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[MOM746]早稲田大FW安斎颯馬(1年)_2週連続で大逆転劇の決勝弾

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FW安斎颯馬が後半40分に決勝点を奪った

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.2 関東大学L1部第18節 早稲田大4-3桐蔭横浜大 龍ケ崎フィールド]

 壮絶なゲームを制した。大逆転劇は2週連続。外池大亮監督も「まだ信じられない」と、しばらく放心した様子だった。

 2週連続で決勝点を奪ったのが、FW安斎颯馬(1年=青森山田高)だった。9月25日の国士舘大戦では、一時1-3とされながらも3-3に追いついて迎えた後半37分、波状攻撃からMF田部井悠(4年=前橋育英高)のシュートをコースを変えて流し込んで勝ち越し弾を記録。

 9月28日の筑波大戦は0-2で落としたが、10月2日の桐蔭横浜大戦でも1-3から3-3に追いついて迎えた後半40分、MF小倉陽太(2年=横浜FCユース)のミドルを頭に当ててコースに流し込み、歓喜の輪に飛び込んだ。

「たまたま反射的に反応できた。自分はそんなにヘディングは得意じゃないんですけど、上に行かないことを意識していました。勝ちに直結できるゴールが決められて良かったです」

 昨冬の高校選手権で知名度を上げた選手のひとりだ。強豪・青森山田高で大会得点王を獲得する活躍をみせたが、決勝のPK戦では中学時代の同僚GK熊倉匠(現立正大)に止められ、悲劇のヒーローの流した涙は日本中のもらい涙を誘った。

 鳴り物入りで大学サッカー界に飛び込むと、デビュー戦となった第4節の立正大戦で初ゴールを記録。只者ではないことを示すと、ここまで12試合に出場。エースFW加藤拓己(4年=山梨学院高/清水内定)が負傷離脱してからは1トップに挑戦するなどしてプレーヤーとしての幅を広げている。

「高卒でプロになりたかったという部分はあるんですけど、今は大学サッカーに来て良かったと思えることだらけ。実際プロ内定選手がたくさんいる中で試合にも出させてもらっている。試合に出られるということに関してはプロより大学の方がいいのではないかと思っているし、大学サッカーを選んで本当によかったと思っています」

 直近の試合は股関節を痛めている影響もあってか、途中からの出場が続いているが、外池監督も「我々の切り札」と話したように、ジョーカー的な役割がチームに好影響をもたらしている。「ワンプレー目が大事。ワンプレー目で引けたプレーをすると特長が出せないと思うので、まずは仕掛けることを意識している」と話すように本人の意識も十分だ。

 終盤戦に差し掛かろうとしているリーグ戦だが、ひとつの勝敗で順位ががらりと入れ替わる、近年稀に見る大混戦となっている。上位はもちろん、一つ間違えば降格圏も意識しなければいけない戦いが続く。

 しかし安斎は「前期に比べて点が取れるようになってきた。チームとして一つになってきたのかなと思います」とチーム力に手ごたえを持ち始めているという。この日は主将MF田中雄大(4年=桐光学園高)の2発だけでなく、安齋、そしてMF光田脩人(1年=名古屋U-18)の途中出場した1年生コンビが得点。選手それぞれが役割を自覚することで、チームにまとまりを生んでいる。

「これから明治や法政といった強豪との試合が待っている。絶対に勝てる準備をしていきたい」

 誰が出ても、どこからでも点が取れることを強みに、早稲田が更なる上位進出を目指す。

(取材・文 児玉幸洋)
●第95回関東大学L特集

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