beacon

トップ昇格内定の横浜FCユースDF杉田隼は「アカデミーの代表として」目標とされる選手への成長を期す

このエントリーをはてなブックマークに追加

トップチーム昇格が内定している横浜FCユースDF杉田隼

[10.9 プレミアリーグEAST第14節 浦和ユース 0-1 横浜FCユース 駒場]

 ここから足を踏み入れていく世界は、もはや憧れではなく、自分が生き抜いていくためのシビアな舞台になる。希望も、不安も、期待も、怖さも、その立場になったからこそ、味わうことのできる特権だ。

「この横浜FCのアカデミーの代表として、自分たちの後輩に自分が活躍している姿を見せて、『通用するんだよ』ということを示すためにも、これからもっと今まで以上に頑張りたいなと思います」。トップチーム昇格が内定したセンターバック。横浜FCユースDF杉田隼(3年=横浜FCジュニアユース出身)は、このクラブのアカデミーで育ってきた誇りを胸に、プロサッカー選手として生きていく決意を固めている。

「ウチは再開初戦でしたけど、レッズさんは先週大宮(アルディージャU18)と結構良いゲームをしていましたし、自分たちが初戦をどういう雰囲気で行くかということは、チーム全体の統一した意識として、試合前から監督に結構言われていたので、それは(増田)健昇とか3年生中心に声を掛けて試合に入りました」。

 杉田は可変システムの要として、DF池谷銀姿郎(2年)、キャプテンのDF増田健昇(3年)と3枚が並ぶセンターバックの中央で、相手のアタッカーににらみを利かせていく。加えて、この日はGKの松野凌大(3年)がプレミアリーグ初スタメン。「いつもは陽気なんですけど、結構ガチガチだったので(笑)、試合前の円陣で『思い切りやってくれ』と話しました」と思わず笑ってしまうような表情を浮かべていたようだが、3年間をともに過ごしてきた仲間にはもちろん信頼を置いていた。

「3年間一緒にやってきて、凌大のキックの特徴はみんなわかっているので、そこは信頼していますし、チーム全体が『凌大なら大丈夫だろう』とは感じていたと思うので、僕たちも安心していました」。松野を使ったビルドアップも上々。杉田を中心に置いた守備陣の安定感は、時間を追うごとに増していった感すらある。

 結果は1-0の完封勝利。「後半は苦しい状況が続いたんですけど、キーパーも含めて全員で声を出して、無失点で終われたのでまた良いスタートを切れたかなと思います」と杉田も自ら振り返ったように、確かな手応えに繋がる白星を力強く引き寄せた。

 今シーズンはトップチームのキャンプにも参加。その後も不定期ではあるものの、練習参加を行ってきた中で、浦和レッズとの練習試合には同い年のディフェンダーも、相手選手として出場していたという。「工藤孝太選手とも同じピッチで、トップの試合で対戦しました。やっぱりキックは見習わないといけないと思いますし、逆に自分の方が読みや予測は優れていると思っていますし、そこで通用する部分は自分の中で知れたので、良い指標が持てるような機会になりました」。同じくプロの世界に進む同級生は、意識しないはずがない。

 トップチームの活動では、特に2人の選手が印象に残っている。「サウロ・ミネイロ選手は身体がごつくて、フィジカルが凄くて、サッカーに対する情熱も凄くて、練習でも1回負けるだけで凄い勢いで来たりするので、そこで負けないことだったりは自分で意識してやっていました」。

「あとは俊さん(中村俊輔)も、自分がヘディングで弾き返してしまうところをマイボールにする方法とか、自分の経験を細かく明確に伝えてくれるので、そこは凄く学ぶものは多いです。日常的にはまだ凄く話せるというわけではないですけど、プレーに関しては横浜FCの選手は寄り添ってくれるというか、『こうした方がいいよ』と言ってくれます」。レジェンドの貴重なアドバイスも仰ぎつつ、より一層の進化に目を向けている。

 自信は、ある。「トップチームの活動に参加させてもらっている時にも、自分の武器の読みや予測が通用する部分もありました。今は難しい世界に飛び込んでいく準備をしている段階ですし、そこへ飛び込んでいく覚悟はあるので、自分のストロングポイント、ウィークポイントをどうしていくかというところを、あと数か月でやっていきたいです」。

 目標も、ある。「今トップチームで活躍している齋藤功佑くんや前嶋洋太くん、安永玲央くんは自分たちアカデミーの選手から見ても目標となる存在ですし、やっぱりあの人たちのように、アカデミーの選手から目標とされるようなセンターバックになっていきたいです」。

 いつか自分の辿った足跡がアカデミーの後輩たちに語り継がれるよう、杉田は自分の足で歩むべき道をしっかりと見据え、堂々と前へ進んでいく。

(取材・文 土屋雅史)
▼関連リンク
●高円宮杯プレミアリーグ2021特集

TOP