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長所の守備とセットプレーで差を創出。桐光学園が1-0で東海大相模破り、神奈川決勝進出

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後半36分、桐光学園高はMF田中英泰のゴールで先制

[11.6 選手権神奈川県予選準決勝 東海大相模高 0-1 桐光学園高 ニッパ球]

 桐光学園が特長の守備とセットプレーで1-0勝利――。第100回全国高校サッカー選手権神奈川県予選準決勝が6日に行われ、インターハイ予選優勝校の東海大相模高と3年ぶりの選手権出場を狙う桐光学園高が激突。後半36分にMF田中英泰(3年)が決勝ヘッドを決め、桐光学園が1-0で勝った。
 
 12度目の選手権出場を狙う桐光学園は今年、県1部リーグ戦で無敗首位。関東大会予選とインターハイ予選はいずれもPK戦の末に敗れているが、今年も80分勝負で簡単には負けないチームになっている。

 この日はチームの“心臓”であるU-17日本代表候補MF山市秀翔主将(3年)が大学受験のために先発を外れたが、鈴木勝大監督からクオリティー落とさずに戦うことを求められた選手たちはそれぞれがやるべきことを徹底する。

 そして、指揮官も「立ち上がりから守備のところでは全員がハードワークする。怖い場面を作らせていなかったので、ウチの長所が出せたと思います」と頷く内容。攻撃で相手を飲み込むまでは至らなかったものの、ゲーム主将のFW三原快斗(3年)と田中のドリブルをアクセントに、取り組んできたというセットプレーも交えてゴールを目指した。

 一方、東海大相模は主将のFW品田希望(3年)らを欠く陣容。有馬信二監督は「(インターハイの初戦敗退から相手の守りを破るためには)コンビネーションプラス、個の力が必要だと思って、右SBが本職だけど彼の推進力を起爆剤にしようと思って前に置きました」という理由で強力右SB内藤天志(3年)をFW起用した。

 13分にはその内藤が強烈な右足ミドル。また、ゲーム主将のMF橋本一汰(3年)やMF小西璃空(3年)らがボールを動かしながら前進しようとするが、全体的に重心が重かった。この日は、互いに仕掛ける前のミスも。また、桐光学園のCB馬場拓己(3年)やCB川角歓紀(3年)、東海大相模のU-16日本代表候補CB 根岸優汰(1年)やCB 石川竜(3年)が空中戦や競り合いで強さを見せるなど、互いになかなか差を生み出せなかった。

 後半、桐光学園はFW粟江晟(3年)や三原がスピードに乗った仕掛け。また、MF豊田怜央(2年)がセカンドボールの攻防などで迫力のある動きを見せるなど押し込む回数を増やす。一方の東海大相模も後半17分にFW吉良優音(3年)を左サイドへ投入し、縦への仕掛けへ持ち込んでいた。

 だが、有馬監督が「桐光さんの方が球際とかそういうところで上だったかなと1試合通じて感じました」と認めたように、細部の差が勝敗を分ける結果に。後半28分に受験を終えてきた山市を投入した桐光学園は、より前へ出る姿勢が出て東海大相模ゴールへ向かう。そして36分、左SB寺内倖大(3年)の右CKを田中が頭で逆サイドのゴールネットへ流し込む。待望の先制点を挙げた桐光学園がスタンドの仲間たちの前で喜びを爆発させた。

 昨年から先発の三原は「去年は守備の面は全国最高峰のクラスでやっていたけれど、得点が取れませんでした」と振り返る。だが、今年は三原や田中ら攻撃タレントがいることも強み。そして、セットプレーも重視して磨いてきた。それらの力が「今年のテーマである得点に繋がったと思います」と三原。苦しい戦いで大きな、大きな1点をもぎ取った。

 しかし、東海大相模も選手権初出場への執念を見せる。40+3分、右ロングスローの流れから4本、5本と連続シュート。だが、橋本がPA外から放った右足シュートは桐光学園GK吉田優翔(3年)の好守に阻まれ、FW齊藤大地(3年)の左足シュートがゴールライン上の豊田にブロックされるなどゴールを破ることができない。最後は桐光学園CB馬場が頭でクリアしたところで試合終了の笛。決勝への切符を死守した桐光学園の田中は「神奈川県決勝で、2年連続で負けている。絶対に神奈川を取りたい」と誓った。決勝の対戦相手はインターハイ予選で破れている相洋高。伝統の堅守とセットプレーなど1点を奪い取る力も持って雪辱し、目標の全国制覇へ、また一歩前進する。

(取材・文 吉田太郎)
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