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道脇先制ヘッド、木吹2発!U-15日本代表候補が仙台育英高1年に7-0で快勝

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1本目14分、U-15日本代表候補FW道脇豊(ロアッソ熊本Jrユース)が先制ヘッド

[9.30 練習試合 U-15日本代表候補 7-0 仙台育英高 Jヴィレッジ]

 23年U-17ワールドカップを目指すU-15日本代表候補(06ジャパン)はJヴィレッジ(福島)合宿最終日の30日、仙台育英高(宮城)の1年生チームと練習試合(35分×3本)を行い、7-0で快勝した。

 2日前の鹿島ユース戦は2-3で敗戦。「代表候補なので、連敗してはいけない」(廣山望監督)と必勝を期して臨んだ一戦で、U-15代表候補が快勝を収めた。1本目は鹿島ユース戦でいずれも対人の強さを発揮していたDF松本遥翔(JFAアカデミー福島U-15WEST)とDF本多康太郎(湘南ベルマーレU-15)の両CBや、初参加の代表候補合宿でアピールしたMF山本将太(ジュビロ磐田U-15)らが先発。中学生中心のメンバーが、年上の高校生に挑戦した。

 1本目序盤は、仙台育英からボールを奪い切れずにシュートまで持ち込まれるシーンが増える展開。仙台育英は、競り合いの局面で強さを発揮する右SB玻名城元希やCB面田凌らがマイボールに変え、チーム全体でサイド、前線へボールを運んでいく。

 一方のU-15代表候補は、松本がCBの位置から果敢な攻め上がり。14分には、その松本が右サイド深くまで持ち込み、クロスを上げる。これをFW道脇豊(ロアッソ熊本Jrユース)がジャンプヘッドで決めて先制した。

 その後も山本将の切れ味鋭い仕掛けなどから2点目を狙う。だが、30分には自陣から仙台育英にボールを繋がれ、最後はMF菅原颯太のスルーパスからMF吉本龍馬に決定的な左足シュートを打たれてしまう。だが、U-15代表候補のGKピサノアレクサンドレ幸冬堀尾(名古屋グランパスU-18)がビッグセーブ。1-0で1本目を終えた。

 2本目、鹿島ユース戦で2ゴールを挙げたFW磯崎麻玖(大宮アルディージャU15)ら4人を入れ替えたU-15代表候補は、MF佐藤龍之介(FC東京U-15むさし)の中央突破やサイドからの崩しでシュートシーンを作り出す。

 そして7分、中央での奪い返しからMF今富輝也(ヴィッセル神戸U-15)が左足ミドルを突き刺して2-0。2本目も相手の起点を潰し切れずにゴール前まで持ち込まれるシーンがあった。また、仙台育英は対人やゴール前での守備でしぶとい戦いを継続。それでも、18分頃に7人を入れ替え、前線に198cmFW木吹翔太(JFAアカデミー福島U-15WEST)と189cmの磯崎を並べる形へ変えたU-15代表候補は、サイドからチャンスの数を増やし、相手ゴールをこじ開ける。

 30分には左CK後の混戦から左SB武田絢都(徳島ヴォルティスJrユース)が豪快に決めて3点目を奪う。さらに32分には、中央から持ち上がった佐藤が右の磯崎へ展開。磯崎のラストパスを佐藤が右足でゴールへ沈めた。

 3本目は開始直後に仙台育英FW菊地蓮太にシュートまで持ち込まれたが、相手の出続けている選手たちに疲労の色が見え、U-15代表候補が攻守で主導権を握る。MF田所莉旺(川崎フロンターレU-15)の前に出る守りなどでボールを奪うと、12分には右サイドを抜け出したFW倉林佑成(ジェフユナイテッド千葉U-18)がラストパス。ゴール前でフリーの木吹が難なく左足で決めて5-0とした。
 
 その後も、木吹とのコンビで鋭くPAへ侵入したMF小竹知恩(プログレッソ佐野F.C.U-15)が右足で鮮やかに決めて6点目。終了間際にも右サイドから崩すと、右SB茨木陸(ヴィッセル神戸U-15)の右足シュートのこぼれを木吹が頭で押し込んだ。仙台育英にゴールを割られかけるシーンがあったものの、オフサイドの判定にも助けられて無失点。白星で5日間の合宿を締めくくった。

 U-15代表候補の廣山監督は今回の合宿において、夏を越えたU-15世代の選手たちの身体やスピード感が出てきていることを実感していた。だが、鹿島ユース戦は年上の高校1、2年生中心で構成された相手の出足や局面での身体の強さ、パスの精度・強さなどに苦戦。守備面での隙も出て、「力の差で勝敗の差がついたと思います」と振り返る。

 鹿島ユース戦は試合の中でバランスを向上させて同点に追いつき、再び突き放されて敗れる形のゲームでもあった。ただし、その中で得たものがあったようだ。「流れを掴みかけて、それを離してしまったという(ことを経験できた)のは良いきっかけになるかなと思います」(廣山監督)。2年前の“04ジャパン”は立ち上げの1年間で6回の海外遠征を実施し、計19か国と対戦という。だが、“06ジャパン”の海外遠征は一度もなく、対外試合も1桁と実戦経験が少ない。なかなか厳しい戦いや、海外での生活を経験できない状況だ。だが、ゲームの流れを掴めなかった鹿島ユース戦の経験や、仙台育英に勝ち切った経験もプラス材料に、今できる環境の中で工夫しながら選手たちのプレー面の成長や、責任感・自覚の向上を促していく。

 今回は初参加の山本将や初選出組の左SB川口和也(東京ヴェルディジュニアユース)、MF杉浦駿吾(名古屋グランパスU-15)らが気持ちの込もった動きも見せていた。「初めてきた選手が力を出せたというところを含めて、協会全体でU-15に係わっている成果として良かった」と廣山監督。軸になる選手、また新たな選手の台頭も求めながら、06ジャパンはアジアの戦いへ向かう。

(取材・文 吉田太郎)

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