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シメオネ「後方からボールをつなぐことだけが正義じゃない。シャビやイニエスタを擁してもいない監督たちがエゴを出している」

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アトレティコを率いるディエゴ・シメオネ監督

 アトレティコ・マドリーディエゴ・シメオネ監督は、後方からボールをつなぐスタイルが絶対的正義ではないことを説いている。

 シメオネ監督はスペイン『エル・パイス』紙、エンリケ・オルテゴ記者との企画でビセンテ・デル・ボスケ元スペイン代表監督と対談を行った。その対談の中で、デル・ボスケ氏が後方からボールをつないで攻撃を構築することがほとんど義務化されている現状について、「そうしなければ、まるでフットボールに対してひどいことをしているようだ」との見解を示すと、シメオネ監督も同意。次のような意見を口にしている。

「まったくだね。最高のスペイン代表、最高のバルサが監督たちのエゴを増大させてしまい、彼ら全員に自分たちもピケ、ブスケツ、シャビ、イニエスタを擁しているという夢を見させた。……彼らを擁しているわけなどないのに。こうして、絶対に安全とは言えない状況からプレーを開始する考えが植え付けられることになった」

「私がそうした特徴を持ち合わせていない選手たちを擁しているとしたら、ボールをつなぐ攻撃など仕掛けない。紳士諸君には申し訳ないが、私たちはピッチの半分からボールを蹴り入れて、後方からボールをつなぐのと変わらない場所に到達する……ボールを飛ばしてね」

 デル・ボスケ氏はある監督から、指導者が選手に影響を与えるのは攻撃よりも守備であると言われたという。するとシメオネ監督は、こう持論を述べた。

「絶対的な真実などないよ。監督は両方の面で影響を与えられる。私は守備面を評価しないことには反対の立場を取らせてもらう。守ることだって芸術なんだ。自陣からボールを持って相手を引き寄せるとしたら、それもスペースをつくり出す方法となる。後方から攻撃を始めることは守備的、それとも攻撃的のどちらなのだろうか? それは解釈次第だろう」

「私は相手を引き寄せる。それは相手の後方にスペースを見つけるため、相手を攻撃するために行うことだ。無条件に後方からボールをつないでも意味がない。そうするのは相手に打撃を与える方法があるためで、そしてそれは様々な方法で実現し得る。なぜかと言えば、それこそがフットボールだからにほかならない。ワールドカップもスペインのように勝つこともできれば、フランスのように勝つこともできる。フットボールは素晴らしく、誰もが正当性を持つことができる。3-0の勝利が美しいプレーを意味するわけでも1-0の勝利が悪いわけでもない」

 シメオネ監督はまた、自身が選手たちの状態について細心の注意を払う指導者であることを認めた。

「一人の調子が悪いなどと話すのは醜いことだ。私は直感力に優れていると思う。選手たちがやって来る姿を見て、どういった状態かを理解できるよ。よく寝たのかとか、怒っているのかとか、満足しているのか、とかね。そうしたことを体が物語っている。身振り手振り、立ち姿、話を聞く姿勢、頭の振り方が物語っているんだ。私の方を見ているか見ていないか、パスの出し方でも理解することができる。彼らとできる限り近い距離にいるため、そうしたことにも気を遣っている」

「私は誰とも約束をしない」と、絶対的選手が存在しないことを強調し続けるシメオネ監督は、その理由についてもより深く説明している。

「その有名な、誰とも約束はしない、という言葉は真実だ。試合が始まるときには監督もその地位を賭けることになり、監督こそが結果の影響を誰よりも受けることになる。だからこそ、自分たちが求めるものに忠実でなくてはならない。ある日には誰かを傷つけて、違う日にはまた違う誰かを傷つけることになってしまう。しかし私は毎日、選手たちになぜ出場させたか、または出場させなかったのかを説明する人間でもない。それは、とても説明が難しいものだ」

「今、私たちは素晴らしい陣容を擁している。グリーズマン、コレア、ジョアンに、その日はプレーしないということをどう説明ができる? 事実であるのは各試合でベストを尽くしているということであり、そうすれば選手たちにもそれがベストと信じさせることができる」

 その一方で、FWリオネル・メッシも去った今季ラ・リーガについての印象を問われると、こう返した。

「メッシとクリスティアーノが去ったことで私たち全員が何かを失った。しかし彼らはあまりにも長い間、私たちのリーグ戦に貢献してきたんだ。彼らがいないことでラ・リーガは再び成長を果たし、立場を取り戻さなくてはいけない。思うに、スペイン・フットボールのリズムは下がっているよ」

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