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「繋がり」持って35回目の選手権へ。韮崎が10-0で山梨準々決勝進出

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前半4分、FW熊谷顕士の先制点を喜ぶ韮崎高イレブン

[10.16 選手権山梨県予選3回戦 合同(市川高・青洲高・峡南高) 0-10 韮崎高]

 第100回全国高校サッカー選手権山梨県予選は16日、3回戦が行われ、シード校が登場。35回目の選手権出場を狙う韮崎高は市川高・青洲高・峡南高の合同チームに10-0で快勝した。

 韮崎は前半4分、右クロスのクリアをFW熊谷顕士(3年)が右足ダイレクトボレーで決めて先制。14分にもPAへ抜け出した熊谷が右足で決めて2-0とした。今大会2勝の市川・青洲・峡南はCB平山脩人主将(2年)が声とタックルでチームを鼓舞。3年生はMF中込尊一人だけだが、各選手が声を掛け合いながら良く守っていた。

 だが、韮崎は初戦から連動性の高いサッカーを展開。相手の僅かな隙をゴールへ結びつける。20分にはMF佐藤寧峰主将(3年)のスルーパスから熊谷がハットトリック達成。さらに、24分にはMF土屋葉月(3年)、25分にはMF坂本陸仁(3年)が決めると、29分にも中央から崩し、最後は土屋が左足でゴールを破った。

 韮崎は抜群のキープ力を誇るエースFW鈴木斗真(3年)や展開力備えたCB岡田聖亜(3年)、そして豊富な運動量を備えたMF佐藤がチームの中軸。彼らが存在感ある動きを見せる。一方で、岡田が「自分たちは技術とかそういうのはないので、一人ひとりの『繋がり』というのは凄く意識していて、できることを最大限やることを目的としていつもプレーしています。練習からチームでやりたいことを伝え合っているし、そこの共通意識が強いので、きょうの試合でも自分たちの形通りに点を取れたり、試合を運べたかなと思います」と説明するように、各選手が「繋がり」、崩してゴールを破り続けた。

 市川・青洲・峡南は後半、ゴール前でのシュートブロックや相手への寄せを徹底。好プレーを称え合いながら強豪に食らいつく。だが、韮崎は14分、右クロスから熊谷が右足ダイレクトでのループシュートを決めて7-0。熊谷は20分にもゴール前のこぼれ球を押し込み、この日5点目を挙げた。

 市川・青洲・峡南はアーリークロスに中込が走り込むシーンがあったものの、韮崎は冷静に封じて無失点。37分に交代出場FW小林陽向(3年)の折り返しから鈴木が左足で決めると、アディショナルタイムにもFW赤池駿(2年)が決めて10-0で試合を終えた。

 山梨県の新型コロナウイルス予防対策のため、韮崎は他の公立校同様に練習時間が限られた。8月はほとんど全体練習をすることができなかったというが、小泉圭二監督は「子どもたちが前向きな考え方で、高い意識を持ってやってくれた」と振り返る。言い訳することなく、今、自分たちができることを徹底。私立強豪にも負けない「繋がり」を大事に、全員でチーム力を高めてきた。

「13年ぶりに何とか選手権へ、と(周囲が)サポートしてくれる」(小泉監督)という後押しを受ける伝統校は一戦一戦勝ち続けること。岡田は「(今年の選手権は)100回大会でもありますし、チームとしても特別な意味を持つ年なので、山梨県では一番長くサッカーをして、全国でも日本一目指して頑張っている」と語り、熊谷は「13年間出れていないので期待とかあると思うけれど、プレッシャーに押しつぶされず、韮高らしく自分たちの良さを出していきたい」と誓った。小泉監督就任1年目、コロナ禍で難しいシーズンであったことは確か。その中で繋がって成長してきた韮崎が一戦必勝で全国を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
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