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[MOM3637]滝川二MF藤田仁朗(3年)_股抜き、エラシコ…ドリブル止まらず。「抜群」だったエースが1G1A!

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滝川二高の10番MF藤田仁朗は大一番で輝きを放ち、1ゴール1アシスト

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.3 選手権兵庫県予選準決勝 滝川二高 2-1 神戸弘陵高 三木陸上]

 試合後、滝川二高の亀谷誠監督は1得点1アシストの10番について、「抜群だったと思います。素晴らしかったと思います」と絶賛した。MF藤田仁朗主将(3年=FCフレスカ神戸出身)は今大会、芝の影響などもあって個人としても、チームとしてもなかなか思うようなプレーができていなかったというが、この日は大一番で鹿島スカウトやアカデミー監督などを歴任した経歴を持つ指揮官も認める大活躍。文字通り、エースの働きでチームを決勝へ導いた。

 本人は「ゴール前でチャンス作るというところが武器でそこはできなかった」と首を振る。仕掛けてロストするシーンや持ちすぎてリズムを崩す場面もあった。だが、好勝負となった名門対決でも一際目立った80分間。まずは、前半8分、右サイドでのワンツー、さらに巧みなコントロールでDF2、3人と外して柔らかい左足クロスで先制点をアシストする。

 その後も神戸弘陵高CBの股間を通すドリブルや“エラシコ”など、警戒されている中で自分の技術力と発想力を表現。前半、ハーフウェーライン付近から2度一人でPAまで持ち込んでシュートを放ったほか、クロスや斜めのスルーパスでビッグチャンスを演出していた。

 前半の好内容から一転、後半は押し込まれる展開だったが、藤田は貴重なボールの収まりどころに。また、ショートカウンターから決定的なクロスも通した。本人は連動した守備ができていなかったことを反省していたものの、後半36分にはしたたかな動きで相手CBからインターセプトし、そのままPAへ持ち込んでPKを獲得した。

「相手のCBの見えない角度からプレスに行って、トラップした時にはもうおるという形を何回も狙っていたので、それが上手くハマりました」。準々決勝の関西学院高戦で同点PKを決めている藤田は、今回のPKも「執念で打ったろう」と重圧を跳ね除けてゴールへ突き刺した。

 終盤まで王者・神戸弘陵の脅威になり続けた藤田は、「80分通してできるだけ最後まで自分のパフォーマンスを落とすなというのが正直1年生からの課題で、そこがこの3年間で少し成長できた部分を出せたかなと思います」と微笑んだ。

 藤田は1年時から名門の10番。当時はプレッシャーもあり、「付けさせてもらっていただけの10番」と振り返る。結果を残せなくても、周囲は1年生から10番を背負う存在として注目。本人はそれに悔しさを持っていたという。ただし、課題を改善しながらスキルを磨き、大一番で輝きを放つプレーヤーに。「10番らしいプレーが3年生になってちょっとずつ増えてきたので、その10番は伊達(だて)じゃないぞ、というところを全国に向けて絶対に知らしめたいなと思います」と力を込めた。

 激闘の直後、神戸弘陵の10番MF田中祉同(3年)と抱擁。田中は同じく兵庫を代表する強豪校で1年時から活躍。選手権に出場し、2年連続でゴールを決めている。ライバルは常に藤田の先を歩んでいた。

「田中祉同は1、2年選手権に出て活躍していたので、仲も良かったので、正直バリ悔しくて、絶対に自分はもっとやれるという気持ちを持ってやってきたので、とりあえずは全国に近づけたので良かったと思っています。(今日は)絶対に勝っても、負けても絶対にこういう苦しいゲームになると思っていたので、切磋琢磨して、『次、絶対に勝ってくれ』と言われたので弘陵の全員の気持ちも背負って全国出て勝ちたいと思っています」。ライバルの思いも背負って立つ決勝のピッチ。必ず勝って、全国で自分のテクニックやアイディア、そして滝川二のフットボールを存分に見せつける。

(取材・文 吉田太郎)
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