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4-3-3システム挑戦のU-17代表候補、ベース向上とバリエーション増加へ濃密な合宿に

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中村憲剛ロールモデルコーチのアドバイスを聞くU-17日本代表候補の選手たち

[10.26 練習試合 U-17日本代表候補 3-7 関西学生選抜]

 04年以降生まれのU-17日本代表候補は、今回のJ-GREEN(大阪)合宿(10月24日~28日)で新たなチャレンジをスタートした。これまで継続して4-4-2で戦ってきたチームが4-3-3システムを採用。上手く行かないことも多いが、合宿を通して選手たちが質や強度を高めると同時に、これまで以上に主体性、当事者意識を持って話し合うなど有意義な経験になっているようだ。

 U-17日本代表は、優勝した8月の「HiFA平和記念 2021 Balcom BMW CUP 広島ユースサッカー」まで4-4-2システム。その優勝を一つの区切りとし、今後U-17世代が4-3-3を採用しているU-20日本代表やA代表へ入りやすくすることも考慮して新システムを導入した。

 次回のU-18日本代表候補合宿には、U-17世代からは10人近くが入っていく模様。森山佳郎監督は「上でチャレンジしている子と、しっかり下である意味適応できるようにするのは一つの任務かなというところですね」と意図について説明する。

 そして、「(新たなシステムにチャレンジすると、)ベースのところが忘れがちになるので、サッカーの本質とか、原理原則とか、そういうベースの部分、質とか戦う部分は譲れないところなので、テーマとしてはバリエーションを増やすというところと、ベースの部分をしっかり高めて行こうということで両方にチャレンジしました」と語った。

 25日の2部練習、そして26日の練習試合では各選手が1試合に換算すると11、12kmの走行距離。ハードに動く一方、外を切りながら中へ追い込む守備など、「かなり難易度高い」(森山監督)という戦術に選手たちは頭をフル回転させながらトライしていた。

 2、3歳年上の関西学生選抜との練習試合は1本目、互角に近い戦い。前線からのプレスが剥がされてピンチを迎えるシーンも多々あった。また、「もっとボールを握りたいというところも4-3-3のチャンレンジだった」と森山監督は言うが、ポゼッションで優位に立つことはできず。その一方、高い位置で奪い取ってからのショートカウンターや多くの選手が絡んでの崩しで決定機を作り出した。

 3本目序盤までは1点差の戦い。その後、突き放されたものの、MF坂井駿也(鳥栖U-18)がワンツーでPAへ侵入してゴールを奪い返すなど、「攻守に渡って良いシーンもたくさんあって、やられるシーンもたくさんあった(苦笑)」(森山監督)という戦いだった。

 今回の活動の印象として、選手同士でディスカッションしているシーンがかなり多いのだという。練習後、練習試合後など連日、上手く行かないところを話し合い、好転させようとする姿。今回の合宿では、コーチングスタッフがA代表の選手たちのピッチ内外で話し合って何とかしようとする映像、「これが代表選手」(森山監督)という姿を選手たちに見せているという。A代表の選手たちがどれだけ覚悟や当事者意識を持って日本を強くするために励んでいるかを確認し、自覚をより高めたU-17世代の選手たち。その行動に森山監督は目を細める。

「今回、自分たちで主体性持って、当事者意識、覚悟を持って、何とか自分を変える、自分たちのグループを変えてチャレンジしていくということはかなり有意義にできていると思います」と指揮官。また、練習試合の合間には中村憲剛ロールモデルコーチが3、4分間選手たちにポジショニングや関係性のところについて確認し、その後森山監督がまとめて選手を送り出すという試みも行っている。

 森山監督は「(中村ロールモデルコーチは)将来、日本を背負ってもらう感じの人だと思っているので、だいぶ任務を与えています(微笑)」。他のコーチ陣とはまた異なる目線でアドバイスする中村ロールモデルコーチの言葉や、帯同している山本昌邦氏から過去のワールドカップなどの話を受けるなど、色々なエネルギーを得ながら活動しているU-17日本代表候補。合宿最終日の28日の練習試合(関西学生選抜第2戦)で、濃密な5日間の成果を発揮する。

(取材・文 吉田太郎)

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