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静岡学園から今年3人目のプロ入り!自分を知り、ひたむきに努力続ける快足MF川谷凪が清水内定!

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静岡学園高の快足MF川谷凪清水エスパルス新加入内定!

 清水エスパルスは23日、静岡学園高(静岡)MF川谷凪(3年)の22年シーズンからの新加入内定を発表した。180cm近い長身の川谷は、50m走5秒台の快足で決定機を作り出す“静学のスピードキング”。今年、静岡学園高の3年生ではMF玄理吾(徳島内定)、MF古川陽介(磐田内定)に続き、3人目となるJリーグクラブ内定者となった。

 より直線的な印象だが、19年度選手権優勝時のエースMF松村優太(現鹿島、U-22日本代表)を彷彿させるようなスピードを備え、現在はプロでも決め切る、クロスを上げ切るサイドアタッカーになるため練習中。川谷は「自分の武器である絶対に負けないスピードで、『ここに出したら絶対に行けるやろ』というみんなに信頼されるような、絶対に突破できるようなサイドアタッカー、観客にも好感を持ってもらえるような選手になっていきたい」と誓った。

 川谷は昨年から技巧派軍団・静岡学園のAチームに加わり、今年は先発やスーパーサブという形でその能力を発揮している。個で違いを生み出す力は早くから注目を集め、今年6月にはJ1の2クラブとJ2の1クラブに練習参加。その中で清水からのオファーを獲得した。

 4日間参加した清水の練習初日は、7対7が2本。1本目はやや遠慮もあり、思うようなプレーができなかったという。だが、1本目終了後にU-22日本代表候補MF鈴木唯人から受けた助言が川谷を変えた。

「オマエ、あと一本で終わるぞ」「これやらないと意味ないぞ」「行けるからもっと行った方が良いぞ」と背中を押された川谷は、「そこから2本目は結構行けて、点も決めれて、1人ぶち抜いたとかあったんですけれども、(鈴木選手の)その言葉がだいぶデカくて、そこで気づきました」。

 清水からのオファーを受け、即決した。「元々プレースタイルが合っているというか、自分が活躍できる場所がそこだと思っていました。雰囲気がめちゃくちゃ良くて、全員がどこに行っても話してくれる。(練習参加)3日目にメンバー外が結構キツイ練習やったんですけれども、メンバー外でもしっかり追い込んで、メンバー外の方がキツイというくらいやってくれた。1年目メンバー外やったとしても、そこでもまだ成長できるなと思ったのも大きいです」。自分の特長が活かせるチーム、成長できるチームが清水だった。

 また、清水から「『人間性がプロ向き』みたいに言ってもらえて、それがちょっと嬉しかったです」と振り返る。試合観戦した際に、先輩選手に対して自分ならばどう動くというやり取りも。その姿を見ていた兵働昭弘スカウトから「スタジアムに自分をおいて、考えて試合を見ているところが一番印象に残っています、みたいに言ってもらいました」。“喋んないとやっていけないタイプ”と自己分析する川谷は、チームの中での自分を思い描く力や、コミュニケーション能力も備えている。

 彼は恵まれた身体能力だけに頼るのではなく、自分を知り、ひたむきに努力を続けた選手だ。静岡学園には「全然できると自信あって来た」が、入学直後に大怪我を負い、復帰したのが翌年の1月。復帰した際、周囲とのボールタッチのレベル差に愕然としたという。「Dチームにも全然敵わないくらいヘタで。そこで自分が謙虚になったというか、貪欲に、ひたむきにやらないといけないとなった」。
 
 2年時に運良くBチームへ上がり、Aチームでのテストで好プレーを連発。昇格したものの、Aチームの選手との技術力の大きな差を実感し、悔しい思いを何度もしてきた。常にBチームへの降格を覚悟していたが、我慢強く練習を重ね、節目での活躍や先輩のサポートで生き残り、今年のブレイクに繋げた。

 スピードは圧倒的と言えるもので、ポテンシャルは非常に大きい。だが、他のJ内定2選手や複数の年代別日本代表候補選手を擁する静岡学園でまだ絶対的な存在ではない。最後の選手権やプロ入り後へ向けて、必死に努力する毎日。選手権予選開幕を控えた現在も、全体練習後に1時間半もの間、シュートやドリブルを繰り返している。

「プロに行くために必要なものを全部身につけたいというのがあって、すぐ腐ってしまうのも嫌だし、やり切って、行けるところまで行けるように。今、試合に出るのもそうなんですけれども、(プロ入りする前に)自主練で今からやっていかないと間に合わないかなと。人一倍やらないと、上のステージには行けないと思っています」

 J1の清水で簡単に試合に出られるとは思っていない。覚悟はもう、決まっている。「1年目から試合で貢献していきたいと思っていますし、出たいというより、チームに貢献できるようなことがしたくて。出れるなら1年目からどんどん貢献するつもりでいますし、出れなかったとしても、そこで腐らずにメンバー外の練習でも意識高く、周りに流されず、自分でやっていく。『決めているんで』。腐らないとか、使ってもらえなくても、そのままやっていくというのは決めて入団するので、そういうところは最後まで貫いていきたいと思います」。プロ入り同期となる玄や古川のように、テクニックで魅せることは考えていない。自分の武器である“圧倒的なスピード+何か”を貪欲に、ひたむきに求め続け、身に付けて、Jの舞台で大暴れする。

(取材・文 吉田太郎)
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