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狭山ヶ丘高から初の年代別代表候補選出。“計り知れないポテンシャル”持つ195cmGK若林学歩は進化のきっかけに

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U-17日本代表候補初招集のGK若林学歩(狭山ヶ丘高3年)

[10.26 練習試合 U-17日本代表候補 3-7 関西学生選抜]

 埼玉県の高体連から現れた大器、GK若林学歩(狭山ヶ丘高3年)がU-17日本代表候補初招集。26日には、年代別日本代表候補として初の対外試合に臨んだ。2-3の3本目開始から出場した若林は、45分間で物凄い高さでのパンチングや相手を一本で裏返すようなキックも披露した。

 ゴール前での立ち姿含めて存在感を示した一方、守りを崩され、シュートを止められずに4失点。チーム全体が慣れない4-3-3システムに戸惑う中、明確に指示しながらプレーすることは難しかったようだ。守備範囲の広さや圧巻のキック力を見せることはできたが、悔しいゲームに。「失点した後に『こうすれば良かった』というのが多くあったので、明日の試合(対関西学生選抜第2戦)ではそうならないように準備したい」と巻き返しを誓っていた。

 4失点したことで試合後は、周囲も心配するほど落ち込んでいたという。だが、森山佳郎監督から「オマエには、とんでもない才能があるんだぞ」と声がけされた若林は気持ちを持ち直して27日の合宿4日目へ。「馬力とかポテンシャルは計り知れないと思う」と期待する指揮官も、「きょうの散歩&レクレーションでは、いきなり中心選手に躍り出てみんなを盛り上げてくれた」と微笑む変化を見せたようだ。

 高校1年時にナショナルGKキャンプに選出されているが、代表候補合宿は初めて。「レベルが高いのは承知していて、その中で自分に何ができるかというところで上手く行かないことの方が多いですけれども、それをプラスに捉えて、課題を洗い出して、次にどう繋げるか、その課題を次、どう成長に繋げるかというのを意識してやっています」という。

 構えや足の運び方といった技術面やゲーム判断の部分など、引き上げなければならないことがまだまだあることに気付かされた。また、試合直後、ボードを使い、コーチから止められるまで改善点を話し合う代表選手たちの姿も刺激に。今回の初招集は意識面を変化させるきっかけ、また全国的に無名な狭山ヶ丘高から代表に入ったという自信にもなっている。

 狭山ヶ丘は私立の好チームだが、今年の選手権埼玉県予選は決勝トーナメント初戦敗退。それでも今回、素材感を評価されて同校初の年代別代表候補選手に選ばれた。若林は「自分の中で大きな自信になりました。(西澤正仁監督らコーチ陣からは)初招集なんですけれども、『自分のことをアピールしつつ、色々なものを吸収して帰って来なさい』と言われました」という。すでにJクラブの練習参加も経験し、Jリーガーたちの1プレー1プレーに対する責任感の強さを実感。プロも注目する大器は学んだことを一つ一つ積み上げ、チェルシーGKエドゥアール・メンディのような世界で活躍する守護神を目指す。

「A代表目指して、ワールドカップ出て、今越えられていない壁を越して、日本を代表するGKになっていきたい」。年代別代表常連のGKたちのレベルにすぐに追いつくことはできないかもしれない。それでも、今回の経験を糧に自身の成長角度を変えてライバルたちに追いつき、必ず追い越す。


(取材・文 吉田太郎)

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