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U-16日本代表候補は尚志高に大敗。様々な課題が浮き彫りになる内容の合宿に

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ゴールに迫るプレーを見せていたU-16日本代表候補MF石井久継(湘南U-18)

[10.8 練習試合 U-16日本代表候補 1-5 尚志高 Jヴィレッジ]

 28年ロサンゼルス五輪世代に当たるU-16日本代表候補が、合宿最終日となる8日にJヴィレッジで尚志高(福島)との練習試合(45分×2本)を実施。ここまでの反省も踏まえての試合だったが、1-5の大敗となってしまった。

 U-16日本代表候補は前半と後半でフィールダーを大きく2グループに分けて出場。前半は七牟禮蒼杜(長崎U-18)と田中侍賢(清水ユース)の2トップを組み、中盤には堀川大夢(流通経済大柏高)、鈴木陽人(名古屋U-18)、佐々木奏太(札幌U-18)、堺屋佳介(鳥栖U-18)、最終ラインには左から伊藤稜介(磐田U-18)、市原吏音(大宮U-18)、尾崎凱琉(大阪桐蔭高)、稲垣篤志(浦和ユース)、そしてGK小林将天(FC東京U-18)はキャプテンマークを巻いて先発のピッチに立った。

 対する尚志はAチームの控えメンバーが先発し、後半から県リーグを戦ってきたセカンドチームの選手たちがピッチに立つ流れとなった。高校サッカー選手権予選も目前に迫る中でチャンスを掴もうとする選手たちのモチベーションは高く、強度の高いプレーでU-16代表を厳しく追い詰めていくこととなった。

 最初の決定機は7分。尚志のFW小池悠斗が決定的なシュートを放つが、これはGK小林がビッグセーブでしのぐ。その後は一進一退の流れとなる中で、29分には堺屋がビッグチャンスを迎えるなどU-16代表にも得点機会はあったが、ゴールネットを揺らしたのは尚志だった。左からのクロスボールを競ったこぼれ球を小池が押し込んで試合を動かす。小池はこのあとDFにスライドして今度は守備で魅せるなど、ポジション奪取に向けて猛アピールを見せた。

 後半は双方がメンバーをほぼ総入れ替えする形となったが、立ち上がりの1分に相手の隙を突いたのは尚志だった。「ボールに行けず、寄せきれないまま、付き切れない中でやられた」と森山佳郎監督も嘆く失点(得点者は津久井二湖)で、試合の流れは完全に尚志へ。相手のプレッシャーをかわしてボールを運び出すことができない時間帯が長く続くなど、U-16代表にとっては苦しい展開に。後半20分にはMF大川廉に追加点も許してしまった。

 このままでは終われないU-16代表の反撃は22分。後半から出場のMF早川隼平(浦和ユース)がドリブルからのミドルシュートを見事に決めて1点を返す。この勢いのまま圧倒したかったU-16代表だったが、尚志も崩れることなく冷静に対応。U-16代表が見せるリスクのある仕掛けをインターセプトしての速攻も機能し、28分と40分にMF田中然が見事な2ゴールを沈め、点差をさらに広げていった。

 U-16代表は43分に最後の決定機。CKからDF石川穂高(昌平高)がヘッドで合わせ、さらにそのこぼれ球からの二次攻撃でMF石井久継(湘南U-18)がシュートを放つも、ゴールネットを揺らすことはできず。1-5の大差で敗北となった。

 U-16代表はコロナ禍の影響によりこの年代の国際試合が全くできていない中でのトレーニングキャンプ。国際試合を重ねてここまで来る通常のシーズンに比べると意識の差がどうしても生まれてしまう。このため、今回は国内の練習試合ながら6日の2試合と合わせたグループリーグ表を擬似的に作成し、「この試合で1-0の勝ちながらグループ突破」といった設定で臨んだが、結果は悔しい大敗となった。

 指揮官は後半に「何としても点を取ってやろうという気持ちを見せた選手たちが多くいた」点、「二人、三人と絡んでゴールに迫るプレーが出た」点はポジティブに評価をしつつも、「認知も判断もボールスピードも、コントロールも、そしてフィジカルも基準に達していない部分が多い」と率直にコメント。また選手たちには直接「この中で本当にA代表まで行きたいと思っている選手たちは、チームに戻ったあと、チームの中で誰よりも努力する選手になってほしい」とした上で、「俺は諦めが悪いから、『あれから成長したかな?』と、これからもお前たちのことをしつこく追い掛け続けるよ」と伝え、あらためて奮起を促した。

 チームはこれで一旦解散。ロサンゼルス五輪世代に相当する年代だが、直近で目標とする国際大会があるわけではない。そしてだからこそ、空白の世代にしないための強化合宿だったが、様々な課題が浮き彫りになる内容となった。

(取材・文 川端暁彦)

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