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松葉杖姿の北海エースMF川崎…“仲間がくれた全国切符”に決意「絶対に間に合わせる」

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松葉杖姿で見守っていた北海高のMF川崎啓史(3年)

[10.24 高校選手権北海道予選決勝 旭川実高 0-0(PK4-5) 北海高 札幌厚別]

 北海高のエースMF川崎啓史(3年)は今回の北海道予選で、スタンドから松葉杖姿のまま戦況を見つめていた。そうして迎えた決勝戦、PK戦の末に悲願の全国大会出場が決まると、感慨に浸りながら新たな決意を固めていた。

 北海の3-4-2-1システムのキーマンである右ウイングバックで主力を担っていた川崎は最後の選手権を目前に控えた9月20日、北海道ブロックリーグ札幌の試合中に左足首を骨折した。全治2か月以上の診断を受け、北海道予選の出場は絶望的。道内で絶対的な地位ではないチームにとっても、リーダーシップを張れる選手の離脱は大きな痛手だった。

 それでも島谷制勝監督が「彼は抜群に頭がいい。チームで話す時も本質を突いてくれる」と全幅の信頼を寄せる副主将。すぐに「最初は目の前が真っ暗になった感じだったけど、チームのためにできることをすぐに考えるように切り替えられた」と覚悟を固め、チームのサポートに回った。

 その直後、チームメートは「啓史を全国に」を合言葉にトレーニングを開始。最初は練習態度が伴わない選手たちに指揮官から「練習姿勢、心構えは『啓史を全国に』って連れていけるような構えでやってないよね?そういう青春ごっこはやめちまえ」と発破をかけられる出来事もあったそうだが、全員の目標がここで定まったのもたしかだった。

「言ってくれたのはうれしかったんですけど、形にならないと意味がない。結局は勝たないと意味がないので。結果的にこういうふうになって良かったけど、形だけにならないで欲しいなとは思っていた」。

 そんな川崎の願いどおり、選手たちは全国行きの切符を掴んだ。「全国を決めてくれたので、次はプレーヤーとして貢献できるようにリハビリから全力を挙げて、絶対に間に合わせます」。全国大会開幕まであと2か月。川崎の冬はまだ終わらない。

(取材・文 竹内達也)
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