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[MOM3603]修徳FW田島慎之佑(1年)_目指すはティエリ・アンリ。ポテンシャル抜群の1年生10番が1ゴール2アシストと大暴れ!

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1年生で修徳高の10番を託されているFW田島慎之佑

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.17 選手権東京都予選Aブロック2回戦 修徳高 9-0 正則学園高]

 まだあどけなさも残る表情とは裏腹に、ひとたびピッチに立てば目の前の相手を抜群のスピードで躊躇なく振り切り、ゴールもアシストも自在に積み上げていく。「自分では前に行くパワーと、スピードがあると思っているので、それが武器だと思っています」。

 修徳高の10番を託された、付属上がりのニュースター。FW田島慎之佑(1年=修徳中出身)のポテンシャルが少しずつ解き放たれ始めている。

 正則学園高と対峙した高校選手権の予選2回戦。チームには明確な狙いがあった。「マッチアップでウチの左が優位に立てそうだったので、『左を狙え』というオーガナイズでした」(吉田拓也監督)。その左サイドに位置した田島が、立ち上がりから躍動する。

 前半7分。右SB木村アリヤァン(3年)が好クロスを送り、ファーに入った田島はヘディングを敢行。味方に当たったボールにいち早く反応すると、利き足とは逆の右足を振り切る。「右からクロスが上がってきて、自分がヘディングをして、味方に当たって、ちょうど良い所に落ちました。右足で振り抜いたらたまたま入ったので、良かったです」。本人曰く“たまたま”の右足シュートが、チームに先制点をもたらすことになった。

 田島の突進は止まらない。26分にも粘り強いドリブルから、ピンポイントクロスをニアへ。これは得点に繋がらなかったものの、29分にはあえて対面の相手を外しながらアーリークロス。「狙い通りじゃなかったです。たまたま良い所に行ったので良かったです(笑)」と振り返ったものの、FW吉田康誠(2年)のヘディングがゴールを陥れる。

 圧巻は38分。ここも左サイドで縦へとドリブルで運ぶと、少しボールタッチが大きくなったにもかかわらず、ゴールラインを割る直前で腰を回転させながら完璧な軌道のクロス。これをFW大畑道喜(3年)は難なく頭でゴールへ流し込み、チームに3点目が記録される。

「アレはちゃんと狙いました。9番はヘディングが強いと分かっているので、そこにちゃんと置きに行こうという感じで蹴りました。腰は体幹のトレーニングをちゃんとしていて、強いと思っているので、それが生かされて良かったです」。1年生とは思えない身のこなしから繰り出したアシストに、豊かな将来性が滲んだ。

 参考にしている選手を尋ねると、意外な名前を口にする。「 (ティエリ・)アンリです。あんなにテクニックはないですけど(笑)、スピードで抜く時のプレーを参考にしています。お父さんが世代で、そこから見つけた感じです」。確かに利き足こそ違えども、優雅なランニングフォームやスケール感は重なる部分もある。

 入学直後から出場機会を掴んできたが、吉田監督は中等部時代にも3年間指導を仰いだ恩師。「1年生なので、正直まだスキルはないというか、いろいろな対応ができていないところがあるんですけど、左足のキックを持っているのと、足も速いし、性格も凄く良い子なので、期待しています」と指揮官が口にすれば、「吉田監督は時々怖い時もあるんですけど、良くしてもらっているというか、自分に合っている監督だなと思います」と田島。自分を理解してくれる指導者の下で、のびのびと成長している様子が窺える。

 次の相手は國學院久我山高。関東大会予選での対戦時は1-2で惜敗したものの、その試合にも出場していた田島は、簡単な相手ではないことも十分認識している。「春の時は初めて試合をしたので『強いな』という気持ちはありました。でも、自分たちも頑張ればやれるなというのはあったので、あっちも成長してきていると思いますけど、頑張りたいです。自分がゴールを決めて、勝ちたいですね」。力強い言葉が口を衝く。

 改めて選手権への想いを尋ねると、ハッキリとした口調で言い切った。「自分が目立つということと、3年生を勝たせてあげるということを考えています。毎試合緊張しますし、ちょっと他の大会とは違うなという感じはしますけど、次の試合も楽しめると思います」。

 現在は2試合連続ゴール中。強豪相手の準々決勝。この試合で“2試合”が“3試合”に伸びることがあれば、いよいよ田島は自分のいるべきステージを、さらに一段階駆け上がることになるはずだ。

(取材・文 土屋雅史)
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