beacon

「千葉県を驚かせたい」。公立の成田北が再び歴史塗り替え、初のベスト16進出!

このエントリーをはてなブックマークに追加

学校史上初という選手権予選でのベスト16。成田北高が勝利を喜ぶ

[10.17 選手権千葉県予選決勝T1回戦 成田北高 1-0 検見川高]

 公立の成田北が再び、歴史を塗り替えた。17日、第100回全国高校サッカー選手権千葉県予選決勝トーナメント1回戦で、成田北高が1-0で検見川高に勝利。激戦区・千葉で初のベスト16入りを果たした。

 チームによると、選手権予選でブロック代表決定戦へ進出したのも、それに勝利して決勝トーナメントへ進出したのも初。「千葉県を驚かせたい」「公立高校でこれだけやれるんだ」という思いを持って格上への挑戦を続ける集団が、その歴史に新たな1ページを刻んだ。試合終盤の検見川の猛攻を跳ね返し、訪れた勝利の瞬間。雨の中、ブルーのユニフォームが歓喜に舞った。

 多量の雨を含み、試合開始前から水たまりもできていたピッチ。持ち味の連動した崩しやビルドアップを発揮するのは難しいコンディションだった。だが、成田北は22分にエースMF小田島颯志(3年)が抜け出しから決定的な右足シュート。DFラインを高く設定する相手の背後を突く攻撃が効果を発揮していた。

 外からの攻撃を狙う検見川を封じ、0-0で前半を終えた成田北は、後半開始からスピードのあるMF伊藤拓磨(3年)を投入。対する検見川も3分に速さと推進力のあるFW高山周(1年)を加え、MF後藤雅丈(3年)のドリブルやFW石田蒼太(3年)のハードワークなどと合わせて相手ゴールを目指した。

 互いにボールとゴール、勝利への執着心を見せ合う戦いは後半7分、成田北がスコアを動かす。敵陣右中間でルーズボールに反応した伊藤が左足ミドルシュート。ボールは高めの位置取りをしていたGKの頭上を超え、ゴールへ吸い込まれた。「まさかこんな綺麗に入るとは思っていなくて、自分が一番ビックリしました。嬉しすぎたので、みんなと分かち合いたいと思って」という背番号19はベンチの仲間たちの下へ。スタッフ含め、貴重な先制点を全員で喜んでいた。

 検見川はすぐに反撃。サイド攻撃、セットプレーからゴールへ迫り続ける。だが、成田北はCB大垣遼(3年)が「こぼれ球に誰か一枚出るところとか、シュートコースを塞ぐところとかは良くできたかなと思います」と振り返ったように、やるべきことを徹底して決定打を打たせない。

 また、「キャプテン(MF藤崎善雄、3年)中心に声を出して、気持ちで負けないだけですね」(大垣)というように、成田北は気持ちで引かず、大垣やCB八木優哉(3年)らDFラインの選手たちが目の前の相手と戦い、中盤・前線の選手が良く走っていた。ゴール前でのミスをMF畑村歩吹(3年)と右SB家久智也(3年)がカバー、クリアするなど、GK柏熊桜士(3年)含めて全員が集中したディフェンス。また、この試合で最も存在感を放っていた10番MF小田島颯志(3年)がセカンドボールを失わずに再三前進するなど個の力も見せ、逆に相手ゴールへ迫っていた。

 検見川は35分にMF加藤凜久(3年)が放ったヘッドがポスト。37分にFW戸舘康二朗(3年)の突破から高山が決定機を迎えたが、枠を捉えることができない。40分のCKのチャンスもゴールマウスに嫌われて無得点。成田北が約6分間のアディショナルタイムを乗り越え、白星を勝ち取った。

 成田北の櫻田常聖監督は3年前、サッカー部の顧問に。前監督の村田馨コーチたちが積み上げてきたものを受け継ぐ形で今年から指揮官を務める。コロナ禍でチームとして噛み合わない時期もあったようだが、「ゲーム見ていてもサッカーが本当好きで、毎日練習を楽しみにしているような子たち」とともにサッカーできる環境に感謝し、一日一日を大事にトレーニング。また、「自分たちにとって楽しいサッカーとは何か」「もう一回見たいと思われるようなチームになる」というモットーを見つめ直し、実行して快進撃を続けている。

 習志野高OBの櫻田監督は、「めぐり合わせというか、水庫先生の言葉で僕も教員になろうと思った」という高校時代の恩師・水庫祥元監督率いる検見川に勝利してベスト16。「(ベスト16入りは)僕たちが一番驚いているんですけれども、もうちょっと千葉県が驚いてくれたら嬉しいですね。ここから先は本当に、ここまでプレーしてくれた3年生に感謝しながら、彼ら自身もやらせてもらえることを感謝しながら、大舞台を楽しんでもらえたら。次から保護者の方も入れるので、色々な方に楽しいサッカー、また見たいと思うようなサッカーができたら」と期待した。

 成田北は県4部リーグ所属。「(ベスト30の時点で)残っているチームが全部自分たちよりも上のチーム」(大垣)という状況だが、選手たちに浮ついたところは見られない。「全部前向きな気持ちで戦いたいです」と伊藤。次戦、インターハイ予選準優勝の暁星国際高に勝利した白井高との公立勢対決へ向けて万全の準備をして、勝って、千葉県のサッカー界をより驚かせる。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2021

TOP