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“背水の陣”豪州戦へ…森保監督「厳しい状況はもちろん承知している」

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練習前、MF南野拓実と話し込む森保一監督

 日本代表は12日、カタールW杯アジア最終予選第4戦でオーストラリア代表と対戦する。

 もし勝ち点を落とせば、W杯出場が遠のく“背水の陣”。森保一監督は11日の前日会見で「3試合を終えて、厳しい状況に置かれていることはもちろん承知している。しかしながら、W杯最終予選は全ての試合において厳しい試合の連続であることは最終予選に臨む前から覚悟していたこと。まだまだわれわれ次第で巻き返せるチャンスはあるし、W杯出場権獲得のために勝利を目指して戦うことだけを考えて臨みたい」と意気込みを語った。

 今回の最終予選で1勝2敗の日本は、W杯出場圏の2位から勝ち点6差と大きく離され、3位に沈んでいる苦しい状況。12日のオーストラリア戦は出場権を争うライバルとの直接対決で、もし敗れれば7大会連続のW杯出場が厳しくなる。

 森保監督は7日のサウジアラビア戦後の会見で「われわれがW杯を諦めなければ、このままW杯に行きたいという気持ちを持ち続けてチャレンジすれば、必ずW杯出場のチケットを掴み取れると思っている」と述べた。するとこの日の会見では報道陣から「なぜ出場権を掴み取れる力を持っているのに現状の成績なのか」といった厳しい質問も向けられた。

 これに対して森保監督は「サッカーも含めてだが、勝負事に絶対はないということが言える。われわれができることは勝つ確率を上げられる準備をすること」と返答。「われわれの選手たちの力を考えれば、日本代表、日本サッカーの力を考えればできる準備を怠らず、しっかりやっていけば勝つ確率は限りなく上げられると思っている」と淡々と話した。

 もっとも、アジア予選で結果が出ないことには“世界”を見据えることはできない。指揮官も「われわれがやりたいこととと、その時にできることはギャップがあるかもしれない」と語っていたが、目の前の課題と向き合うことも求められる。

 たとえばサウジアラビア戦で見られた“攻め急ぎ”の問題。日本は中盤のプレッシングがハマった前半こそ鋭いカウンターを繰り出していたが、対策をされた後半はボール保持がうまくいかず、反対にボールロストから失点した。指揮官が就任当初から貫いてきた「奪って速く攻める」狙いは一定の成果を挙げている一方、“攻め急ぎ”が大きなリスクとなることも露呈したと言える。

 速く攻める意識を失わず、いかに相手との駆け引きを行っていくか——。このバランスについて、指揮官は次のように語る。

「日本サッカーが世界で確実に勝っていくためには、強度を高くして、プレーのテンポを早くしていくことが必要だと思いながら練習をプランし、選手たちに働きかけながら試合でも実践してもらっている。トレーニングでゆっくりボールを持つことも働きかけているが、選手たちが実践できていない部分においてはまたトレーニングを改善して考えて、ミーティングで話していきたいと思う。

 ただ世界のサッカーで勝っていこうと思った時、実際にゆっくりとボールを持つことも試合の中ではあるが、強度を高くやり続けることをまず前提にやっていかないと、おそらく日本が世界で勝っていくということにおいては、世界のトップトップに追いつくこともできなければ追い越すこともできない」

 次の相手となるオーストラリアは、最終予選3試合を7得点1失点で3連勝している強敵。速攻でゴールを奪うことができず、これまで敗れた試合と同様にじれる展開となる可能性も大いにある。そんな状況で選手たちが適切に振る舞うことができるのか。短い準備期間の中で指揮官がどれだけ指針を示せるかどうかが勝負を分けることになりそうだ。

(取材・文 竹内達也)
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