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[MOM3605]秋田商MF近野宙安(3年)_仲間の声で切り替え、均衡破る一撃

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後半14分、秋田商高MF近野宙安が先制ゴールを仲間たちと喜ぶ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.21 選手権秋田県予選準決勝 西目高 0-2 秋田商高 ソユスタ]

 前半はポスト直撃のシュートを含め、2度の決定機を活かせず。「いつもは自分で立て直せない」という。だが、秋田商高MF近野宙安(3年=ブラウブリッツ秋田U-15出身)は、「ハーフタイムにみんなに『切り替えよう』と言われて。ゴールを決められたので良かった」。普段と異なり、切り替えることに成功した技巧派アタッカーが先制点を叩き出した。

 後半14分、秋田商は敵陣中央でクリアボールに反応したMF中野宏宣主将(3年)がダイレクトでのラストパス。「自分の思い通りのファーストタッチができて、あとは本当に押し込むだけだったので、チーム全員の気持ちが乗ったゴールだったと思います」という近野が対角の左足シュートを決めた。

 近野にとって中野はブラウブリッツ秋田U-15時代からのチームメート。ハーフタイムには小林克監督から「2人で崩せるんじゃないか」と言葉がけされたという。その期待に応える形で奪った先制点。近野は「ヒロ(中野)は自分のことを良く見てくれているので、本当にヒロのことを信じて走り込むだけでした」と信頼と感謝を口にしていた。

 近野は上手くプレーできない時に、「チームのみんなを思い出す」ことを心掛けている。この日は、一般生徒も含めて多くの仲間たちが後押し。昨年敗れている西目高との一戦で背番号11は仲間たちや先輩のために走り、ゴールを決め、勝利に貢献した。「去年は本当に3年生を全国に連れて行けなかったので、そういう思いもありました。先輩からは『頑張れよ』という連絡もあったので、勝てて良かったです」

 近野の個人技はパスワークを特長とするチームにアクセントを加えている。ファーストディフェンスをいなして前進するなど左サイドで存在感。MF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)を参考に自身を磨いてきた。

「元々はそんなには上手くはなかった。今、ベルギーでプレーしている三笘薫選手のプレーをずっと見ていて、本当に上手いなと思って参考にしています。三苫選手もファーストタッチからシュートが速いので、ドリブルの姿勢だったり、動きをずっと動画でよく見ています」。この日のゴールは憧れの存在のプレーを見て、学んできた成果を表現する一撃でもあった。

 2年前、ベンチから見た選手権まであと1勝。「(去年は出場を逃したが、)今年こそは第100回ということで、チームのため、家族のため、みんなのために全国に行きたいと思うので、全力でプレーしたいと思います」。決勝では上手く行かないこともあるかもしれない。だが、仲間たちのことを思い出し、切り替えて戦い、必ず勝って、全国へ行く。

(取材・文 吉田太郎)
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