beacon

日本代表W杯アジア最終予選メンバー発表 森保一監督・反町康治技術委員長オンライン会見要旨

このエントリーをはてなブックマークに追加

森保一監督

 日本サッカー協会(JFA)は28日、オンラインで記者会見を行い、カタールW杯アジア最終予選2試合の日本代表メンバーを発表した。10月7日にジッダでサウジアラビア戦、同12日に埼玉スタジアム2002でオーストラリア戦を行う。

 メンバー発表会見では森保一監督、反町康治技術委員長が約40分間にわたって質疑に答えた。要旨は以下のとおり。

●反町康治技術委員長
「10月の2試合に向けてわれわれは粛々と準備を進めてきた。ジッダでサウジアラビアと、埼玉スタジアムでオーストラリアと、この2試合に向けてスタッフでしっかりメンバーを選考して今日にいたった。当然ながらわれわれにできる限りのことをやって最高勝ち点を取って帰れるように。まずサウジで勝ち点3を取って帰ってきて、埼スタでプラス3点取れるように全力を尽くして頑張っていきたい」

森保一監督
「カタールW杯の最終予選、サウジアラビア戦、オーストラリア戦とチーム一丸となって最善の準備をして試合に向かい、最大の勝ち点をつかみ取れるように全力を尽くしたい。これまでどおり、まずは目の前の一戦にわれわれが全力で準備をし、ベストを尽くして戦うということ、チーム全体でやるべきことを共有しながら戦いに臨みたい。結果をもってサポーター国民の皆さんに喜んでもらい、選手の頑張りをもってコロナ禍等々大変な思いをされている方に勇気や元気を届けられるように全力を尽くしたい」

——「最大の勝ち点」という言葉があったが、前半戦の山場。アウェーのサウジアラビア戦はもしかしたら一番難しい試合かもしれない。引き分けも想定して臨むのか。
森保「サウジ戦はアウェーで厳しい戦いになるということ、難しい戦いになることは覚悟して試合に向けて準備し、戦わないといけない。その中でも勝ち点3を目指して戦うということを準備しながら、結果がどうなるか分からないので、勝ち点1を拾ったり、そういう結果になることもあり得るが、勝ち点3を目指して戦うことに変わりはない。サウジアラビアは攻撃力のあるチームで、ホームアドバンテージで、多くのサポーターの後押しでわれわれに対して圧力をかけてくると思う。まずは相手のアウェーの雰囲気の中でもしっかり戦っていけるようにメンタル的にも戦術的にも準備しないといけない。チームのコンセプトの中でわれわれの戦い方、いい守備からいい攻撃をしようということをアウェーの地でも発揮して戦いたい」

——前回、中国戦で持ち直したが、オマーン戦は入り方で準備不足があった。準備時間がない中でどのように試合に臨むかに課題があった。前回を踏まえてサウジアラビア戦に向けて新たにチャレンジすることはあるか。
森保「試合に向けてやらないといけないことはたくさんあると思うが、できるだけ細部を詰めて、準備をする、戦いに臨むということを9月の経験も踏まえてさらに準備の質を上げていかないといけない。その中でも一つ大切なことは9月の代表活動の後に選手たちが所属クラブに戻って、それぞれのクラブで果たす役割を監督、チームから求められていて、代表とはギャップがあるところもあると思う。まずは限られた時間の中で、代表活動を始める時に、代表としての戦うコンセプト、個々の役割を所属チームから代表チームに切り替えてもらう作業をしっかりしないといけない。9月の反省としてはそこが試合の入り方、戦い方等々、クラブと代表での戦い方のギャップを埋められなかったところがあると思うので、今回は選手に少しでもクリアになってもらえるように働きかけをしたい。もう一つは、まずはサウジ戦に向かうにあたり、欧州は気候的に涼しくなっていて、日本も夏に比べて涼しい気候になっていると思うが、ヨーロッパや日本の気候からサウジアラビアの暑い気候で戦うのはコンディション的にもかなり難しくなる。暑さの中でどういう戦い方をしないといけないかというところで、チームとして距離感よく戦わなければ暑さの中でパフォーマンスの連係連動という意味では難しいところが出てくる。距離感はよくできるようにしたい。9月の戦いにおいては代表とクラブの戦術的なギャップの部分、コンディションの部分で日本に戻ってきて難しかったというところがある。そこを整えるとともにサウジの気候でどう戦わなければいけないかをしっかり準備したい」

——前回の活動から4人が新しく入っているが、彼らにどういったことを期待するか。
森保「新しく加わった選手には個々の良さを最大限に発揮しながら、チームとして連係連動して戦えるようにという部分で、自分の良さを発揮しながらチームとして組織的に戦えるチームになってほしい。新たにと言えるメンバーかもしれないが、これまでも活動の中にいたメンバーでもあるので、少しでも早くチームに馴染んでもらって、自分の力を思いきり発揮できるようにしてほしい。スカウティングを重ねて、一緒にやってきたメンバーなので、心配していないが、より自分の力を発揮できるようチームに馴染んでほしい」

