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[東京都2部L]前・流経大柏監督の本田TA2年目の国士舘が東久留米総合とドロ―。慌てず、自分たちの良さ表現して選手権へ

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国士舘高MF芦田嶺士主将(中央)はセカンドボールの回収などで奮闘

[9.26 高円宮杯東京2部リーグ第14節 国士舘高 2-2 東久留米総合高]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2021東京2部リーグ(T2リーグ)第14節で8位の国士舘高と2位の東久留米総合高が対戦。2-2で引き分けた。

 国士舘は前・流通経済大柏高(千葉)監督の本田裕一郎テクニカルアドバイザー(TA)就任2年目。「前半はちょっとやっていることが出ていた」と本田TAが振り返ったように、グラウンダーのパスを繋ぐ部分と、コンパクトな陣形でのボール奪取やセカンドボールを回収する部分を表現していた。

「ボールの取り方はこうやって取りましょう、とずっとやっていた。セカンドボールはここ数試合負けたことが無いんですけれども、データではね」(本田TA)。守備が安定していたことから、良い形の攻撃に移ることができてチャンスも。その国士舘が前半2点のリードを奪った。

 まずは4分、国士舘はこの日前線での競り合いで健闘していたFWワフダーン康音(1年)が右クロス。MF奥崎玲音(3年)のヘッドは右ポストを叩いたが、8分に1年生コンビで先制点を奪う。160cmの小さな技巧派MF加藤翆生(1年)が仕掛けてクロスを上げると、中央のMF宮澤龍生(1年)が頭でゴール左へ押し込んだ。

 1部昇格を狙う“都立の雄”東久留米総合は前半、最後の局面を攻略することができなかったが、推進力十分のMF岡田壮太(3年)やキープ力高いMF宇野穣一郎(3年)をはじめ、多くの選手が崩しに係わり、またWBが果敢に最前線へ飛び出すなど攻撃志向の強い戦い。相手のミスが増えたこともあり、徐々に主導権を握り返して行く。
 
 だが、「自分は真ん中のポジションで、キャプテンでもあるので、全体にしっかりと声を掛けて、プレーの面ではセカンドボールを取ったり、サイドへの展開とか、カウンターとかの攻撃を遅らせたり、チームに欠かせないプレーをしていきたい」と語る国士舘MF芦田嶺士主将(3年)やスピードのあるCB宮本秀(2年)にボールを奪われ、速攻を受けるなど押し切ることができない。

 41分、国士舘は左の加藤が巧みなライン取りのドリブルからクロス。これはDFにクリアされたが、こぼれ球を拾った1年生アタッカーカルテットの一人、FW原田悠史(1年)がカットインから右足シュートをニアへ決めて2-0とした。

 だが、「後半はチームとしてやり切ろうと。(ゴール前に)入っていくランニングも増えた」(加藤悠監督)という東久留米総合ペースに。後半10分、東久留米総合は、岡田が獲得したFKを宇野が左エンドライン方向へ入れる。最後はDF佐々木竜聖(3年)の折り返しをDF滝大成(2年)が右足で押し込み、1点差とした。

 国士舘は浮き球の処理が乱れてリズムを崩したほか、中軸のMF堀江翔(3年)を欠いたチームは声も少なく、判断ミスも増加。相手の連続攻撃を受ける形となり、立て直すことができない。芦田は「前半は自分たちが練習してきたゾーンディフェンスでコンパクトにするということが上手くいったんですけれども、後半は上手く持てずにクリアとかもアバウトで、繋ぐところで繋げずに(全体的に)広がってしまった。そこは改善するところ」と反省する。

 一方、東久留米総合はセットプレーやショートカウンターからMF西郷薫(3年)らがシュートを放つと、前線にパワーを加えて迎えた41分、DF柳内優輝(2年)がゴール方向へ蹴り込んだ左CKを滝が押し込んで同点。国士舘も交代出場MF高原史弥(3年)のドリブル突破やセットプレーで再び勝ち越しを目指したが、決勝点は生まれず、勝ち点1を分け合っている。

 国士舘の本田TAは流経大柏監督時代に選手権優勝1回、同準優勝2回。芦田は「自分たちが学ぶところは多くて、自分たちも言いたいことを言ったら、親身に聞いてくれる。技術面では本田先生に、気持ちの面やフィジカル面は(監督の)上野(晃慈)先生に言ってもらっている。前期は厳しい試合が続いたんですけれども、良い試合ができるようになってきているので、選手権では全ての試合でやっていけるようにしていきたい」と、間もなく開幕する選手権予選で一戦一戦自分たちの戦いを表現することを誓った。本田TAも「慌てないでやれれば」と期待。勝つための術を一つ一つ伝え続ける名将の下、技術力の高い下級生と3年ぶりの選手権出場へ闘志を燃やす3年生が一丸になって、激戦区の東京予選を勝ち抜く。

(取材・文 吉田太郎)
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