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[MOM3634]海星FW新田夕晟(3年)_憧れの存在と同じ10番背負い、多彩な動きで攻撃をけん引

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海星高の10番FW新田夕晟

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 選手権三重県予選準決勝 宇治山田商高 1-2 海星高 四日市市中央陸上競技場]

 託された10番の重みは誰よりも分かっている。海星高が選手権初出場を果たした2016年度の10番・FW三輪翔真(現・神奈川大)と、2度目の選手権出場となった昨年度の10番・MF朴誠樹(現・日本大)は共に三重サッカーアカデミーの出身。同クラブ出身で、「僕が中二の時に三輪君が決勝で津工高相手にハットトリックをして、全国に行ってから、三輪君に憧れていた」と話すのは、今年の10番を託されたFW新田夕晟(3年)だ。

 昨年までは、憧れの三輪と同じFWとしてプレーしていたが、今年のチームが立ち上がってからは左サイドハーフが主戦場だった。だが、今大会はFW野原弘誠(3年)が怪我をしたため、前線に再転向。「ゴールが獲りたいので、FWがやりたい」と話す新田は、豊富な運動量を活かして前線を走り回り、攻撃をけん引している。

 宇治山田商高との準決勝でも、彼の働きは大きかった。最初の見せ場は試合開始直後の前半2分。高い位置でセカンドボールを拾ったFW神谷夢輝(3年)からのパスを受けた新田は、「僕の武器は左足。あの場面になったらシュートを第一に考えていた」とゴール前で迷わず、左足シュートを選択。惜しくも、GKに防がれたが、こぼれ球をMF北出匡(2年)が頭で押し込んだ。

 持ち味は、左足のシュートだけではない。腕の強さを活かしたボールキープで前線の起点にもなれる。この日、宇治山田商にとって脅威となっていたのは、DFの背後を狙う飛び出しで、20分にはMF長嶋紳翔(3年)が左サイドからゴール前に入れたボールにタイミングよく反応。DF大西泰正(3年)のカバーリングに阻止されたが、会場を沸かせるには十分なプレーだった。

 後半23分には、中盤からMF高橋柊磨(3年)が入れたフィードでDFの背後を取って、GKとの1対1になるシーンを作り出した。30分に野原が入ってからは、左サイドハーフでもプレー。本人は、得点を奪えなかったことを悔やんだが、試合を通して10番としての存在感を示し続けた。

 インターハイ予選でもエースとしての意地を感じさせるプレーを見せていたが、決勝では三重高に延長戦で敗戦。「あの完成度だったら負けるなと振り返ってみて思いましたし、何も出来なかったというのが率直な感想です」と振り返る新田はそれ以降、一人で打開できる個の力と得点を決め切る力を身に付けるため、チームメイトと自主練に励んできた。そうした成果もあり、今大会では3回戦の桑名高戦で2得点、準々決勝の四日市工戦では1得点をマークしている。

 昨年度の選手権は登録メンバーに入り、ベンチ入りを果たしたが、出場機会は得られなかった。新田は「自分が出たかったという気持ちはありました。チームとして何も出来なかったので、今年は僕たちが出て、海星初めての初戦突破するのが目標」と口にする。そのためには、まず三重県予選を突破しなければならない。

「去年、全国行っているので、2年連続で行くぞっという気持ちはある。三重高との決勝は、インターハイと同じカードになので、絶対に勝ってリベンジするぞという気持ちもあります」と意気込む男は、再び10番としての仕事を果たし、中学高校の先輩と同じく、レジェンドの系統に名を遺すつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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