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もう、「みんなを泣かしたくない」。京都橘は成長株の2年生GK田中萌誠が安定感とファインセーブで無失点勝利

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京都橘高の2年生GK田中萌誠はファインセーブを見せるなど完封勝利に貢献

[9.11 高円宮杯プリンスリーグ関西第12節 京都橘高 1-0 金光大阪高 YANAGI FIELD]

 成長株の2年生守護神が京都橘高を救った。0-0の後半15分、金光大阪高は中盤に空いたスペースを活かした攻撃。最後は右サイドのMF大渕颯太(3年)がDFのマークを外して左足を振り抜いた。ボールはゴール左を捉えたが、GK田中萌誠(2年=Vervento京都F.C.出身)が見事な反応でビッグセーブ。得点を許さなかった。

「最初、自分のミスで流れが悪くなったりして、でも絶対に勝たないゲームだったので止められて良かったです」と田中は語る。登録180cmの2年生GKはゴール前での落ち着いた姿が印象的。金光大阪のGK宮前壱爽(3年)は守備範囲の広さを活かして好守を続けていたが、田中もゴール前に入ってくるボールに対して安定した処理を続け、無失点勝利に大きく貢献した。

 今年は春の遠征で負傷し、離脱。復帰戦となったインターハイ京都府予選決勝は2-2からのPK戦で涙をのんだ。「その悔しさはずっと残っていたので、みんなを泣かしたくなかったし、絶対にこれからは止めたいと思った」。練習の姿勢から変えた2年生GKは、先輩たちの励ましも受けながらに急成長。特長のシュートストップや左足キックを磨いて自信を掴み、米澤一成監督も「一番伸びてきている」と認めるほどの成長を見せている。

 昨年はGK中村青、GK前田宙杜、GK郷田凪砂、GK柳本升吾という3年生の実力派GKたちが激しいポジション争い。選手権メンバーに食い込むことはできなかったが、多くを学ぶことができた。

 現在も不調の際などにSNSなどで連絡をもらったりするのだという。「どうや、と言ってくれたり、構えとか立ち位置とか教わったことを、気にしながら練習していたら良くなってきた」。田中が目指しているのは、当時サブのGKだった郷田だ。

「あの人のような人間性の良い、凪砂君みたいになりたいです」。同じ左利きでナショナルGKキャンプに参加している前田のようなプレーと人格者として話題になっていた郷田、そして他の先輩GKたちの良さを吸収してより信頼感厚いGKになる。

 インターハイ出場を逃しているだけに選手権への思いは強い。「チームもどんどん乗ってきているので、練習からもっと厳しく激しくやっていきながら東山を倒して本戦へ行きたい」。そのためにまだまだ貪欲に成長し、ゴールを守り続けてチームから信頼を高める。

(取材・文 吉田太郎)
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