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夏の悔しさも糧に選手権Vとプレミア昇格に挑戦。攻守両面で走り、精度と耐える力発揮の前橋育英が昌平に3-0快勝

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後半39分、前橋育英高CB桑子流空主将(4番)が3点目のゴール

[10.3 高円宮杯プリンスリーグ関東第14節 昌平高 0-3 前橋育英高 昌平高G]

 高体連の強豪対決は前橋育英が制す――。高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2021 関東第14節2日目が3日に行われ、3位・昌平高(埼玉)と2位・前橋育英高(群馬)が激突。前橋育英が3-0で快勝した。

 リーグ戦の再開初戦はプレミアリーグ昇格を目指す両校にとって大一番。昌平は怪我を抱える司令塔・MF平原隆暉(3年)と日本高校選抜MF荒井悠汰(2年)が先発を外れ、前橋育英もワクチン接種の影響でJ注目のエースMF笠柳翼(3年)がベンチスタートだった。ともに試合感への不安も抱える中でのゲームとなった。

 前橋育英の笠柳は「まず失点しないこと、後半には交代選手がいるので前半から全員でかっ飛ばそう、相手よりも気合入れて上回ろうという話が(山田耕介)監督からあった」と説明する。

 その前橋育英は前半26分、前線からのディフェンスで1点をもぎ取る。自陣左サイドでボールを受けたFW守屋練太郎(3年)が強引に前へ。これは奪い返されたが、守屋とFW高足善(2年)、そしてMF渡邊亮平(3年)が切り替え速く相手との距離を詰める。そして、昌平DFの後退しながらのパスを渡邊が足に当て、これを拾った守屋が独走。最後はGKをかわして右足シュートをゴールへ流し込んだ。

 互いにボールを奪うとゴールを見据えながらビルドアップ。前橋育英は横への揺さぶりを増やし、また動き出しを連発する守屋の作ったスペースを身体能力高いMF小池直矢(2年)や高足が狙う。昌平は高速右SB本間温士(3年)と左SB篠田大輝(3年)の攻め上がりも相手の脅威になっていた。前半終盤は昌平が押し込む展開となり、連続でビッグチャンスを作り出す。

 だが、本間とのワンツーからMF篠田翼(2年)が放った決定的なシュートを皮切りにFW井出蓮(3年)、篠田大と放った決定的な一撃がことごとく前橋育英GK渡部堅蔵(3年)にストップされてしまう。後半立ち上がりにも井出が2度オープンスペースへ抜け出したが、渡部とCB柳生将太(3年)に阻まれるなど決め切ることができない。

 全員でピンチを凌いだ前橋育英へ主導権が移る。後半から出場の笠柳が収まりどころになって攻撃の精度が高まったことも大きかったが、守屋を筆頭としたプレッシングが後半も利いていた。加えて、MF徳永涼(2年)が山田監督も絶賛するほどのディフェンス力を発揮。泥臭くマイボールに変えるMF根津元輝(2年)とのダブルボランチ、試合を通して制空権を握っていたDF桑子流空主将(3年)と柳生の両CBや、対人のスペシャリスト・右SB岡本一真(3年)らが相手をゴールに近づけない。

 高い位置での奪い返しからゴール前のシーンを増やす前橋育英に対し、昌平は後半15分に荒井とMF小山田直人(3年)を同時投入する。だが、前橋育英は29分、左スローインから細かく右へ展開。笠柳、根津、岡本と繋ぐと、最後は抜け出した渡邊のラストパスが相手オウンゴールを誘い、2-0とした。

 昌平はこのシーンも相手のハイプレスに押し込まれて自陣でスローインを与えたことが失点に繋がった。藤島崇之監督は「際が強かったですね、球際に対する粘り強さがあったので、僕らも良い意味で勉強しなければいけない。(また) ゲームコントロールというところはもうちょっと経験を積まなければいけないところがあると思います」。この日、ゴール前の迫力の部分でも上回っていた前橋育英は39分、左SB岩立祥汰(3年)の左CKをファーサイドの桑子が頭で叩き込み、3点目。山田監督も「とにかく全員で頑張ってくれた。最後までよく走ってくれた」と頷く戦いで上位対決を制した。

 前橋育英は前評判高く迎えたインターハイの2回戦で東山高(京都)に0-1で敗戦。笠柳は「ディフェンス陣は早い時間での失点がありましたし、攻撃陣は本当に得点の部分が欠けていた。自分たちは攻撃も守備も全国では全然足りないと見直す機会にもなりましたし、自分たちもヤバいという焦りとか共通認識はできた」と振り返る。

 そこから切り替えて練習に取り組み、課題を改善。再開初戦の大一番で攻守に走り、ピンチでも全員で耐えて快勝した。選手権日本一へ自力をさらに高めることも重要だが、プレミアリーグ昇格も前橋育英にとっての悲願。プレミアリーグ昇格とセカンドチームのプリンスリーグ関東昇格を果たして選手のさらなる育成に繋げるためにも、リーグ戦でこの日のような戦いを続ける。

(取材・文 吉田太郎)
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