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プリンス東北上位対決は4-0で決着。無念のインハイから課題改善に取り組む尚志が仙台育英に快勝!

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前半5分、CB入澤新大(3番)の先制点を喜ぶ尚志高イレブン

[9.18 高円宮杯プリンスリーグ東北第15節 尚志高 4-0 仙台育英高 尚志高G]

 高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 東北は18日、第15節を行い、首位・尚志高(福島)と3位・仙台育英高(宮城)の上位対決は尚志が4-0で快勝した。

 尚志の選手たちは今週、新型コロナウイルスのワクチン接種後で、しっかりと全体練習ができたのは2日間だけ。「その前の2週、良い練習ができていた」(仲村浩二監督)というチームは雨の中、不安も抱えながらのゲームだった。

 立ち上がりの3分、仙台育英MF明石海月(3年)の右足FKが1バウンドして左ポストを直撃。冷や汗をかかされた尚志だが、セットプレーの好機を先制点に結びつける。5分、MF松尾春希(3年)の左CKの小さなクリアに反応したCB入澤新大(3年)が、思い切り良く左足を振り抜く。これがゴール右を破り、先制点となった。

 その後もサイドから押し込んでゴールへ迫る尚志は10分、再び松尾が左CK。これをファーサイドから飛び込んだMF新谷一真(3年)が頭で合わせて2-0とした。インターハイ・静岡学園高戦(1-3で敗戦)以来の対外試合だった仙台育英は、まずまずの入りができていたものの、痛い連続失点。それでも、直後にエースFW佐藤遼(3年)が個でゴールへ迫り、14分には大型MF島野怜(3年)がインターセプトからドリブルシュートを打ち込む。

 前半の仙台育英はいずれも尚志を上回る7本のシュートと5本のCK。佐藤、島野が相手にとって怖い存在になっていたほか、スピードのあるサイド攻撃でシュートシーンを作り出していた。だが、次の1点を奪ったのも尚志の方。28分、入澤が左サイドを駆け上がった左SB草野太貴(3年)へ見事なフィードを通す。そして、草野が入れたクロスのこぼれをMF山本叶多(2年)が左足で決めて3-0とした。

 仙台育英は前半終了間際にFW村井創哉(3年)がカットインから左足を振り抜くが、尚志GK鮎澤太陽(2年)がファインセーブ。尚志はこの日、U-20日本代表候補CBチェイス・アンリ(3年)が不在で前半は鋭く切れ込んでくる佐藤や島野にシュートまで持ち込まれていたが、「頭良いプレーヤーなので修正してくれていた」(仲村監督)というCB安江海ラウル(3年)と入澤を中心に全体をコンパクト化し、中央に人数を掛ける形で守りを改善する。
 
 特に後半は佐藤に入ってくるボールを2人がかりで封じていたほか、サイドの攻防では期待の快足SB鈴木大翔(2年)が蓋をして見せる。また、尚志は前線からのプレスで相手に質の高いキックを許さない。

 仙台育英もコンビネーションからゴールに迫っていたが、尚志DF陣が再三シュートブロック。加えて、仙台育英は城福敬監督が「タイミングではなく、キックの技術(の差)のような気がする。点を獲ってやるということがチームメートを落ち着かせることになるんだけど」と振り返ったように、佐藤や島野をはじめ強烈なシュートこそ打っていたが、全体的に精度を欠いていた。

 一方、松尾と新谷を中心に相手を見ながら巧みに試合を進めていた尚志は、39分にも鈴木の右アーリークロスからFW村上力己(3年)がクロスバー直撃のスライディングシュートを放つ。そして、後半アディショナルタイム、交代出場FW本田陸(3年)が、相手のクリアミスを逃さずに抜け出し、ダメ押しゴールを決めて4-0で試合を終えた。

 尚志はインターハイ初戦で日章学園高(宮崎)に0-0からのPK戦の末に敗戦。“怪物”CBアンリを擁し、攻守のバランスも良く、前評判高いチームだったが、わずか1試合でインターハイを終えた。
 
 そこからまた立ち上がるのは、エネルギーを要したはずだ。だが、MF松本勇斗主将(3年)は「あの試合負けてからみんな意識も、練習からの取り組みから変わったと思います。(無得点で終わったこともあり、)みんなゴールを獲りたいという意識や負けられないという気持ちが出てきている」。そして、この日は得点力向上のために取り組んできたシュート練習の成果も発揮して4-0快勝。これで暫定ながら2位・青森山田高セカンド(青森)との勝ち点差を10へ開き、プリンスリーグ東北優勝へ向けて前進した尚志は、「あまり先を見ずに一戦一戦勝つ」(松本)ことにもこだわって秋冬を戦う。

(取材・文 吉田太郎)
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