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[MOM3596]駿台学園FW大熊悠希(3年)_頼れるストライカー兼キャプテンが2ゴールで逆転勝利の立役者に!

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ゴールを奪って雄叫びを上げる駿台学園高FW大熊悠希

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.16 選手権東京都予選Bブロック2回戦 駿台学園高 2-1 国士舘高]

 想定外のヘディングで奪った同点弾に、ゴール前でしぶとく流し込んだ逆転弾。キャプテンでストライカーという重責も、明るいキャラクターのこの男は難なくこなしていく。「自分は泥臭くやることしか取り柄はないし、声でもプレーでもみんなを引っ張らないと付いてきてもらえないので、キャプテンとしてそういうところは身体を張ってやっていきたいと思います」。

 声でも、プレーでも、チームを牽引できるナンバー9。駿台学園高のFW大熊悠希(3年=LARGO FC出身)が大事な一戦で躍動した。

 負けたら終わりの一発勝負。選手権予選初戦でいきなり強豪の国士舘高と対峙した駿台学園は、前半11分に早くも先制ゴールを許してしまう。「みんなに『焦るな、落ち着いてやればできる』という声は掛けていたんですけど、自分の中でもちょっとした焦りはありましたね。でも、最後の大会なので、焦って当然なのかなと」。大熊は焦る気持ちも、冷静に分析していた。

 すると17分。意外な形で相手ゴールをこじ開ける。右サイドで駿台学園が得たFK。相棒のFW鶴岡飛嘉(3年)のキックは、中央へ走り込んだ大熊へドンピシャで届く。「本当は自分がターゲットではないんですけど、なんかボールが来たので、頭を振ったら決まってしまったという感じです。自分はあまりヘディングで決めないですし、しかもセットプレーからなんて何年ぶりかですね(笑)」。数年ぶりだというセットプレーからのヘディング弾。まずは同点に追い付いてみせる。

 後半に入ると大熊は、相手との接触で鼻から出血。数分間の“離脱”を余儀なくされた。「必死にスタッフ3人掛かりぐらいに止めてもらって、『出よう、出よう』という感じだったんですけど、鼻をつまんで、ティッシュを詰めて、水を飲んで、冷やしてという感じで、最悪でした」。だが、ようやくピッチに戻ったストライカーは、きっちりと自らの役目を果たす。

 後半30分。鶴岡が絶妙のボールを裏へ送ると、10分前に投入されたばかりのFW安達渉(3年)が左サイドを巧みなステップで切り裂き、中央へクロスを上げる。飛び込んだ大熊が目の前の視界に捉えたのはボールとゴールだけ。「安達とは同じクラスで、メッチャ仲良くて、話し合って意志疎通もしてきたので、いい感じにドンピシャでしたね。走ったら目の前にボールが来た感じでした」。貴重な、貴重な、決勝ゴール。キャプテンとしても、ストライカーとしても、チームに勝利をもたらす仕事を完遂してみせた。

 インターハイ予選はベスト4まで躍進したものの、勝てば全国大会という大勝負では実践学園高に1-3と力負け。選手権でのリベンジを誓ったはずのチームは、それでもなかなかまとまらない日々を過ごしていたという。

「結構緩かった時期があったんですよ。ウチの悪い癖なんですけど。でも、『あの悔しさを忘れたのか』と。忘れてはいけない悔しさなのに、緩んでいるチームがあったので、そこはミーティングを何時間もして、なんとか立て直して、この初戦の国士舘戦に良い形で持ってこれたんじゃないかなと思います」。ずっと右肩上がりというのは、確かに難しい。ただ、Bチームでの活躍が認められ、この大事な選手権予選でアシストを記録した安達のような選手が出てきていることも、キャプテンにとっては嬉しいことだ。

「Bチームで頑張っている選手が上がってきて、ここで結果を残してというメチャメチャ良い状況ですよね。駿台学園の環境はスタッフも含めてとにかく良くて、そういうところは最高なんじゃないですか」。だからこそ、この最高の環境でともに切磋琢磨してきた仲間たちと、成し遂げたい目標がある。

「インターハイ予選も暁星戦に勝って、次の久我山に勝つという、1点差ゲームをものにした流れがあったんですよね。今日も格上の相手に1点差で勝ったことで、そのまま勢いが付くと思うので、次も絶対に勝ちたいです」。

 見えてきた“昨年超え”。それはすなわち駿台学園にとって初のファイナリスト、そして初の東京王者というステップに他ならない。

(取材・文 土屋雅史)
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