——経験の浅い選手もいきなり使える目算が立っているのか。
森保「選手をどう起用するのかは試合の流れ等々で使ってあげられる選手、そうでない選手が出てくると思うが、招集した選手はこれまでも見てきているし、一緒に活動してきているので、起用については問題ないと思っているし、心配もしていない。周りとの連係連動に関してもこれまでの経験や、これからの活動期間ですり合わせてもらえれば、本人の力を十分発揮できると思うし、チームとしてもしっかり機能できると思っている。今回招集できなかった選手も含めて、これまで代表のラージグループとして多くの選手を招集させてもらいながら、チームとしても誰が出ても機能できるようにということで準備はしてきたので、今回は10月の戦いにおいてベストな布陣ということで、全員が自分の持っている力を発揮してくれると思っている」

——田中碧に期待するところは。
森保「まずはアグレッシブにプレーできる選手で、攻守に絡める選手なので自分の良さを練習の中からアピールしてほしい。すでにA代表の経験もあるが、A代表でこれから定着していくためにまだまだ経験の浅い選手なので、自分がポジションを掴み取るというハングリーな気持ち、アグレッシブな気持ちを活動の中で見せてほしい」

——サウジアラビア戦のキックオフ時間はいつごろわかるか。夕方に始まるのと、夜に始まるとでは大きな気温の違いがあると思う。またコロナの状況はどうか。アウェーの観客は満員なのか。
反町「キックオフ時間はまだわからない。僕もジッダにもリヤドにも行ったことがあるが、夜でも早い時間帯と遅い時間帯では気温、湿度が違うと思っている。そこは分かり次第お伝えすることになる。コロナの状況はわれわれは当然ながら移動も含め、バブルで行うので、普通の方々と接触することはない状況で、前回のカタールと同じく活動する。スタジアムの人数は60%入るという話を聞いている。スタジアム自体は5万人なので、完全アウェーという形になるでしょう。マスクをしている人が多いかというとそうでもない感覚なので、日本みたいに手拍子という形ではなく、われわれにとってアウェー感が強いゲームになるんじゃないかと考えている。

——サウジアラビアとオーストラリアの両チームの印象は。
森保「サウジアラビアもオーストラリアも非常に力のあるチーム。アジアのトップグループを走る力のあるチームだと思っている。最終予選に出てきているチームはどのチームも強いが、これまでのW杯出場経験なども踏まえると彼らは力を持っていると思っている。今回の対戦においてのサウジアラビア、オーストラリアの印象だが、非常に攻撃的なチームだと感じている。非常にアグレッシブに戦ってくるという部分は、彼らの試合を見た上で感じている」

——日本代表での活動後、所属クラブで隔離するリスクはないのか。また国内組の招集が少なくなったのは、そのあたりのリスクを考えたのか。
森保「まずヨーロッパで活動している選手に関しては代表活動後に隔離措置が必要ということはない。代表が終わった後には所属クラブに戻り、家にも戻れて、家族と通常の状態で生活をすることができる。これはコロナ禍では『今のところ、現在では』ということになり、状況が変わることがあるが、いまのところヨーロッパの選手の生活には支障が出ることはないと聞いている。国内組の選手たちは代表活動を終えて隔離期間があるので、これまでの代表活動や直近の9月の活動の後に、隔離期間でかなり制限のある生活をしている。フィジカル的には練習に参加できるし、試合にも出場はしているが、家族と一緒に生活できずホテル暮らしで、ホテルから練習場、ホテルから試合会場ということで食事が思うように取れなかったりとか、家族や大切な人たちとゆっくり過ごしてメンタル的にリラックスできる、回復できるような状況では生活ができていなかった。そういう部分ではかなりきつい生活をしているのかなと思っている。リスクという部分では選手たちのメンタルの状態、もちろんフィジカル的にもそうだが、隔離期間があるというところで懸念しているところはある。しかしながら代表招集に向けて、国内外のスタッフで全体的にスカウティングをしながら選手のパフォーマンスを見て、今回の代表活動のベストな布陣ということで招集をさせてもらっている。ただおっしゃるとおり、隔離期間があることはかなりプレーへの影響はあると見ていて思うし、選手たちに少しでもいい状態でプレーしてほしいと思いながら活動を見させてもらっている」

