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[MOM3582]九州国際大付MF辻澤賢(3年)_叔父は長く鹿島の10番背負った名手。速さと体力、献身性兼備のMFが躍動

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九州国際大付高の右サイドでMF辻澤賢が躍動。決勝点を叩き出した。

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.25 高円宮杯プリンスリーグ九州第13節 国見高 1-3 九州国際大付高]

 九州国際大付高(福岡)は、「アイツは献身的に走ってくれるので。切れることもないし、淡々とやってくれるし、スピードもあって落ちない」(江藤謙一監督)という背番号7が躍動した。

 1か月ぶりの公式戦で前半は思うように身体が動かなかったという。だが、MF辻澤賢(3年=FCグローバル出身)は前半29分に右サイドからのラストパスで決定機も演出。そして、「修正した結果、上手く行きました」という後半に2ゴールをもたらした。

 まずは13分、MF濱田大夢(2年)からのパスを右中間で受ける。「前にスペースがなくて迷っていた時に武井君がオーバーラップしてくれて、それで相手が釣られてスペースが空いたので、中にカットインして。ちょっと動かしてシュートコースが見えたので、それで打ったという感じです」。右SB武井優樹(3年)のサポートを活用し、わずかなカットインから左足一閃。利き足とは逆の「左」から放たれた強烈な一撃はGKの正面を突き、伸ばした手に弾かれたものの、高く舞い上がってからゴールラインを越えた。

「打った瞬間、正面に行って入らないと思ったんですけれども、弾いて入って、とても嬉しかったし、その後勢いに乗って自分のプレーができたので良かったと思います」と辻澤。右サイドで運動量を増やし、敵陣深い位置への攻め上がりやプレスバックを見せていたMFは、試合終了間際にも再びビッグプレーをしてのけた。

 後半41分、自陣PA付近でインターセプトした辻澤が中央から前へ。カウンター攻撃を阻止するため、相手MFがすかさず身体で止めに来たが、「自分は体力もあって、スピードもあるのでトップスピードで相手と勝負して走り勝つ」ことが強みの辻澤は、スピードに乗ったドリブルで一気にその前に潜り込んで抜け出す。そして、敵陣中央まで独走した辻澤のスルーパスから3点目のゴール。江藤監督は、試合最終盤にも特長を発揮した辻澤をマン・オブ・ザ・マッチに推した。

 辻澤の母の弟に当たる「叔父さん」は、10年以上に渡って“常勝軍団”鹿島の10番を背負ったMF本山雅志だ。鹿島に数々のタイトルをもたらし、日本代表として国際Aマッチ28試合に出場。“黄金世代”の中心選手の一人として99年U-20ワールドカップ準優勝や00年シドニー五輪8強を経験している名手は、辻澤にとって憧れの存在でもある。

「やっぱり小さい頃から見てきて尊敬している部分がありますし、スポーツ選手としても尊敬しているし、人としても尊敬している。小さい頃からずっと見ていて、高校時代のビデオを見たりもします。全然越えれないですね、まだ。上手いっす」と辻澤。その叔父からアドバイスされて意識しているのは、「楽しむ」ことだ。

「楽しめ、と言われていますね、楽しまないと自分の良いプレーとか、やりたいプレーができないので、というのはよく言われます。それは第一に意識しているところです」。楽しみながら、チームのために戦う辻澤。叔父と「似ている」と言われることもあり、「嬉しいです」と語るMFは、選手権での活躍を目指している。

 本山は東福岡高(福岡)3年時に帝京高(東京)との“雪の決勝”を制して全国高校選手権優勝。インターハイ、全日本ユース選手権との3冠を成し遂げている。辻澤は昨年度の選手権福岡県予選決勝で叔父の母校・東福岡に0-1で惜敗。今年も互いに勝ち上がれば、宿敵と決勝で再戦する組み合わせになっている。

「(東福岡と)やるまでも厳しくなる戦いがあると思うので、毎試合毎試合良いプレーをしながら上げていって、決勝でも一番良いプレーをして全国に繋げていきたいと思います。(叔父のように)全国優勝はしたいし、福岡で一番になって全国でどうできるかは試したい。緊張は多少すると思うんですけれども、楽しんで、最後なので最後までやり切って良いプレーをしたい」。高校卒業後は大学進学を予定。1か月後にスタートする選手権予選では、常に楽しむことを心に置き、自分の最大限の力を発揮して宿敵撃破、九国大付にとって11年ぶりとなる全国出場を果たす。

後半13分、九州国際大付高はMF辻澤賢が左足シュートを決めて勝ち越し

(取材・文 吉田太郎)
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