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184センチの右サイドバック。大宮U18DF貫真郷は抜群のスケール感でさらなる上のステージへ

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大宮アルディージャU18DF貫真郷はスケール感抜群の右サイドバック

[10.23 プレミアリーグEAST第8節 大宮U18 6-1 横浜FMユース 埼スタ第2]

『184センチの右サイドバック』。その字面からでもスケール感が漂うが、実際にプレーを見れば、さらにその想いは強くなるはずだ。

「あまりサイドバックで大きい選手というのは数も多くないので、そういう自分の特徴はもっと生かしていければ、もっと上に行けるというのは考えています」。大宮アルディージャU18の長身右サイドバック。DF貫真郷(3年=大宮アルディージャジュニアユース出身)は、『もっと上』を目指せるだけの圧倒的なポテンシャルを秘めている。

 ケガもあった貫にとって、中断も挟んだリーグ戦のスタメンはちょうど5か月ぶり。先週末の市立船橋高(千葉)戦では終盤の後半41分から出場し、試運転は終えていた。この日の横浜F・マリノスユース(神奈川)戦は、結果的に90分間フル出場。6-1という大勝に攻守できっちり貢献してみせる。

「結構早い時間帯で先制点が獲れて、相手の隙や戦術の弱点を突きながら、得点に多く繋げられたのは凄く良かったという印象でした。個人的には久しぶりのゲームで、試合勘は徐々にやりながら掴んでいく感じで、もっとできた部分があったと思っています」。傍から見れば上々の復帰戦のように思えるが、本人はまだまだ納得の行っていない表情を浮かべる。

「物足りない部分がありましたね。自分のプレーがうまく行かない時は、その分しっかりチームを鼓舞して、引っ張らないといけないですし、そういった部分で気持ちを出すとか、メンタルの部分で成長していきたいと思いました」。主力としての自覚も言葉の端々に滲ませながら、久々のフル出場に充実感も少しだけ口にする。

「今日は楽しかったです。やっぱり途中からゲームの流れを変えるというのも大事ですけど、最初から出て、ゲームの流れを作れた方が楽しいですし、それも大事な役割だと思うので、もっと走れるようにやっていきたいです」。サッカーを楽しめる90分間を過ごせたことが、貫にとってまずは大事な復帰のステップであることは言うまでもない。

 戦線を離脱している間も、もちろんチームのことはしっかり見守っていた。「後期になってからチームの雰囲気も凄く良くて、練習を見ていても信頼できる仲間たちなので、そこは安心して見ることができていました」。また、副キャプテンとしてもチームで取り組み始めた新たなトライへ、積極的に関わっていたという。

「後期の開幕戦でレッズに負けて、凄くみんな悔しくて、そこから『次に繋げられることは何か』と考えて、みんなで試合で良かった点を共有して、次の試合に生かすというのを始めたんです」。チームは青森山田高(青森)に負けた後から、選手だけでのミーティングを実施。貫はあえて厳しいことも口にするようにしている。

「僕は全体の悪かった点を主に言っています。良かった点も大事ですけど、悪かった点を中心に次に繋げていけば、もっとチームも向上していくので、そういった部分を言うことが多いです」。チームのために、それぞれの選手のために、気付いたことはしっかり指摘していく。

 その効果は確実に感じ始めている。「メンバー外の選手や1年生が結構発言してくれるようになっていて、自分自身じゃ気付けない部分も仲間が見て、そこからの視点で伝えて、お互いの価値観を分かり合う意味でも大事な時間なので、そういったコミュニケーションはいつもより増えてきたと思います」。

 実はサイドバックを始めたのは、昨年の終わりごろのこと。それまでセンターバックを務めることが多かったが、攻撃性を評価されてのコンバートは大成功。「攻撃参加の部分で、実際に多く攻撃に関われているので、それは楽しいですね。センターバックと違って攻撃の比重が多くなるので、楽しさもありますし、大変さもやりがいもあるなと感じています」とは本人だが、昨年末のクラブユース選手権でもベスト4進出の一翼を担うなど、コンバート直後から新たなポジションでも存在感を示し続けてきた。
 
 それでも、現状にとどまるつもりはまったくない。「運動量とチームを引っ張るメンタルと、あとは攻守での1対1の質を上げていかないと、高いレベルで試合に出ることはできないと思うので、U18での活動はもう残り少ないですけど、そういうところをもっと伸ばしていきたいと思います」。すなわち目指すのはすべての質の向上だということも、十分に理解している。

 成長曲線はまだまだ右肩上がり。スケール感抜群の右サイドバックとして、これからの貫がどこまで登り詰めていくのかは、注視する必要がありそうだ。

(取材・文 土屋雅史)
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