——9月の試合ではなかなか進まなかったコンディションの見極めだが、欧州での視察を通じて進んでいるか。
森保「選手たちのコンディションの把握に関しては、今回の招集の前に欧州で多くの選手を直接見ているなか、選手たちがコンディション的にも上がってきている、いい状態にあるというところを直接見せてもらって、感じることができている。国内組の選手たちは私は映像で確認させてもらっているが、コーチングスタッフがJリーグにも視察に行っているので、報告は上がって来ている。コンディションは良いということと、シーズンが終盤に差し掛かっている中、夏場や連戦のところで調子がいい選手、疲労が見えている選手ということで選手たちの報告はもらっている。それを見極めながら、9月はコンディションがわからなかったというよりも、先ほど申し上げたように気候であったり、時差であったりというところで本来の力を発揮しづらくなる状況の中でどう戦わなければいけないかという絵を合わせることがオマーン戦では足りなかったと思う。そこは私の責任。この10月も同じように気候の違う中、完全アウェーで戦う中、戦い方のイメージをチームで戦う中で持てるようにしていかないといけない」

——伊東純也はサウジアラビア戦に出場停止だが、サウジアラビアで合流するのか。
森保「サウジアラビアからチームの一員として合流してもらい、サウジアラビア戦は試合に出場できないが、日本に移動してオーストラリア戦に向けてのメンバーには入ってもらう予定でいる。この質問とは少し違うが、9月の代表招集の反省として、怪我等々で選手の入れ替えをしなければいけない時、コロナ禍ではすぐに選手を招集できるわけではない。本来であればフィールドプレーヤー20人、ゴールキーパー3人の通常の招集メンバーにプラスで招集させてもらいながら、何かアクシデントが起きた時、対戦相手を見て選手の入れ替えをできるようしていきたいということで今回のメンバー構成になった」

——サウジアラビアでは10月4日から全員が集合できるという前提なのか。それとも早く着く選手がいるのか。
森保「練習ができるかどうかはわからないし、(通常どおり)随時集まってくると思っている。ヨーロッパで活動している選手も週末の試合の時間等々で集合がバラバラになってしまう。バラバラになった中でも最後の1日、2日でいい準備をできるようにしていかないといけないと思っている」

——今回は三好選手、橋岡選手を招集しているが、若い選手を複数人招集した。東京五輪監督を兼任した経験がこの招集に生きている感覚はあるか。
森保「おっしゃる通りだと思う。これまでA代表と東京五輪代表チームの監督をさせていただいて、幅広く選手を見させてもらっていたので、彼ら経験が浅い選手に関しても心配なく招集することができている。これまでの1チーム2カテゴリで活動してこられたことで、選手を幅広く心配なく招集できることにつながっていると思う」

——とはいえ山場で経験のない選手を一気に招集するのは勇気があることだと思うが、Aマッチ試合数が多い選手を呼ぶという考えには至らなかったのか。
森保「経験のある選手をもっと多く招集するということも今回のメンバー発表前のスカウティングでもコーチ陣とは議論をしている。結果的に経験の浅い選手が多くなっているというところはあるとは思うが、国内・海外のリーグ全体の視察を重ねながら、どういうチーム構成がいいのか、どういう選手をピックアップするのがいいのかを、いまの選手たちの状態、今回戦う中でのベストな布陣ということで考えている。若い選手が多い中で活動する場合も、選手たちにはより野心を持って、このチームに絶対に自分が残るんだというところ、この2試合に勝って自分が存在感を発揮するんだというハングリーな部分、アグレッシブな部分を思い切り、個々のところで出してもらいながら、チームのエネルギーにつなげてほしいと思う。今回のサウジアラビア、オーストラリアが非常に強い相手なのは重々承知している。ただ最終予選を戦う上で、全てのチームが強豪。すでにわれわれもオマーンに痛い思いをしているので、どのチームにも絶対に油断してはいけない、全力を出して戦わないといけないことに変わりない。まずは次のサウジアラビア戦に向けて最善の準備をしたい」

——サウジアラビア戦では中国戦の2列目(伊東、古橋、久保)を3人とも揃えられなかった。勝った試合からいい流れを続けたい思いはあったと思うが、攻撃陣の考え方は。
森保「もちろん怪我で久保、そして出場停止で伊東が試合に出られないというところであったり、直近の中国戦からメンバーを変えないといけないのは、勝利したあとでそのままの流れで行きたいというところもあるが、それと同時に毎試合次の試合に向けて対戦相手の分析をする、そしてわれわれがどうベストな布陣を選んで戦うかということに関しては、実際にメンバーは変わっていなくても、変わることも考えてメンバーの構成を常に考えている。サウジアラビア戦に向けてもわれわれが最大限のパワーを発揮できるようなメンバーを選んでいきたいと思っている。怪我で出場できない久保、そして出場停止の伊東であったり、出場できない選手に関してはその選手がいないぶん、俺がやってやろうと思ってくれている選手、実力のある選手はいるので、またサウジアラビア戦に向けて出場する選手に自分のプレーを思い切って出してほしい。怪我、出場停止、コロナで招集できなかったりと、いろんなアクシデントはあるので、その時に出た選手が日本のために走って戦って勝利を目指してもらえればと思っている」

●カタールW杯アジア最終予選特集
●カタールW杯各大会予選一覧

TOP