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伝統校・八千代が雨中で難敵・渋谷幕張を3-0撃破!個性と堅守、雰囲気、野心も強みに今年こそ千葉突破へ

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前半2分、八千代高はMF尾形陸が右足シュートを決めて先制

[10.17 選手権千葉県予選決勝T1回戦 渋谷幕張高 0-3 八千代高]

 公立の伝統校・八千代が、千葉制覇へまず1勝――。第100回全国高校サッカー選手権千葉県予選は17日、決勝トーナメント1回戦2日目を行い、9年ぶり10回目の選手権出場を狙う八千代高渋谷幕張高に3-0で快勝した。

 試合開始前から強雨が降り続く悪コンディション。だが、八千代が開始直後に先制点を奪う。CKのクリアボールを拾ったMF榎本直紀(2年)が縦パスを通すと、MF尾形陸(3年)が右足ダイレクトでシュート。幸先よく1点を挙げ、流れを掴んだ。

 八千代はスリッピーな状況でピッチを広く使い、大きな展開を交えた攻撃で押し込む。14分には、この日右サイドで再三相手の守りを剥がしていたレフティーMF木曽達貴(3年)のスルーパスに左SB藤東隼斗(3年)が走り込んで左足シュート。17分にもロングパスからFW田中勇羽(3年)が右足シュートを打ち込んだ。

 ただし、渋谷幕張も良く鍛えられているチーム。ゴール前の守りは非常に堅く、前線からのプレッシングも継続していた。セカンドボールを拾うと、FW角田透也(3年)を起点とした速攻。そして、10番MF高根照太(3年)のロングスローや、MF山口駿(3年)の奪い返しからゴール前のシーンも作り出した。

 だが、八千代は千葉トップクラスのCB松野聖哉主将(3年)とCB小菅翔(3年)を中心に安定。ともにインターハイ予選後のコンバートで台頭した左の藤東隼斗(3年)、右の渡邉奏(3年)の両SBも球際の強みを発揮する。また、中盤では国体選抜歴を持つ尾形が運動量を増やし、セカンドボールに対応。渋谷幕張の攻撃は勢いがあったが、危険な位置にボールを落とさず、GK平尾涼介(2年)の守るゴールに相手を近づけない。

 八千代は後半も木曽やFW納富惇也(2年)が収まりどころになり、大きな展開から藤東や渡邉がPAへ切れ込む。だが、取り切れない部分が課題に。渡邉のヘッドがクロスバーを叩き、尾形の右足ボレーが渋谷幕張GKフェリペ・サジオロ(3年)のファインセーブに阻まれるなど、なかなか追加点を奪うことができなかった。それでも、豊島隆監督が「能力があるので落ち着いて見ていられる」と説明したように、強固なDF陣が無失点を継続。そして、終盤の2発で難敵を突き放した。

 35分、司令塔・MF菱田悠大(3年)の精度高い左CKをニアの松野が頭でねじ込み、2-0。アディショナルタイムには木曽が個人技で右サイドを攻略し、ラストパスを榎本が右足ダイレクトで決めた。

 インターハイ優勝、2度の選手権3位などの歴史を持つ八千代は、今年も関東大会に出場した。だが、インターハイ・選手権出場はいずれも豊島監督就任1年目だった12年度大会が最後で、過去2年の選手権予選は流通経済大柏高、その前3年間は市立船橋高のプレミアリーグ勢にいずれも1点差で敗戦。それでも、毎年のように優勝も狙えるようなチームに仕上げ、2強相手に接戦を演じている。

 今年も互いに勝ち上がれば、準々決勝で流経大柏と対戦する組み合わせだが、豊島監督は「ちょっとのきっかけがゲーム中にあれば、それで行けると思う。能力のある選手はいるので、そこでどう違いを生めるか、その選手をどう活かせるかというところを共有していきたいと思います」とコメント。紙一重のゲームで勝機を掴む。

 八千代は雰囲気と、野心も強み。松野は「今年は元気の良い選手が多くて、チームの雰囲気を良くしてくれようとする選手が多いです。雰囲気ってサッカーで大事。それをチームで共有しているので、練習中から声を掛け合っている。雰囲気、そして『勝つ』という野心では絶対に自分たちは負けていないので、全国に出るという気持ちは負けずに、球際や切り替えは絶対にやっていきたい」と力を込めた。

 豊島監督も「八千代高校の生徒は気の良い子ばかりなので、『アイツらのために頑張るんだ』というのが普段からある」とチームの“繋がり”の良さについて語っていたが、個々の能力の高さや堅守に加え、サブやBチームの頑張りと応援、途中出場の選手が元気なプレーをするところも武器に今年こそ千葉突破へ。「自分たちが1年生の時にちょうど人工芝になりました。今年こそ、流経に勝って、市船倒して全国の舞台で八千代旋風を巻き起こしたいと思います」(尾形)、「毎試合毎試合八千代らしさを出して、全国に出て、全国優勝したいと思います」(松野)という目標を全員で実現する。

(取材・文 吉田太郎)
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