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吉田麻也が見つめる森保Jの課題「ある程度は形を構築しないと」

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日本代表のDF吉田麻也(サンプドリア)

 カタールW杯アジア最終予選・オーストラリア戦を翌日に控えた11日、日本代表のDF吉田麻也(サンプドリア)がオンライン取材に応じ、現在の森保ジャパンが直面している課題を指摘した。

 日本は今回の最終予選で1勝2敗。W杯出場圏の2位から勝ち点6差を離され、3位に沈んでいる。これまでの3試合はいずれも1-0のスコアで、奪った得点は一つだけ。それもMF伊東純也(ゲンク)のスピードとFW大迫勇也(神戸)のシュートセンスが噛み合ったスーパーゴールで、組織的な攻撃がうまくいっていない印象が強い。

 吉田はこの問題について「課題としては形を持つこと」と指摘する。

「アジア杯など、これまでの試合で良かった時は距離感が良くて、中島選手、南野選手が狭いスペースで前を向けたり、コンビネーションを作れる選手が活きていた。ただ、それがいまは欠けている。ある程度はここに入ったらこうするという形を構築しないと、『ボールを持って、さあどうしよう』が局面で続いていると、テンポも上がらない。テンポが上がらないと相手も守りやすい」。

 もっとも、これは簡単には解決できない「大きな課題」(吉田)。アジア杯では大会を戦いながら徐々にチームづくりを進めていき、時間をかけて強豪居並ぶ決勝トーナメントに挑むことができたが、最終予選は短期間で準備をしなければならない。

 そこで吉田はまず「積極性を取り戻す」ことにフォーカスする。その鍵は「距離感」にあるという。

「自分たちが積極性を取り戻さないといけない。それは選手間の距離間にリンクしていると思うけど、距離感が悪いとボールを失いたくないのでセーフティな選択になって怖さが出なかったりする。サウジアラビア戦で失点するまでの60分、70分くらいの時間帯はボールが後ろに行く回数が多かったし、最初のタッチが後ろに行くのは良くない。ピッチでも感じていたが、映像を見てもそこで相手がここぞとばかりに勢いを持ってきていた。積極性を取り戻すためには選手間の距離が大事で、ボールを持っているときに二つ三つのオプションを作らないといけない」。

 そう語った吉田は「距離感を取り戻すために、サポートの課題を速くしないといけない。一歩、二歩の違いで変わってくると思うけど、サポートの距離感を良くすれば、そしてテンポが上がってくれば、少しずつパスが成功してくれば、自信を取り戻してくれると思う。積極性を取り戻すためには小さな成功体験を積み重ねていけないといけない」と改善策を指摘。豪州戦に向けて「試合の中でテンポよくボールを回して、ボールを支配して、ゲームを支配する時間を長くしてリズムを作ることが大事。特にホームだし、オーストラリア相手にはいつも拮抗した展開になるので、ゲームをリードして支配しないといけない」と語った。

 豪州戦は、もし敗れればW杯出場が遠のく、まさに”背水の陣”。最終予選初経験となる若手選手をはじめ、チームには大きな重圧がかかっている。吉田は「本来であれば年齢が上の選手、経験値のある選手がチームを引っ張り、若手が自分のパフォーマンスやアピールに集中できる状況を作ることが大事。彼らがいろんなことを考えないといけない立場になっているのは申し訳ない」と語る。

 その一方、この経験を成長への糧にすることも期待している。

「それが日本代表で最終予選を戦うことだと肌で感じていると思う。もちろんアピールして点をとって欲しいと思っているし、この結果が日本サッカーの結果に直結するんだと理解しないといけない。W杯に出る、出ないは僕達だけじゃなく、サッカーに関わる全ての人の死活問題。この一戦の意味は非常に大きいし、予選を突破する意味は非常に大きい。それだけのものが自分たちの背中にのしかかっていることを感じろとは言わないが、のしかかっているのは事実。そのプレッシャーを力に変えていかないといけない」。

 そうして迎える重要な一戦。ミーティングではオーストラリア対策の分析も共有されたという。「オーストラリアは決まったパターンが見受けられるように思うので、そこを潰せるように、逆を突けるようにと話している。昨日やって今日も戦術的なところを確認できるので、公式練習は時間が限られているが、始まる前や終わった後にも話していければ。もちろんそこは監督とも話しているし、全ては明日の試合で勝ち点3を取るためにやっている」。差し迫った課題を乗り越え、勝利だけを狙う。

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