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安定してきた守備とオープン攻撃で巻き返しへ。プレミア初年度から降格経験ゼロの東福岡が神戸U-18と1-1ドロー

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前半33分、東福岡高MF楢崎海碧が先制ゴール

[10.10 高円宮杯プレミアリーグWEST第14節 東福岡高 1-1 神戸U-18 東福岡高G]

 高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2021 WESTは10日、第14節2日目を行い、勝ち点1差の暫定7位・東福岡高(福岡)と同8位・ヴィッセル神戸U-18(兵庫)が激突。1-1で引き分けた。

 開幕5連敗と苦しんだ東福岡が、7月10日以降の4試合を2勝2分と巻き返してきている。プレミアリーグ初年度の11年以降、一度も降格したことのない東福岡にとって負けられない戦いが続く中、この日は前節、クラブユース選手権王者・名古屋U-18に3-2で撃ち勝っている神戸U-18との一戦。東福岡は安定した守備とオープン攻撃、セットプレーで対抗し、“最低限”の勝ち点1を奪取した。

 個々のスキル高い神戸U-18に対し、東福岡は立ち上がりからファーストディフェンスのアプローチや横へのスライドを徹底。そして、オープンスペースを突く攻撃を見せると、8分には左ロングスローのこぼれをMF向井貴都(3年)が右足ダイレクトミドルで狙う。

 この一撃は神戸U-18GK森田大悟(3年)が横っ飛びで反応。この後は神戸U-18がポゼッションする時間を伸ばし、攻守両面で存在感を放っていたU-18日本代表候補CB尾崎優成主将(3年、トップチーム昇格内定)とCB寺阪尚悟(2年)のロングフィードも交えながら相手の守りに揺さぶりをかける。

 だが、東福岡はFW佐川玲史(3年)を筆頭としたプレッシングを継続。またCB段上直樹主将(3年)とCB転向間もない椋野魁斗(3年)の両DFを中心としたDF陣や向井が相手の仕掛けに対応し、決定打を打たせない。逆に両翼や前線のスピード、推進力を活かした攻撃で攻め返し、セットプレーを獲得する。そして33分、東福岡はMF吉岡優希(3年)の右CKをファーサイドのMF楢崎海碧(3年)がヘディングシュート。これをニアポスト脇へねじ込み、先制した。

 東福岡は直後にもカウンターから最前線まで飛び出した椋野が左足シュート。43分にはFKを段上が中央へ折り返す。GKの頭上を超えたボールに佐川が走り込んでいたが、決め切ることができない。それでも、堅守と狙いとする攻撃で前半を1-0で折り返した。
 
 だが、後半8分、神戸U-18が同点に追いつく。東福岡の寄せが少しずつ遅れた隙を突いてボールを動かすと、最後は交代出場MF永澤海風(2年)のスルーパスからMF仁科星哉(3年)が右足で決めた。

 後半、神戸U-18はMF安達秀都(2年)やMF向井あさひ(3年)が慌てず、相手の状況を見ながらボールを動かし、中央、サイドからの崩しにチャレンジ。FW冨永虹七(2年)の鋭い抜け出しも交えてゴールへ迫る。

 だが、東福岡は段上が「失点してからみんなで集まって話したんですけれども、そこで崩れずに立て直したのはデカかったかなと思います。(神戸は)足元も上手いし、なかなか感じられないレベルだったので勉強になりました。(それでも)体力的にも前線の選手はシンドかったと思うんですけれども、それでも頑張ってくれたり、途中出場の選手がハードワークしてくれたので、後ろの選手がそれに応えないといけないと思って戦いました」と振り返ったように、失点から崩れずに各選手が役割を徹底し、均衡を保った。

 逆に東福岡は交代出場MF大渕来珠(3年)のプレースキックなどからチャンスも。特に後半半ば以降は、5月に転校してきたMF浦十藏(2年、前・鳥栖U-18)が圧倒的なスピードを披露する。快足を活かして右オープンスペースへのボールに再三追いつき、そこからの仕掛けでラストパスへ持ち込んだり、セットプレーを獲得したりしていた。終盤はオープンな展開となり、互いに決定機も。だが、決め切ることはできず、1-1で引き分けた。

 段上は「早めに1点取って、そのままの流れで勝ち切りたいところではあったんですけれども、まだそこの弱さが出たかなと思います」と反省。それでも、前向きな勝ち点1だ。森重潤也監督も「課題は残るけれど、勝ち点は積み重ねられたので、前向きに捉えて、(次節の9位・)サンガにひっくり返されないようにやっていきたい」と語った。

 今年、東福岡はプレミアリーグでスタートダッシュを決めることができず、インターハイ予選の連覇が8でストップ。悔しい前半戦となったが、守備の距離感やチャレンジアンドカバーを改善するなど、守備から立て直してきている。攻撃面も戦い方が明確になり、楢崎と椋野の台頭や浦の加入など戦力値も向上。注目GK須田純弥(2年)も擁し、プレミアリーグ残留と、選手権での福岡奪還・全国大会での躍進が十分可能なチームになってきている。

 段上は「本当に夏負けてから何回もミーティングしたり、意識を変えてこの期間練習をしてきたので、それを出すことができれば(タイトルも)奪還することができるのかなと思っています」。悔しい経験も糧に巻き返してきた“赤い彗星”が一歩一歩成長を続けながら、白星を積み重ねる。

(取材・文 吉田太郎)
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