都橘高の選手たち

[9.11 高円宮杯プリンスリーグ関西第12節 京都橘高 1-0 金光大阪高 YANAGI FIELD]

 高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 関西は11日、第12節を行い、京都橘高(京都)が金光大阪高(大阪)に1-0で勝ち、順位を暫定6位へ上げた。

 京都橘の米澤一成監督は「取り組みがめっちゃ良くなりました。(トレーニングの)強度が全然違います」と頷く。主力数人を欠いていたとは言え、8月28日の履正社高(大阪)戦で0-4。その黒星をきっかけに“変わった”京都橘が後半戦初白星だ。


 対戦した金光大阪は試合の延期が続き、2か月ぶりの公式戦。ただし、岩松哲也監督が「守備は粘り強く、わりかしできていた」と認めたように、チーム全体でしっかりとスペースを埋め、局面で粘り強く戦い続けるなど持ち味を発揮していた。

 ボールを握る京都橘は高校年代屈指のストライカー、FW木原励(3年)が相手の背後を狙っていたほか、10番MF長谷川裟恭(3年)の展開から右WB丸山大輝(2年)、左WB青山楽生(3年)の両翼の鋭い仕掛け、クロスでゴール前のシーンを作り出す。木原がFW奥村真弘(2年)とのワンツーでゴール前へ飛び込む場面も。だが、金光大阪は守備範囲の広いGK宮前壱爽(3年)やCB西岡悠(3年)、CB安原瑞歩(3年)がラストパスを弾き返すなど得点を許さない。

 逆に金光大阪は対人で強さを見せていた右SB南壮磨(3年)のクロスを俊足FW小松勇輝クワァベナ(3年)が頭で合わせたほか、大黒柱のMF武仲勇海主将(3年)が関節FKからシュートを打ち込むなど、攻め返す。

 この日、京都橘は連係ミスや技術ミスもあってボールを失うシーンが増えていた。だが、切り替え速く相手に寄せる守備や、セカンドボールの回収を徹底。空中戦や対人守備で存在感を放つDF宮嶋大輝(3年)とDF前山仁(3年)、DF林禮蒼(2年)の3バックが跳ね返したボールをこの日活動量の多かったMF鎌田翔大(3年)やMF上西剛史(2年)が拾い続ける。特に後半は相手が繋ぎたい1本のパスを幾度もカットしていた。
 
「1クッションがない」(岩松監督)金光大阪は、奪ったボールをすぐに渡してしまうシーンが多発。後半15分にはMF大渕颯太(3年)が巧みにDFのマークを外して放った左足シュートがゴール左を捉えたが、京都橘GK田中萌誠(2年)のファインセーブにあい、得点することができない。

 一方の京都橘は後半20分に3枚替え。ビッグチャンスを逸するなどやや重苦しい空気が流れていたものの、難しい試合で諦めずに戦い、1点をもぎ取った。後半36分、木原のキープから中央でパスを受けた交代出場FW芳賀海斗(3年)が、右前方のスペースへと持ち出して右足一閃。「履正社、桐蔭と前の2節は勝ちを落としているし、桐蔭戦は短い時間で結果を残せていないし、出たら絶対にやってやろうと思って出ました」という芳賀の正確な一撃が右隅へ決まり、決勝点となった。

 京都橘はインターハイ予選決勝で全国8強の東山高にPK戦で敗退。木原は「やられた感はなかったんですけれども、結果やられたので……。その後も、その気持ちのままやったんで上手くいかなかった」と振り返る。また、チームは今季、「日本一の切り替え」を掲げていたが、それも表現できないままだった。それでも、履正社戦の敗戦後、選手間で改めて見直し、こだわってきた強度。トレーニングでは狭いグリッドでの激しい攻防など、けが人が出てもおかしくないほどの激しさがチームの基準となったという。

 前節の大阪桐蔭高(大阪)戦は0-0で勝ち切れなかったが、内容のあるゲームを2試合続け、白星も勝ち取った。セカンドチーム、1年生を含めた京都橘の代表選手という責任感も力に。木原は「全員で“狂ったくらい”にやらないと上手くいかないというのがあった。(現在、トレーニングで)自分らはそこまで行く?というくらいやれている」と手応えを口にする。プリンスリーグ関西で積み上げて京都奪還、その先へ。芳賀は「この勝ちも次の試合に繋げたいし、夏負けている東山にもこれ以上の力を出さないといけないから練習で積み上げるしかないし、練習でもっと言い合って強くなるというのが本当のチームだと思うので、頑張っていきたい」。選手権での京都連覇は難関。夏の悔しさを晴らすため、また全国制覇という大目標達成のため、まだまだ緩めるつもりはない。

(取材・文 吉田太郎)
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