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神戸U-15出身、J選抜で主将経験のMF内藤蒼空主将、「強い明桜」の礎を築いてきた3年間

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秋田連覇を狙う明桜高の大黒柱・MF内藤蒼空

[10.21 選手権秋田県予選準決勝 秋田工高 0-4 明桜高 ソユスタ]

 ヴィッセル神戸U-15に所属していた中学時代はJリーグ選抜でキャプテンも務めた経歴の持ち主。そのMF内藤蒼空(3年)は高校進学時、進路に秋田の古豪と言える存在だった明桜高(旧・秋田経法大付高)を選んだ。理由の一つは原美彦監督を慕って。もう一つ大きな理由はこれから強くなるチームに係わって、自分の力で強くしたいという挑戦心があったからだ。

「これから伝統校になっていくチームってなかなかないじゃないですか。伝統校に行って、試合に出て活躍するというのも良いと思いますけれども、自分はちょっと変わったことがしたいというか(微笑)、そっちの方が面白いと思って来ました」

 1年時から先発を勝ち取り、2年時に27年ぶり、明桜としては初の選手権出場に貢献した。そして、今年は主将。今大会は準決勝までの3試合で42得点無失点という圧倒的な勝ちっぷりだ。「一つ一つ毎日毎日必死に頑張ったかなと思いますし、現状で満足するんじゃなくて、常に新しいこと、新しいことを取り入れていかないと、ただ3年間ここで過ごしても意味がないと思ったので、(チーム、自分自身のために)常に新しいことを取り入れてということをやっています」。強すぎるリーダーシップに周囲が頼りすぎた部分もあった。だが、インターハイ予選の敗戦をきっかけに、その課題に気づいた仲間たちも変化。自立したチームになって選手権予選を迎えられたと内藤は感じている。

 毎日の練習からチームの成長のために尽力。そのMFは公式戦のピッチでも存在感があった。フランス代表MFエンゴロ・カンテ(チェルシー)やチリ代表MFアルトゥーロ・ビダル(インテル)、元イタリア代表MFジェンナーロ・ガットゥーゾを意識してプレーするボランチは、チームメートに“全国で勝つための基準”を示すような強度ある守備。切り替え速く相手にプレッシャーをかけ、運動量も人一倍多かった。

 この日、終始守備で利いていた内藤は、3得点に絡んでいる。前半、自陣からの縦パスで先制点の起点となると、3点目も内藤の奪い返しから生まれた。そして後半には、PAへのループパスで4点目をアシスト。「(個人的には)ラストパスの部分が3年間で成長したところかなと思っていますけれども、まだまだですね」。満足はしていなかったが、攻守両面に渡る活躍でチームを白星へ導いた。

 内藤がこだわっているのはどの試合でも全力プレーを貫くことだ。「まずは勝つことが大事ですけれども、今日もYoutube配信をやっていたと思いますけれども、誰がどこで見ているか分からない。一つ一つのプレー、ゲームを大事にしていかないといけないということは感じていて、選手権の決勝だからというのは関係なくて、練習一つ一つでも、練習試合でも同じように大切にプレーしていきたい」。率先しての挨拶、受け答えの姿勢も好印象の主将は高校卒業後、関西の強豪大学へ進学予定。その内藤は23日の決勝でも、全国大会でも、全力プレーを続け、一緒に強くなった明桜の力を証明する。

(取材・文 吉田太郎)
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