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[MOM3613]流通経済大柏MF渋谷諒太(3年)_全幅の信頼受ける“大人”なリーダー。要所締め、決勝PK

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流通経済大柏高MF渋谷諒太主将が指示を出しながら前進

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.24 選手権千葉県予選2回戦 流通経済大柏高 2-1 日体大柏高]

 流通経済大柏高の榎本雅大監督は試合後、「(高校生の中に)“大人”が一人いるようなもの」という表現でMF渋谷諒太主将(3年=FC多摩Jrユース出身)を絶賛していた。

 前半はDFラインが十分にクリアできないシーンが増え、セカンドボールを拾われる回数が増加。0-1で折り返したが、「(後半は)渋谷がかなり上手にDFラインの前のスペースを潰すのか、それとも落ちて行った方が良いのか、はっきりできていた」(榎本監督)。

 CB2人の前で何度もボールを弾き返し、PAにこぼれたボールに真っ先に反応していたのも背番号7。ボランチとしてセカンドボールを拾い、縦につけるパス、そしてチームに時間を作る動きも見せた一方、人一倍の気遣い、責任感でCBのような役割も果たしていた。

 渋谷は「自分が中央で負けなければ失点しないという考えなので、DFラインの負担を減らすということと、失点はしてしまったんですけれども、自分が守備の要だねという存在になれたかなと思います」。チームのピンチを未然に防ぎ、効果的な声がけ。そして後半17分には立候補し、強気で決勝PKを決めている。流経大柏の中にいた“大人”が、逆転勝ちへ導いた。

 榎本監督はその渋谷に対し、全幅の信頼を寄せている。指揮官がミーティングで時間を掛けることはほとんどない。週明けのミーティング前に選手側から提出されるシチュエーションシートには、スタッフの意見とほぼズレずにチームのテーマを記入。言われなくても渋谷を中心とした選手たちが自分たちで話し合って現状を理解し、チームを前に進めているのだ。

「渋谷がそこまで成長しているのがデカイと思う。そこまでゲーム見れるし、客観的な視野を持ってゲームに入っている。こんなに選手信用して良いのか、というくらい信頼している」と榎本監督。渋谷は結果が出ない状況も経験してきたが、「プレーするのは自分たちなので、表現するのは自分たちだ」という恩師からの言葉を胸にミーティングの回数を増やし、チームの成長を後押ししてきた。

 一週間前のプレミアリーグ・青森山田高戦の0-4にはさすがにショックが大きかったようだが、自分よりも早く切り替えて前を向いていた仲間たちにも支えられて日体大柏戦へ。そして、リーダーとして、守備の柱として、チームを勝たせた。

 インターハイ後にはJクラブの練習参加も経験。「プロのスピード、足の速さとかよりも判断のスピードだったり、状況を理解する速さだったりは本当に全然違うな、まだまだだなというのがああったんですけれども、それをチームに上手く還元できればというのを意識していたら自ずと自分のプレーも結構良い方向に向かって行ったので、練習参加は良い経験になりました」と振り返る。リーダーとしても、プレーヤーとしても成長を続ける渋谷は重圧も良い意味で力に変え、仲間たちとともに日本一に相応しい「強い・流経」を作り上げる。

(取材・文 吉田太郎)
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