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なでしこ池田新監督が会見「日本の武器を磨き、世界に出る」U-20女子W杯に続く“世界一奪還”へ

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なでしこジャパンの池田太新監督

 日本女子代表(なでしこジャパン)の新監督就任が決まった池田太氏が1日、オンラインで記者会見を行った。2018年にU-20日本女子代表を指揮し、世界の頂点に立った実績を持つ50歳。「なでしこジャパンはチームとして2011年に世界一になっているので、頂点を目指し、世界を奪還する強い気持ちでチームづくりをしていきたい」と力強く意気込みを語った。

 ベスト8に終わった東京五輪から約1か月半。2023年の女子ワールドカップ、24年のパリ五輪を目指す体制が決まった。

 池田氏は2017年から現在まで、U-19・U-20カテゴリの日本女子代表を指揮。18年に日本として初めてとなるU-20女子ワールドカップ制覇を果たしたほか、AFC U-19女子選手権ではコロナ禍で中止になった今年度を除き出場2大会とも頂点に立っており、そうした国際大会での功績が評価された形だ。

 そんな池田氏は就任会見の場で、大きな覚悟を語った。

「監督就任の話をいただき、まず初めに頭に浮かんだことは責任の重さと、自分への覚悟の気持ちだった。そして感謝の気持ちがわいてきた。いままでのなでしこジャパンを作ってきてくださった方、女子サッカーを発展させ、切り開いてくださった方の積み上げがあって今の女子サッカーがあると思っている。ここから未来につなげていくために、このなでしこジャパンを一歩前に進めないといけないという責任の大きな仕事になる。しかし、この仕事に全力で向かっていくという覚悟が沸いている」。

「なでしこジャパンは子供達がボールを蹴り始めてから、その成長を見守ってくださった保護者の方、地域の指導者、学校の先生、顧問の先生、地域のトレセン、また所属しているクラブのコーチの皆さん、エリート活動やアンダーカテゴリ、そういったものの最後の最後の部分で戦わせていただいている覚悟と、そこでの結果の喜びを皆さんと共有していかないといけないという心づもりでいる」

「私は小学校3年からサッカーを始めて、サッカーから本当にいろんなことを教わった。仲間の大切さ、努力して掴み取る喜び、悔しいこともあった。そこから這い上がる強さも学んだ。サッカーは私に人生にとってとても重要で、そのサッカー界で、私がなでしこの監督を引き受け、そこで戦うことでサッカー界に少しでも恩返しができるのではないか、恩返しができるチャンスを与えてもらったという感謝の気持ちが責任と覚悟に加えて私の中に起きているのも事実」

 その上で「世界一奪還」という目標を明確に述べた。

「なでしこジャパンはチームとして2011年に世界一になっているので、頂点を目指し、世界を奪還する強い気持ちでチームづくりをしていきたい」。

 そのためには、日本が長年にわたって仰ぎ見てきたアメリカだけでなく、近年目覚しい躍進を遂げてきたヨーロッパ勢と互角に渡り合っていくことが求められる。そうした中、池田新監督は世界の女子サッカーの進歩と向き合った上で、“日本の武器”を活かして挑んでいく構えだ。

「世界の女子サッカーの進歩はいま凄まじい。さまざまな戦術や環境、フィジカル、アプローチ、そういった意味で世界の女子サッカーの進歩するスピードが上がっていく中、日本がどういう武器でその世界に打って出るか、立ち向かっていくか、上回っていくかを考えている。フィジカルの話が欧米に比べて出ることもある。ただ日本人の持つ俊敏性は世界に打って出て、優っているところでもある。それも一つのフィジカル。日本人が持つ器用さ、勤勉さ、連動性、連係、そういったものをもっともっと突き詰めていければ、新しいコンビネーションで相手を打ち負かすことがもっともっとできると思っている」

「直近のW杯、五輪では上位に食い込めなかったが、そこで戦っている中でも相手の脅威になる守備、攻撃ができていることもあった。私はできている部分の強度をもっと上げて、トライする回数を上げて、そして細部を詰めて、選手に自信を持って、勇敢にそしてダイナミックに戦っていくチームを作りたい。もちろん世界一を取ったことはあるが、トータル的に見れば常に上位に食い込めているわけではないのは事実。日本の女子サッカーの底上げを含め、世界一を目指し、強いなでしこジャパンに、それが皆さんに応援されるチームになり、サッカーの輪をもっともっと広げて、女子サッカーっていいな、応援したいな、自分の子供にもサッカーをさせたいなという女子サッカー界も含めたサッカー界で盛り上げられれば、自分ではそこを目指していきたいと思っているし、そこに尽力する、全身全霊をかけてこの仕事に取り組んでいくこと、それだけは約束できる」

 新生なでしこジャパンは今月、国内トレーニングキャンプで活動をスタート。新指揮官はこれから選手選考に着手する形となるが、求める資質について次のように語った。

「まず私が一番に考えているのは自分の持っているパフォーマンスを全て出し切れる選手。つまり全力でプレーできる選手。そこは根本だが、大切にしていきたいと思っている。それプラス仲間に何か良い影響を与えられる選手。自分のパフォーマンスや自分のポテンシャルを出すのはもちろんだが、それプラス仲間を助けられたり、よりよい相乗効果を与えられるような化学反応を起こせる選手というのが選ぶ上でのポイントかなと思っている」

「チームの中で一体感というか、自分の力にプラスして、チームに何を与えてくれるかという選手を求めていきたいと思っている。何よりトレーニングでもそうだし、試合の中、ピッチの中で自信を持って、サッカーをしている喜び、エネルギーを、生で見ていてもテレビで見ていても何か熱を伝えられる、そういった選手と一緒に戦っていきたい。それがチームづくりの軸になっていく。選手のパワーというかフォースを大事にしていきたい」

 一方、サッカー面でのチームコンセプトは「自分の中ではあるが、申し訳ないが、最初に選手たちと共有したいというのがある」と明言を避けた。「大まかなところではダイナミックさ、日本の武器を活かして、連動連係、メンタル的にも日本人の良さがある。個人の力もあるが、周りの人への気遣い、サポートできる力、献身性といった素晴らしいところも日本のストロングだと思っている。いま言えるのは日本の武器を磨き、その武器を持って世界に出るということ」。その詳細は11月の海外遠征(親善試合)、来年1月の女子アジア杯で明らかになりそうだ。

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