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主軸に怪我人も厚い選手層と団結力で波に。関東大会優勝校・西武台が武蔵越生下し、埼玉準決勝進出

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前半26分、西武台高FW細田優陽が先制ゴール

[10.31 選手権埼玉県予選準々決勝 武蔵越生高 1-2 西武台高]

 関東王者が厚い選手層と団結力で準決勝進出――。10月31日、第100回全国高校サッカー選手権埼玉県予選準々決勝で武蔵越生高西武台高が対戦し、西武台が2-1で競り勝った。西武台は11月7日の準決勝で武南高と戦う。

 3回戦で3連覇を狙った昌平高を1-0で破り、前回大会決勝の雪辱を果たした武蔵越生と、今年の関東大会優勝校・西武台との準々決勝。西武台の守屋保監督は「ミラーゲームになるんじゃないかと思ったんですよ」と振り返る。

 ともに4バック、3ボランチを採用し、前線の3選手を中心に鋭い攻撃を繰り出す両校の戦い。その中で西武台は前線へのロングボールを起点にセカンドボールを回収する形で押し込み、敵陣で戦う時間を増やす。

 そして、MF岡田瑞生(3年)のパンチのある右足ミドルやセットプレーで先制点を目指した。一方、今大会3試合連続無失点の武蔵越生は長身CB波田優斗主将(3年)中心にチャレンジ&カバーを徹底し対抗。ダイレクトで前線にボールを入れるなど切り替え速い攻撃で相手の守りを破ろうとする。

 だが、ゴールに近づけずに守る西武台は26分、自陣でCB武笠隼季(3年)が相手クロスを頭で跳ね返し、岡田が回収。ワンツーで右サイドから持ち上がったMF丸山実紀(3年)が前線へ斜めのパスを通す。これを受けたFW市川遥人(3年)が右前方へラストパス。最後はFW細田優陽(3年)が切り返しから左足シュートで決めて先制した。

 流れるような攻撃で先制した西武台は、34分にも市川の強シュートがゴールを襲うが、武蔵越生は昨年からゴールを守るGK関根拓郎(2年)がファインセーブ。すると40+1分、武蔵越生がファーストシュートで同点に追いつく。センターサークルで味方のクリアボールを収めたFW伊藤稜賀(3年)が、前方のFW石本浩大(3年)へ預けて一気に抜け出す。そして石本のスルーパスを伊藤が右足ダイレクトでニアのネットへ突き刺し、1-1とした。

 西武台は1-1の後半13分、怪我から復調してきたMF吉野光(3年)を投入。ダブルボランチへ変更して中盤の守備を安定させ、また吉野のピッチを広く使った配球によって、リズムを掴む。そして、吉野の右足ミドルなどでゴールを脅かすと21分、岡田の右CKをニアの市川がそらし、右SB原田蓮斗主将(3年)が足先で繋ぐ。最後は、大外でマークを外したCB河合陸玖(2年)が右足1タッチでゴールへ押し込んだ。

 武蔵越生はメンバーチェンジしながら反撃するが、対人で強さを発揮する武笠や原田、スペースを埋める役割を担う岡田ら西武台の守りは堅い。後半は決定打を打たせず、武蔵越生をシュート計2本に封じた西武台が昨年準決勝で敗れた相手に雪辱した。

 今大会、西武台は快足FW細田やMF吉野、左SB安木颯汰(3年)、CB長谷川智紀(2年)と主軸数人が怪我を抱えていたり、復帰したばかりという状況。それでも、代役として出場したCB河合が決勝点を決め、守屋監督が「非常によくやってくれた。バランス崩さずに戦ってくれている」と評価する左SB武田蒼平(3年)は実直なプレーでチームに隙を作らなかった。

 選手層の厚さは今年の強み。武笠は「自分たち層が厚いので、自分たち(守備陣)が耐えて後半ベンチメンバーが入ってきて流れが変わるように意識しています」と信頼を口にし、守屋監督は「次誰が出れるんだろうということも子どもたちの中であるので、練習の熱量は良い形で毎週毎週進められている」と頷く。

 最大の壁になると目されていた3回戦で昌平が敗退。その昌平に勝ってきた武蔵越生を突破した。加えてインターハイ予選優勝の正智深谷高も3回戦で敗退。風が吹いてきているが、チームに油断はない。守屋監督はこの日、大会が混戦模様となり、波が立ってきている中、勝つために個々で波に抗うのではなく、団結して波を乗り越えることを選手たちに求めていた。ここから怪我人も復帰してくる模様。西武台は団結して戦い、良い形で波に乗って11年ぶりの選手権切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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