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[MOM3586]流通経済大柏FW清水蒼太朗(3年)_“ゴリゴリ”系ストライカーにして、真面目なホームルーム委員長がプレミア初ゴール!

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ホームルーム委員長のストライカー、FW清水蒼太朗(26番)がプレミア初ゴール!

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.2 プレミアリーグEAST第13節 流通経済大柏高 1-1 柏U-18 流経柏G]

いわゆる“ゴリゴリ系”。前へ、前へと、とにかく突き進んでいく。「自分の特徴で迷わずゴールまで行くというのがあるので、それは出して行こうと思っていましたし、ゴール前の局面では負けたくないですね。そういうところが自分の武器だと思います」。

待ち望んでいたプレミアリーグ初ゴールはヘディングで。流通経済大柏高(千葉)の遅れてきたストライカーにして、真面目なホームルーム委員長。FW清水蒼太朗(3年=柏レイソルA.A.TOR‘82出身)の“一本気”が、チームに大きな推進力をもたらしている。

 前半からアグレッシブな守備で、相手のビルドアップを制限し続ける。柏レイソルU-18(千葉)と対峙した“柏ダービー”。今シーズンのプレミアリーグ初出場となった清水は、2トップでコンビを組むFW石川裕雅(3年)とともに、前から激しくボールを追い回す。これには敵将の酒井直樹監督も「2トップがプレッシャーに来るのが速かったので、蹴るしかなくなってしまいましたね」と言及。プレスのスイッチを入れ続ける。

 守備意識はこの2年半で培われてきたものだという。「1年生の時にちょっとプレミアリーグでは出させてもらったんですけど、それからずっと出ていなくて、今年も前期はBチームでもベンチで、ちょっと試合に出たりぐらいだったんですけど、そこからインターハイ前の強化合宿でちょっと調子を上げて、そこで使ってもらって、今はこういう感じです」。

「去年までの2年間はずっと苦しい中でやってきて、今はゴールまで迷いなく行くとか、守備のところでももっとチームのためにやろうというのは、そういう時に出てきた考え方だったので、今はそういうのを大事にしています」。前期のプレミアリーグは登録メンバー外。インターハイでは全国でスタメンの座を掴み、初戦でいきなり先制ゴール。その勢いを買われて、この日もピッチへ送り出されている。

 1点ビハインドの後半10分。絶好の得点機が巡ってくる。左サイドで獲得したCK。狙いは定まっていた。「自分たちはコーナーの形をいくつか決めているんですけど、あのコーナーはニアで逸らせてという形だったので、自分のところに来るとわかっていて、あそこに入り込むだけでした」。MF渋谷諒太(3年)がニアへ蹴ったボールが、ファーへこぼれてくると、フリーで待っていた清水が落ち着いてヘディングでボールをゴールへ流し込む。

 渾身のガッツポーズを繰り出し、すぐさま踵を返して自陣へと走っていく。「素直に嬉しかったですけど、まだ勝っていなかったので、『早く戻らないとな』というのはありました」。3年目にしてようやく奪ったプレミアリーグ初ゴール。「今までもAチームの合宿の前に風邪を引いたり、自分でチャンスを逃してきていたんですけど、そういう時に『腐っちゃダメだな』というのがあって、腐らずにずっとやっていたので、チャンスが来て、それを掴めたという感じです」。苦しい時間を過ごしてきたという清水の努力が、1つの結晶として報われた瞬間だった。

 聞けば小学生の頃には既に身長が165センチ、体重が65キロという体格を有し、今と同じようなスタイルでプレーしていたという。それゆえに、このストロングポイントには譲れないこだわりがある。「ゴリゴリ行くのが武器だと思っているので、それで点を獲ってやろうというのは考えています。ずっと体格的に恵まれていたと思うんですけど、今までそれで負けてこなかったので、プライドというか、『そこでは負けちゃいけないな』というのがあって、今までそれで貫き通しています」。

 真面目な性格は会話の中に滲み出る。実は3年間クラスの担任を務めている斉藤礼音コーチは、清水を3年続けて“ホームルーム委員長”に任命してきた。「1年生の時に、黒板にホームルーム代表みたいな係を書かれて、そこにそのまま“清水”と書かれて、なりました。2年目からはもうわかっていたので、『あ、はい』と素直に受け入れましたけど(笑)。毎日やるのは『起立、気を付け、礼』みたいな号令ですね。あとは学校の集まりとかがあったら『清水、行ってこい』みたいに言われます(笑)。先生には本当にお世話になっています」。学校生活も充実させながら、迎える高校最後の選手権に照準を合わせている。

「自分は大学でプロを目指そうと思っているので、大学で一気に花開くための準備をやっていかないといけないと思っていますし、チームとしてはインターハイで負けてしまったので、選手権でその分を取り返そうというのはあります」。

 2年半の時間を掛けて、地道に育ててきたつぼみが開花する予兆は、確実に現れている。ホームルーム委員長を務めるストライカー。清水の“ゴリゴリ”が、流経大柏の開くべき扉を次々とこじ開けていくはずだ。

(取材・文 土屋雅史)
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